松本尚 (自由民主党)デジタル大臣・内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)

2026年6月12日・第221回国会 参議院 本会議 第21号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 30 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 53 発言)

安達悠司議員の御質問にお答えいたします。

AI開発事業者による個人情報の漏えいや悪用のリスクについてのお尋ねがありました。

まず、本改正案における統計作成等の特例に依拠するか否かにかかわらず、AI開発事業者は、安全管理措置として、その取り扱う個人データの漏えい等の防止等のために必要かつ適切な措置を講じなければなりません。

また、統計作成等の特例に依拠する事業者が統計作成目的で取得した個人情報を統計化等をせずにマーケティングなどそれ以外の目的で利用する行為は、本特例の違反になるとともに、課徴金の対象となります。

これらの規律を通じて、事業者における適切な体制整備を図るとともに、違法な行為を抑止等することによる個人の権利利益の保護が図られると考えております。

次に、AIモデルによる個人情報の再識別についてのお尋ねがありました。

統計作成等の特例における統計作成等に該当するためには、大量の個人情報を個人に関する情報に当たらない状態にまで加工することが求められますので、再識別等が行われるリスクは極めて低いものと認識しております。

また、統計作成等を行う事業者に対しては、委員会規則において、個人情報等の復元防止のための措置を講ずることを求めることを想定しております。

このほか、本特例に基づいて作成された統計情報等に対して不正な攻撃を行い、その作成に用いられた個人情報を復元する行為は個人情報の不正取得となること、復元された個人情報を統計作成等以外の目的で利用する行為は本特例違反となること、これらの違反行為は課徴金の対象となることを踏まえれば、本特例において識別禁止義務を重ねて規定しなくても、個人の権利利益の適切な保護を図ることができるものと考えております。

次に、個人情報の提供の対価についてのお尋ねがありました。

個人情報保護法には、個人情報の提供時の対価についての規律はありません。対価の有無やその額等については、関係する法令を踏まえ、当事者間における合意によって決められるものと考えております。

次に、AI開発のための個人情報の再提供を認めた理由についてのお尋ねがありました。

統計作成等の特例は、AIが急速に発展、普及する中で、複数の事業者が持つデータを共有し、横断的に分析するニーズが高まっていることを踏まえ、特定の個人との対応関係が排斥された統計情報等の作成のみ個人情報が用いられている場合であれば、個人の権利利益を害するおそれが少ないことから、本制度を導入することとしたものであります。

次に、AIモデルの個人情報該当性や譲渡可能性についてのお尋ねがありました。

統計作成等の特例の対象となるAIモデルは、特定の個人との対応関係が排斥されていることが要件となっており、個人情報に該当しません。そのため、個人情報保護法上、更に譲渡することについての規則はないと承知をしております。

次に、個人情報やAIモデルが海外で悪用されるケースについてのお尋ねがありました。

まず、統計作成等の特例に基づいて作成されたAIモデルは、特定の個人との対応関係が排斥されたものでなければならず、こうしたAIモデルの提供等により個人の権利利益が害されるおそれは少ないものと考えられます。

また、本特例に基づき提供される個人情報については、提供先による目的外利用や第三者提供が禁止されており、加えて、これらに違反して対価を得ている場合には、課徴金制度の対象となり得ます。

本特例では、提供元及び提供先は事業者の名称等を公表する必要があるため、個人情報保護委員会においては、こうした公表事項の把握を通じて、外国企業も含め、適切なモニタリングを実施し、厳正に法執行していくものと承知しております。

次に、国等データ活用事業認定制度に関して、行政機関の対象、失礼、行政機関の提供対象となるデータ及び個人情報の提供の可否についてお尋ねがありました。

デジタル行財政推進法等改正案において、認定事業者からの国の行政機関等に対して提供の求めがなされても、他の法令に違反する場合や公益を害する場合などにはデータ提供をしないこととしております。

個人情報については、個人情報保護法において、外部へ提供できる場合が限定されており、これに該当しない場合には提供されないこととなります。統計特例についても、AI開発等を含む専ら統計作成等の目的のためという要件に該当しない場合には、氏名等の保有個人情報の提供は認められません。

次に、行政機関のデータ提供義務についてお尋ねがありました。

本改正案は、国等が保有するデータについて、保護と利活用の適切なバランスを図りながらデータ利活用を促進する観点から、他の法令に違反する場合や公益を害する場合など、所定の要件に該当する場合を除き、データを提供することとしております。

国の行政機関等が、他の法令に違反もせず公益を害さない場合において、この規定に違反してデータ提供を行わなかった場合には、不服申立てなど一般法の規律に沿った取扱いがされますが、そのような事態にならないよう、運用に当たって丁寧に対応をしてまいります。

次に、国等データ活用事業における提供費用又は事務負担の過大、事業者の漏えい等の理由による提供拒絶の可否についてお尋ねがありました。

本法案における改正後のデジタル行政推進法第二十九条第二項第三号においては、認定国等データ活用事業者からデータ提供の求めを受けた際に、公益を害し、又はその所掌事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合には、求めを受けた主務大臣はデータ提供を行わないこととしております。

具体的な判断は、求めのあったデータの内容や形式、国の行政機関等における保有の状況等の個別具体の状況等を総合的に勘案してなされますが、データ提供に莫大な費用や過分な業務負担を要する場合、さきの要件に該当してデータ提供を行わない場合があり得ます。

また、本法案に基づき策定する指針の内容として、漏えい対策を含めた適切な安全管理措置の実施や、必要に応じて国外へのデータ移転に関する適切な取扱いを実施することも想定しており、この指針に沿った事業計画となっていない場合には、国等データ活用事業として認定されないことになっております。

次に、国等データ活用事業において外資系ビッグテック企業の利用を想定しているかについてお尋ねがありました。

本改正法案では、データの利活用を促進する観点から、資本関係等について一律に特定の属性の事業者を認定対象から除くことはありません。

他方で、安全保障等の観点も念頭に、データの保護との適切なバランスを図るため、認定に当たっては、安全管理の内容や、要すれば当該事業者の資本構成といった点も含め、計画全般の適格性について丁寧に審査を行ってまいります。

次に、国等データ活用事業における手数料以外の情報提供の対価の徴収についてお尋ねがありました。

デジタル行財政推進法等改正案においては、国の行政機関等の保有するデータの提供を求め、当該データの提供を受ける認定国等データ活用事業者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければならないと規定しております。

この手数料以外に、このデータ提供を受ける際に徴収される本制度上の費用はありません。

次に、国等データ活用事業における提供先企業及び提供内容の公表についてお尋ねがありました。

データの利活用に際して、国民一般に対する透明性を高め、安心感を醸成するという観点からは、国等データ活用事業に関する事項についてより多くの内容を公表することが望ましいと考えております。

他方で、事業によっては、その内容を過度につまびらかにすることによって、事業のノウハウ等が流出し、競争上の観点等から不利益を被るケースも想定はされます。

このため、認定制度に関する事項については公表を通じて国民の信頼感に応えるとの考え方に立ちつつ、データの提供先となる認定事業者名や提供するデータの内容など、具体的な公表事項やその粒度については、認定事業の円滑な実施のバランスに鑑みて、個別の事例に応じて適切に判断がなされるよう、施行に向け検討してまいります。

次に、法令の実効性の担保についてのお尋ねがありました。

本法案においては、悪質な違反行為を実効的に抑止する観点から、新たに課徴金制度を導入することとしており、これは事前の勧告、命令を前提としない制度となっております。

個人情報保護委員会においては、課徴金制度を適切に運用し、また勧告、命令に係る権限を迅速に行使し、悪質な違反行為から個人の権利利益を実効的に保護していくものと承知をしております。

次に、団体訴訟制度の導入を見送った理由についてのお尋ねがありました。

個人情報保護委員会においては、適格消費者団体の活用を念頭に、団体訴訟制度の導入を検討してまいりました。

検討の結果、団体訴訟制度の対象について引き続き法制的な整理が必要であること、消費者団体等から、事実関係を把握することの困難性などの実務上の課題に係る意見もあったこと等を踏まえて、団体訴訟制度の導入については見送ることとしました。

その一方で、個人の権利利益の保護を図ることは重要であり、個人情報保護委員会においては、一般の個人からの相談を受け付ける窓口の活用促進、適正な監督権限の行使等により、個人の権利救済が適切に図られるよう取り組んでいくものと承知をしております。

次に、課徴金制度についてのお尋ねがありました。

今回導入する課徴金制度は、違反行為を実効的に抑止することが目的であるところ、事案の規模の大小問わず、すべからく課徴金を課さなければならないこととすると、限られた行政リソースの下では、抑止の必要性がより高い大規模な事案に対する監督権限の行使に影響を及ぼすおそれがあります。このため、迅速、機動的な権限行使を確保する観点から、違反行為に係る本人の数によって課徴金納付命令の対象を限定することとしました。

他方で、課徴金納付命令の対象とならない事案については、個人情報保護委員会において、これまでどおり、勧告、命令等を通じて本人の権利利益保護を適切に図ってまいります。

最後に、法改正のタイミング及びビッグテック企業における個人情報の集中等についてお尋ねがありました。

個人情報保護委員会においては、令和二年改正法附則に規定されたいわゆる三年ごと見直し規定に基づき、AIを始めとする技術の進展、国際的動向等を踏まえ、各ステークホルダーとの対話を重ねながら、本法の見直しの検討を進めてまいりました。令和七年六月のデータ利活用制度の在り方に関する基本方針等の各閣議決定を踏まえ、本年一月、同委員会において制度改正方針を決定したものであります。そして、本年四月、本法案は、閣議決定された上で今国会に提出されたものです。

次に、米国のビッグテック企業に日本人の個人情報が集中することに対する御懸念についてであります。

統計作成等特例は、我が国における適正なAI開発を推進するため、AI開発に用いるためのデータの収集を容易にする措置として、統計情報等の作成にのみ個人データが利用されることが担保されていること等を条件とした、本人同意要件の特例を創設することとしております。

本特例は、特定の国の一定の事業者に対する個人データの提供を制限することとしてはおりませんが、事業者に各種の義務を課すことにより、個人の権利利益の保護が適切に図られる制度としてまいります。(拍手)

〔国務大臣小野田紀美君登壇、拍手〕

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