塩入清香 (参政党)

2026年6月3日・第221回国会 参議院 本会議 第18号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 26 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 37 発言)

参政党の塩入清香です。

私は会派を代表し、令和八年度補正予算について質問いたします。

まず、現在の経済状況について確認します。

二〇二六年一月から三月期の実質GDPは前期比〇・五%増、名目GDPは〇・八%増となりました。しかし、その後の経済状況は大きく変化しています。中東情勢の影響により、輸入物価は急上昇し、四月の輸入物価指数は前年比一七・五%増となっています。これまで、円安にもかかわらず輸入デフレーターはマイナスで推移していましたが、状況は一変しました。

今後は、輸入コストの上昇が企業収益や家計を圧迫し、消費者物価を押し上げる一方で、四月から六月期のGDPデフレーターはゼロ近傍あるいはマイナスに向かう可能性があります。つまり、物価は上がるのに経済は苦しい。世界経済が直面しているスタグフレーション圧力が日本にも及び始めていると私は認識しております。このような状況だからこそ、今回の補正予算が本当に国民生活を守る内容になっているのか、伺ってまいります。

まず初めに、補正予算の財源について伺います。

今回の補正予算については、政府は新規国債の市中発行額を増やさず対応すると説明しています。今回の補正予算の財源は具体的に何なのか、総理、まず明確にお示しください。

政府は、令和七年度分の国債発行を減額し、令和八年度へ付け替えると説明しています。しかし、これは国債を年度をまたいで調整しているにすぎません。新規の国債発行を行わず既発債を活用するということは、すなわち、新たな需要創出にはならず、経済のパイは一向に広がりません。つまり、元々押し上げる予定だったGDPをそれ以上に押し上げる効果はないと認識いたします。

積極財政とは、そもそもここを削ってここに付け替えるといった予算編成を指す言葉ではありません。積極財政とは、政府が国債発行を行い、資金を投じて民間経済の落ち込みを補う拡張的な財政運営を意味します。つまり、財政支出の量を増やさないのであれば、それは緊縮財政です。税収の上振れや既発債の調整を前提にするのではなく、国民生活と日本経済を守るために必要な新規国債発行を行う、それこそが本来の積極財政ではないでしょうか。

次に、補正予算の規模です。

私はこれまで、財政運営の新たな指標として、ネットの資金需要マイナス五%程度を一つの目安とする考え方を申し上げてまいりました。民間の資金需要が弱く、家計も企業も将来不安から支出を抑えているときこそ、政府が十分に支出し、需要を下支えすべきです。

現在、日本経済はネットの資金需要がプラス化するという非常事態にあります。つまり、企業が借入れの返済に走り、同時に政府の財政赤字が小さ過ぎる状況です。ネットの資金需要マイナス五%では、今まさに三十兆円規模の補正予算が組まれるべきタイミングです。

いわゆるイラン戦争前の二〇二五年度でも、十八兆円の補正予算が組まれていました。今回はたった三兆円、二〇二五年度の名目GDP比で僅か〇・四五%。これでは余りにも規模が小さ過ぎます。そもそも令和八年度当初予算自体がプライマリーバランス黒字化しているわけで、新規国債発行の余力はまだまだあると認識しますが、総理の御見解を伺います。

続いて、電気・ガス補助金について伺います。

今回、電気・ガス料金支援に約五千億円を投入し、標準家庭で三か月五千円程度の負担減とされています。しかし、エネルギー代の高騰に加え、再エネ賦課金は政府試算でも標準家庭で年額二万円と、大きな負担となっています。この状況で、三か月で五千円は余りにも不十分ではありませんか。

しかも、補助金は終われば元に戻ります。政府自身が中東情勢による価格上昇の先行きは不透明であると説明しているにもかかわらず、なぜ三か月という期限付の一時的な補助金にしたのでしょうか。経産大臣、合理的根拠があればお示しください。

また、現在、ナフサを始めとする原材料や部材の供給不安が高まっています。そうしたサプライチェーンの停滞によって、工場の稼働縮小や建設工事の遅延、受注減少などが発生しており、実際には、仕事はあるのに部材が届かない、工場が働かない、動かない、現場が止まることによって働けなくなってしまった統計に表れない実質的な失業者は既に多数いらっしゃいます。今後、休業や所得減少が広がった場合、雇用調整助成金の拡充や休業補償、所得補償などの追加対策を是非とも検討していただきたいと強く要望いたします。

次に、消費税減税あるいは廃止を行わない理由について伺います。

現在の物価上昇は、エネルギー危機に伴うコストプッシュ型のインフレです。OECDは、二〇二二年から二〇二三年のエネルギー危機に際し、広範な価格統制より低所得者向け財政支援や税負担軽減を重視すべきと指摘。IMFも同じく、一律の価格補助よりも所得支援や税制措置の方が効率的であるとしています。

日本でも、第一次石油危機の一九七四年、狂乱物価と景気悪化に対して所得税減税が行われました。つまり、エネルギー価格高騰に起因するインフレ局面では、一時的な価格抑制だけでなく、家計の所得を支える財政措置や税負担軽減が重要であるということは、国際機関の指摘や歴史を見ても明らかなのです。であれば、補助金による一時的な価格抑制だけでなく、消費税減税あるいは廃止によって国民を救うべきではありませんか。総理の認識を伺います。

高市内閣はこれまで、投資の予見性を高めると何度も繰り返してきました。しかし、企業にとって最も大きな予見性とは、国民の購買力が回復し、需要が見込めることではありませんか。国民の手元にお金がなければ、企業の売上げは増えません。売上げの見通しがなければ、賃上げも投資も進みません。

また、消費税は、赤字の企業であっても課税される、滞納率が最も高い、賃上げの原資を奪っている賃上げ妨害税です。その上、人材投資や設備投資の原資も奪っているわけですから、消費税は投資妨害税であるということも今回から付け加えておきたいと思います。

次に、給付付き税額控除の制度設計について。

本来、給付付き税額控除とは、税額控除、すなわち所得税及び住民税などの減税が中心であり、控除し切れない部分においては給付で補完するという制度です。ところが、現在の議論は、給付ばかりが先行し、減税の議論が見えてきません。なぜ給付付き税額控除を給付に一本化されようとされているのでしょうか。経済財政担当大臣、合理的な理由があればお示しください。

もし給付付き税額控除という名称を用いながら実際には給付のみを行うのであれば、それは単に減税を避けるための言い訳ではないですか。また、準備期間や事務負担などが要因とおっしゃるなら、増税の際にはそれがほぼ問題視されてこなかったことと整合性がありません。消費税だけでなく、所得税までも減税を避けるのであれば、国民の目には、高市内閣はあくまで減税はしない、国民の手元にお金を残す意思がないというメッセージを送ることになるのではないでしょうか。

最後に申し上げます。

今回の補正には、緊急対策として、電気、ガス、LPガスなどの支援策が含まれていることは評価いたします。しかし、その財源は国債発行予定額の中での調整とのこと。つまり、経済のパイは膨らまず、日本型スタグフレーションが深刻化するおそれがあります。

また、今回はリスク最小化予算とのことで、中東情勢への対策のみ、ごくごく当たり前の予算に絞られています。しかし、高市政権の経済政策は責任ある積極財政と官民連携の投資なのですから、リスクの最小化にとどまらず、少なくとも戦略十七分野の予算は今回の補正にも入れるべきでした。

そもそも、二〇一九年秋に消費税一〇%引上げ、その後のコロナ禍、ロシア、ウクライナ情勢、喫緊の中東情勢、日本国民はかつてない物価高と実質賃金の長期的低下の中、必死に働き、納税をし、生き抜いてきました。だからこそ、今回の補正だけで終わるのではなく、秋以降の追加補正、そして令和九年度予算において、より大胆な財政出動で恒久的に国民を支えていただきたいのです。

与党の中にも、積極財政の必要性を訴えてこられた議員の皆様が百名規模でおられます。国民会議ではなく、この国会の場において、国民の所得を増やし、需要を創出し、日本経済を成長させる真の積極財政と減税政策を実現していただくことを強く要望し、私の質疑とさせていただきます。

御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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