杉山大志キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

2026年5月26日・第221回国会 参議院 環境委員会 第9号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 7 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 108 発言)

それでは、私から御意見申し上げたいと思います。資料がかなり詳しく書き込んでありますもので、ここではちょっとざっくばらんに分かりやすいようにお話ししたいと思います。

一ページめくって、二ページ目に要旨とありますけれども、私から申し上げたいポイントは大きく二つです。

一つは、今の法案の問題ですね。これは、再資源化をすることは結構なんですけれども、その再資源化に関する負担ですね、費用の負担というものを誰がやるのかということが明確になっていない。これは、新たに国や自治体が負担するという形にすると、それは結局また国民にとっての追加的な負担になります。そうではなくて、太陽光発電に関連する事業者が負担すべきだと、これが一点目です。

このように負担の話をしますのは、これまでも太陽光発電の大量導入のためには再エネ賦課金とか莫大な負担を国民はしていると、この負担は、今後、国がなお太陽光発電の大量導入をすることによってますます膨らんでいくと、こういう中にあって、この廃棄物の再資源化のためにまた国民負担が増えるということで、果たして納得が得られるでしょうかと、これが一つ目です。

もう一つ目ですね、二つ目の私の論点は、そもそも大量廃棄に至っている理由、大量の再資源化が必要な理由というのは何かというと、それは大量導入をしてきたからですね。リサイクルというときにも、基本はまずごみを出さないということであります。その大量導入ということが、太陽光発電の大量導入ということが、果たしてそのメリットとデメリットを検討したときに正当化されるかと。私は、大量導入自体、これはデメリットの方が多いので正当化されないと、つまりそのごみの出る発生源である大量導入自体をやめるべきだと、これが二点目です。

以下、少し詳しく一つずつお話ししていきますけれども、まず三ページ目ですね。ここは硬い言葉で書いてありますが、手短に申し上げますと、現状で、太陽光パネルの廃棄の費用については既に積立制度というものがございます。今般、その廃棄物の再資源化、いわゆるリサイクルの費用についても同様の積立制度をつくることは十分に可能であると。こうやって事業者がそのリサイクルの費用を負うようにすべきだと。

それから、それだけでは足りないですね。四ページ目に第二階と書いてありますが、事業者が倒産したり、あるいは放置したまま、それから誰が所有者か分からなくなったというようなことも大いにあり得ると。そのための、それに備えて、廃棄ないしは再資源化する、このための費用というものも太陽光発電の関係事業者が負担すべきだと。

それから、その次の第三階と書いてありますけれども、現状の法案を見ると、国が共通の費用について負担するように読める、そういう記述がたくさんありますが、共通の費用であっても、これも太陽光発電の関係事業者が当然負担してしかるべきであろうと。

今申し上げた三点ですね、その既存の廃棄の費用に加えてリサイクルの費用も負担すべきだ、それから、倒産とか放置とか、そういった事態に備えた積立ても必要だと、それから、共通のインフラのようなものですね、再資源化の設備とかリサイクルの工場といったことですけど、そういった費用についても関係事業者が負担すべきだと。これは既存の法案を改正することで十分対応できるだろうというのが私の提案です。

以上が一点目でして、ここからは太陽光発電のメリットとデメリットというものを議論していきたいと思います。

まず、五ページ目ですね。この上の方に図がありますけれども、これは、右が、右軸が太陽、風力発電の占める割合で、縦軸が家庭の電気料金で、欧州各国で比較したものです。これを見ると右肩上がりになっていて、つまり太陽、風力を大量に導入したデンマークやドイツなどほど電気料金は高いということです。

なぜこのように高くなるかという理由ですけれども、その下の図二のところで、太陽光発電は二重投資と書いてありますが、これ、左側に火力発電所があって、真ん中に送電線があって、右側に家があるという絵です。で、この右側の家に太陽光パネルを付けても、左側の火力発電所はなくせないわけですね。なぜなら、太陽光パネルというのはお日様が照ったときしか発電しないが、電気はいつでも使いたいからです。

ということで、太陽光パネル、これは本質的に二重投資になるわけですね。これが根本的にコストがアップする、さっき電気料金が上がっている理由で、さらに、大量に導入した場合には、一斉に発電すると余りますので出力制限が必要になる。それが嫌ならば、バッテリーを設置するとか送電線を増強するとかやるんですが、これも皆コスト要因になります。こういったコスト要因のことを電力系統統合コストというふうに経産省では呼んでいますけれども、この電力系統統合コストは非常にかさむということです。

次めくっていただいて、六ページですが、二〇四〇年に日本政府は太陽、風力合計で三割から四割、電力の三割から四割を賄うという計画を立てています。ただ、そのときの太陽光発電のコストというのは、これも政府の資料の数字ですけれども、一キロワット、一時間で三十六・九円というふうになっています。これが大変に高くなるのは、先ほど申し上げた系統統合コストですね。つまり、大量に導入すると、出力制限をしたりバッテリーを導入したりしなければいけないので非常にコストがかさむと。これに対して、既存の原子力発電所や火力発電所を活用すればはるかに安い発電コストで済むことができると。左側に一・九円、四・二円、六・〇円と書いてあります。

こうすると、太陽、風力の大量導入ということをやると、発電コストは三十円ぐらい高くなるわけですね。三十円高くなるということの意味ですが、これは、一般家庭であれば年間十四万円の電気代の上昇になる、それから日本の電力全体で考えると三十兆円のコストアップになるわけです。

このような非常にコストのかさむ太陽光発電の大量導入というものは経済的に全く受け入れられるものではないのではないかと思うんですが。で、私の今これ並べている数字は皆、政府資料に基づいた数字ですけれども、この経済的なデメリットがよく認識されていないのではないかと思います。

それから、七ページ目ですが、これもデメリットの続きですけれども、太陽光パネルの世界の生産の九割以上は中国で、半分は新疆ウイグル自治区です。この写真は新疆ウイグル自治区の航空写真なんですけれども、太陽光パネルの工場の隣に石炭火力発電所が建っておりまして、その隣に露天掘りの炭鉱があります。これは明らかにこの石炭を使ってこのパネルを造るという計画の下に行われていて、新疆ウイグル自治区にはこのような場所が何か所もあることが確認されています。新疆ウイグル自治区ということで、米国は人権侵害の疑いがある太陽光パネルの輸入を禁止しておりますが、日本は対策を打っていないと思います。

それから、その次ですね、環境へのマイナスということで、八ページですけれども、メガソーラーは広大な土地を使います。一メガワットで二ヘクタール。百万キロワットの原子力発電所と同等な電気を得たいと思えば、山手線の内側の面積の二倍が必要になります。

この生態系への影響ですけれども、生態系保全の最も基本的な考え方は、野生生物が生息できる環境を保全すること。で、それがメガソーラーで森林や湿地を覆うということは、完全に反することになります。

それから、CO2の排出も実はゼロではないと。先ほど、建設時に広大な面積を必要とすると。そこが森林であったり湿地だったりする場合には、当然そこに蓄えられていたCO2が大気中に放出されるわけです。それから、先ほどのように石炭火力で造ったパネルであれば、製造時のCO2もある。これらを勘案すると、太陽光パネルを使うことによってCO2が減るといっても、そもそも建設時に発生した大量のCO2を相殺するだけで十年掛かるというのが私の概算です。メガソーラーによるCO2排出は決して無視できる量ではなくて、国や事業者は正確な評価を行う、そういう義務を負うべきだろうと、政策決定もそれに基づくべきだと考えます。

最後の点ですが、九ページですね、今度はメリットの方です。

メガソーラーでCO2を削減して気温は何度下がるのかと。これは、国連のIPCCがまとめた図が、図五といって上にありますが、このまとめでは、累積のCO2排出が一兆トンになると〇・五度の気温上昇になると、こういう因果関係があると整理されています。

これを信じて、日本政府がやっている政策の気温低下の効果というものを概算できる。日本政府は、二〇五〇年にCO2排出ゼロと言っております。それが図六ですけれども、現時点で大体十億トンCO2を出しておりますと。そうすると、これから二十五年の累積で直線的にCO2を減らすとすると、赤い三角形の部分が削減されるCO2で、これは累積百二十五億トンで、これは、百二十五億トンということは〇・〇一二五兆トンですが、先ほどの国連のまとめた比例関係を使って〇・五を掛けると、気温の低下は〇・〇〇六度となりますと。これ日本のCO2削減全体の効果でありまして、太陽光発電による効果というのはこれの内数ということになりますから、太陽光パネル大量導入の効果というのはこの〇・〇〇六度を大きく下回るということになります。

このようにしてデメリットとメリットをてんびんに掛けた場合に、太陽光パネルの大量導入を続けるべきだとは到底思えず、本法律案が関係する再資源化に関しても、そもそもの廃棄物を出さないという観点から大量導入をすべきではないというふうに考えます。

私からの意見は以上です。

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