串田誠一 (日本維新の会)

2025年5月9日・第217回国会 参議院 本会議 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 14 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 58 発言)

日本維新の会の串田誠一です。

会派を代表して、ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案について質問いたします。

本法案では、「下請事業者」を「中小受託事業者」と、「親事業者」を「委託事業者」に改めることになりました。その理由としては、発注者と受注者が対等な関係ではないという語感を与えるとの指摘があるとのことでした。

この改正に異論はありませんが、名称を変更することで現実が変わるものでもありません。名称を変更することによって趣旨どおりの対等な関係になることを願っていますが、現実は対等になりにくい構造を有していることを常に意識して取り組まなければならないと思っています。

本改正案の衆議院での審議では、各会派より多方面からなされておりました。それを踏まえ、委託事業者が単純に支払を遅延しているばかりではないので、弁護士として関連する事業、事案を担当してきた経験から、実務において争いになりがちな点を指摘しながら、本改正案との関連を質問したいと思います。

まず、実務で争いになることが多いのは、債務不履行、特に不完全履行の主張ではないでしょうか。民事訴訟の三〇%以上が債務不履行関連であるとも言われています。中小受託事業者は代金請求に対し請負業務は完全に履行したと主張し、委託事業者は履行が不完全であると主張する争いが全国で行われています。仕上がりや内容について委託事業者の納得のいかない場合に代金の不払が発生します。

不履行を理由に支払を拒否されれば、中小受託事業者としては訴訟に踏み切るしかなく、判決までの長い間の不払を避けるため、やむなく譲歩して和解に応じる場合、請負代金の減額になるか、不払期間の遅延損害金は除かれるのが多くの裁判実務ではないでしょうか。このようなトラブルが発生している場合、公正取引委員会は仲裁機能があるのでしょうか。伊東国務大臣にお聞きします。

業務内容が追加などで変更される際にもトラブルが発生します。追加により必要な資材が増える場合には委託事業者も下請代金の増額を認める方向になりやすいと思われますが、仕様変更の場合には下請代金は変わらないと主張するケースも多くあります。

しかし、仕様変更によっても、段取りが変わり、担当する人や資材の変更が必要になったり、仕様変更で納期に間に合わなくなり、人員を増やさざるを得ないこともあります。その際には、下請代金の増額が必要になる場合も多いでしょう。ところが、現場での仕様変更は随時行われることもあり、契約書作成が伴わない場合も少なくありません。

そこで、このような仕様変更による下請代金の支払トラブルを避けるためにはどのように対策をしておくべきなのか、武藤経産大臣にお聞きします。

また、追加や仕様変更によるトラブルが一部にあったとしても、それ以外の履行に問題がない場合も多くあります。しかし、現状では、争いの部分も含めて、全額において支払が滞ることが実務では多いのではないでしょうか。

そこで、争いのない部分については速やかに支払をするような仕組みづくりが必要ではないかと思います。公正取引委員会では、このような申出においても異議のない部分について必要な措置をとるべく勧告されるのでしょうか。伊東国務大臣にお聞きします。

本改正では、協議を適切に行わない代金額の決定の禁止が設けられています。この協議とは業務着工前だけのことなのでしょうか。

例えば、ここ数年ではロシアによるウクライナ侵攻や、最近はトランプ関税などが勃発しました。当初予定されていないような事態が業務遂行途中で起きてしまい、必要な資材が手に入らない、あるいは高騰してしまって従前の代金では赤字になってしまうような場合には、代金の改定協議は認められているのでしょうか。伊東国務大臣にお聞きします。

中小受託事業者にとっては継続的な取引が極めて重要です。異議を申し出れば今後の取引が継続されない可能性もあるので、泣く泣く我慢することも多いでしょう。

そこで、中小受託事業者が将来の不安なく支払遅延について申出ができることが大切だと思いますが、武藤経産大臣のお考えをお聞かせください。

本改正案では、現金受領までの期間が六十日以内に短縮されました。しかし、六十日間でも短いとは言えないと思います。対等な立場を目指すのであれば、発注者から委託を受けた大規模事業者が、業務終了後、請負代金を受け取る期間の平均を知る必要があります。伊東国務大臣にお聞きします。

委託事業者は、先払いや中間払いにより代金を受領することがあります。請負業務を行うために資材が必要な場合や、完成までの期間が長期に及び人件費等の経費を負担し続けなければならない場合などは前もって資金が必要であるという理由です。これは、資金力に乏しい中小受託事業者ではなおさらです。

そこで、発注者と委託事業者との間で先払いや中間払いが契約上明記されている場合に中小受託事業者にもその時点での支払がなされるべきであると思いますが、武藤経産大臣にお聞きします。

電子記録債権についてお聞きします。

電子記録債権、いわゆるでんさいは、企業間で発生する売掛金などの債権を電子的に記録し、譲渡や割引、決済ができるようにした金融商品です。紛失や偽造のリスクが低く、分割譲渡や早期資金化が容易に行うことができ、印紙税や郵送費が不要であり、活発に利用されています。

特に、中小企業の資金繰りを維持するため、かつて手形割引と言われた機能がでんさい割引として衣替えしました。手形割引は、高い割引料や印紙税など割高感が否めないために、そこまでして回収するのは資金繰りに困っている、財務状況が悪いという印象を与えることもあり、取引先や金融機関から経営状況を疑われることもあったと思います。

でんさい割引はこの点かなり合理化され、中小企業にとって長期の支払期間の資金繰りを解決する有効な手段です。政府としてでんさい割引についてどのように考えているのか、武藤経産大臣にお聞きします。

でんさいによる支払が六十日以内といっても、短い期間ではありません。そこで、でんさい割引が利用されるわけですが、その際は割引料を求められます。委託事業者は短期に支払を受けられるのに対して、中小受託事業者は長く支払を待たされ、その間の資金繰りを埋めるためにでんさい割引などを利用するしかなく、割引料も安くはありません。別の見方からすれば、大規模な事業者が金融機関からの借入金利や手数料を中小受託事業者に押し付けているとも言えなくもありません。

元々でんさいは、発行する委託事業者の信用力が担保になっています。そこで提案ですが、中小受託事業者がでんさい割引を行う際に、金融機関が委託事業者のメインバンクになる場合、あるいは委託事業者の指定する金融機関の場合には、その手数料は大規模委託事業者がメインバンクから借り入れる際の低くなると思われる金利相当の手数料にするなど、中小受託事業者が早期に無理なく資金回収できる仕組みや商慣習を政府主導で行っていくべきではないかと思いますが、伊東国務大臣の見解を伺います。

名称を変えたとしても、圧倒的な力関係の差は現存しています。この溝を少しでも埋める責務は私たち国会議員にあると思います。構造的に弱い立場になりがちな事業者が仕事をした分の代金を早期に安心して受領でき、仕事に邁進できる職場環境を用意することこそ日本再生の第一歩であることを強く意識しながら、国会に課せられた責務を全うしていかなければならないと肝に銘じ、私の質疑といたします。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣伊東良孝君登壇、拍手〕

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