岩本麻奈 (参政党)

2026年5月13日・第221回国会 参議院 本会議 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 23 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 37 発言)

参政党の岩本麻奈です。

私は、参政党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

我が国の国民皆保険制度は、国民が安心して医療を受けるための極めて重要な社会基盤です。一方で、少子高齢化の進行、医療技術の高度化、薬剤費の増加、そして現役世代の保険料負担の上昇により、制度は大きな岐路に立っております。

国民皆保険制度を将来世代に引き継ぐためには、給付と負担の在り方を不断に見直すことは避けて通れません。その意味で、本法案が、後期高齢者医療制度への金融所得の勘案、子供に係る国民健康保険料の軽減措置、保険給付の在り方の再整理、分娩に関する支援策、医療機関の業務効率化、勤務環境改善に向けた支援などを含むものであることについては、一定の意義があると思います。

その中で、その上で、政府に対し、以下、伺います。

第一に、OTC類似薬の保険給付の見直しについてです。

市販薬と代替性の高い薬剤について、保険財政の観点から一定の見直しを行うこと自体は、方向性として理解できます。過度な受診や薬剤の漫然投与を見直し、セルフメディケーションを進めることも必要です。

私自身、長年欧州で生活する中で、医療機関へのアクセスが容易でないからこそ、軽い不調はまず自分で整え、未病を防ぐというセルフメディケーション文化が根付いていることを実感しております。

一方で、今回の保険給付見直しは、一歩誤れば患者の受診控え、服薬控えを招き、結果として重症化を招くおそれがあり、かえって医療費を押し上げることにもなりかねません。

特に、子供、妊婦、がん患者、難病患者、慢性疾患を抱える方々への影響が懸念されます。また、所得の高低など経済的事情によって必要な医療へのアクセスが左右されてはなりません。

本法案では、こうした方々への配慮がうたわれておりますが、その対象範囲、判断基準、医療現場での説明責任、薬局での対応、事務負担の増加についてはなお不明確な点が残されております。衆議院審議でも、要配慮者の範囲や制度設計について、豊田真由子議員を始め、各党から質疑が重ねられました。

そこで、厚生労働大臣に伺います。

政府は、要配慮者の範囲や判断基準をどのような考え方で整理しようとしているのか、また、医療現場や薬局に過度な事務負担や混乱を生じさせないため、どのような制度設計を行う考えか、お答えください。

さらに、一部保険外療養制度について伺います。

対象範囲の拡大がなし崩し的に進むことへの懸念から、薬剤以外の診療行為にまで拡大すべきではないとの指摘もありますが、政府として、制度拡大の歯止めをどのように考えているのか、また、対象薬剤や患者負担割合の検討過程、制度実施後の影響検証をどのように透明化していくのか、厚生労働大臣の見解を伺います。

第二に、高額療養費制度についてです。

高額療養費制度は、がんや難病、長期療養を必要とする患者にとってまさに命綱です。医療費の支払が家計を直撃すれば、治療継続そのものを諦めざるを得ない方々が出てきます。

今回、長期療養者患者の家計への影響を考慮する旨が法案に盛り込まれたことは一歩前進であると受け止めておりますが、一方で、今後の見直しにおいて、財政論だけを優先し、患者一人一人の実態を十分に把握しないまま、自己負担限度額だけを引き上げていくことは慎重であるべきです。

医療費を抑えるために必要な方策は、患者負担の引上げだけではありません。低価値医療の見直し、医療DXによる重複投薬、重複検査の削減、医療資源の適正配分、生活習慣病対策など、進めるべき改革は数多くあります。

また、近年、認知症領域などでは年間数百万円に及ぶ高額薬剤も登場しておりますが、その有効性、安全性、費用対効果については、実際の診療データを含め、継続的かつ冷静な検証が必要です。

そこで、厚生労働大臣に伺います。

政府は、高額療養費制度の今後の見直しに当たり、患者家計への影響をどのように把握し反映させていくのか、また、予防医療など、患者負担引上げ以外の医療費適正化策をいかに進めていくお考えか、お答えください。

さらに、高額薬剤について、実臨床における有効性や費用対効果をどのように継続検証し、その結果を薬価や保険適用の在り方に反映させていくのか、併せて伺います。

第三に、分娩費用と出産支援についてです。

少子化が深刻化する中で、妊娠、出産に伴う経済的不安を軽減することは、国として当然取り組むべき課題です。一方で、単に給付を増やすだけでは、医療機関側の費用上昇に吸収され、妊婦や家庭の負担軽減につながらない可能性もあります。

そこで、厚生労働大臣に伺います。

地域ごとの医療提供体制の確保、産科医療機関の経営維持、無痛分娩を含む多様な出産ニーズへの対応について、政府はどのように取り組んでいくのでしょうか。また、地域ごと、施設ごとの格差に応じた分娩費用の適正化についても、今後の取組をお伺いします。

また、母親支援は、孤立しない社会設計であるべきです。私自身、三人の子供を育てる中で、出産は終わりではなく、そこからが支援が始まるのだと実感してきました。母親を孤立させないことは、子供を守ることにもつながります。

妊娠、出産、産後は、体だけではなく、心も大きく揺らぐ不安定な時期です。産後うつ、睡眠不足、育児孤立、ゼロ歳児虐待など、支援を必要とする課題は少なくありません。実際、妊娠中から産後の一年間、自殺は妊産婦死亡の重大な要因の一つでもあります。

これら妊産婦のメンタルヘルスの支援を具体的にどう考えているのか、あわせて、産後ケア、助産師支援についてどのように取り組んでいく考えか、こども政策担当大臣の見解を伺います。

第四に、医療保険制度全体の持続可能性についてです。

現役世代の保険料負担は既に限界に近づいておりますが、一方で、医療を必要とする方々を守ることは政治の大きな責任です。大切なのは、世代間の対立ではなく、負担能力に応じた公平な負担と無駄の削減、そして医療提供体制の効率化です。

医療現場の業務効率化を進める上で医療DXは重要な手段ですが、システムやデータの分断、ベンダーロックイン、専門人材不足など、多くの課題が残されております。加えて、医療現場では、DXの名を下に、新たな入力作業や事務分担が増えて負担が重くなっているという声も少なくありません。

そこで、内閣総理大臣に伺います。

政府は、現役世代の保険料負担の上昇をどのように抑制していくお考えか、また、医療DXについて、単なるシステム導入ではなく、本当に現場の負担を軽減するためのDXをどのように実現していくのか、具体的な方向性をお答えください。

第五に、後期高齢者医療制度における金融所得の勘案についてです。

これについては、後期高齢者医療における上場株式の配当等の金融所得を保険料算定や窓口負担割合等の判定に反映するための仕組みであり、世代間の対立をあおるものではなく、負担能力に応じた公平な負担を実現するためのものとして一定の合理性があると考えます。

しかしながら、資産情報は国民の財産状況に深く関わる極めて機微性の高い情報であり、現在では、情報漏えい、目的外利用、過度な行政把握への懸念も否定できません。したがって、資産を含めた負担能力の把握については、理念としては検討に値する一方で、現段階では慎重であるべきだと考えます。

そこで、内閣総理大臣に伺います。

政府は、今回の金融所得の反映に当たり、個人情報保護や利用目的の限定、第三者提供の制限などについてどのように徹底していくお考えでしょうか。

参政党は、国民皆保険制度を守る立場です。しかし、制度を守るとは、現状をただ温存することではありません。将来世代に負担を先送りにせず、本当に必要な医療を守り、不要な支出を見直し、国民が納得できる制度へと立て直すことが不可欠です。

そのために何より必要なのは、国民との信頼関係だと思います。制度変更の理由、分かち合いの意味、その先にどのような社会を目指していくのか。政府には、国民に対し丁寧な説明を尽くすことを強く求め、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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