安達悠司 (参政党)

2026年6月12日・第221回国会 参議院 本会議 第21号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 29 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 53 発言)

参政党の安達悠司です。

会派を代表して、デジタル行政推進法及び個人情報保護法の改正案について質問します。

今回の個人情報保護法改正案は、AI開発目的で利用する場合、個人情報を本人の同意なく第三者に提供できるよう特例を設けるものです。

今までは、個人情報を第三者に渡すには、各自、本人の同意が必要でした。しかし、この法案が通れば、AI開発に使われる場合には、個人情報を本人の同意なく渡すことができるようになります。つまり、個人情報を本人の同意なくAI開発に使えるということです。

例えば、企業は、顧客情報全部を匿名化しなくても、顧客本人の同意なく、AI開発事業者にそのままの状態で提供することが可能になります。ただし、提供元の企業と提供先のAI開発事業者双方が、各自の名称と目的などをインターネット上で公表することが必要とされます。

なお、AIは必ずしも万能でありません。多くの生成AIで使われる大規模言語モデルは統計を基礎としており、誤った情報や倫理的に正しくない答えを防ぐことが原理的に困難との指摘もあります。

今回の法案が通れば、AI開発のための個人情報の規制緩和で、個人情報の転売時代になりかねません。今まで、個人情報保護のため、自前でサーバーを用意したり匿名化処理をしていた事業者にとっても衝撃です。事業者はよくても、国民のプライバシーをここまで犠牲にしてよいのかという声に、果たして政府は耳を傾けたのでしょうか。

今後は、例えば、製薬会社がAI開発事業部をつくり、AI開発のため、複数の病院から顧客の、患者の個人情報を購入することも考えられます。また、巨大IT企業、ビッグテックが、AI開発において様々な分野の事業者から個人情報を含むデータを集めやすくなることが考えられます。

この特例は、個人情報がAIモデルに組み込まれると、統計の一要素として個人情報ではなくなり、個人の権利利益を侵害するおそれがないと説明されます。しかし、本当に個人の権利利益を侵害するおそれはないのでしょうか。

そこで質問しますが、改正案は、AI開発事業者は大量に集まった病歴、サービス利用歴などの個人情報の中身を見るため、漏えいや悪用のリスクが高まります。政府は、AI開発事業者による個人情報の漏えいやマーケティングなどへの悪用のリスクをどのように考えていますか。松本大臣にお尋ねします。

また、AIモデルに個人情報を学習させると、パラメーターとなり個人情報ではなくなるとされますが、AIモデルから絶対に個人情報を再識別できないのですか。AIに対する質問によっては、個人情報が回答されることはないのですか。欧州のGDPRのように、統計作成等の定義として個人情報の再識別が不可能であることを要件としなかったのはなぜですか。松本大臣にお尋ねします。

次に、病院などの個人情報取扱事業者が、個人情報をAI開発事業者に提供することと引換えに対価を受け取ることも許されますか。その場合、対価の金額や基準はどう規律しますか。松本大臣にお尋ねします。

また、AI開発のための個人情報の再提供、転売も一定の要件で認めた理由は何ですか。松本大臣にお尋ねします。

AI開発事業者が提供を受けた個人情報からAIモデルを開発した場合、AIモデル自体は個人情報とはみなされず、更に譲渡することは可能ですか。理由も含めて、松本大臣にお尋ねします。

また、外国企業への提供も一定要件の下可能となり、更に転々流通することになりますが、個人情報やAIモデルが転々流通し、海外で悪用されるリスクにはどのように対処するのですか。松本大臣にお尋ねします。

このほか、顔特徴データや未成年者の個人情報に関する改正もあり、大変気になりますが、本会議では時間のため割愛します。

また、民間同士だけでなく、官から民に対してもAI開発目的での個人情報の提供が進むと考えられます。

デジタル行政推進法改正案では国等データ活用事業認定制度がつくられますが、これにより、国のビッグデータが海外や外資系のAI開発事業者にも含め大量に流れていく危険はないのでしょうか。

そこで質問しますが、行政機関の提供対象となるデータは、行政機関が保有する個人情報も含む一切のデータで間違いないですか。松本大臣にお尋ねします。

また、行政機関は、認定事業者に対し、AI開発目的での利用であれば、保有する個人情報もそのまま提供することができるのですか。松本大臣にお尋ねします。

また、法律上の三要件、実施に不可欠、法令違反のおそれがない、公益を害し、又は所掌事務に支障を及ぼすおそれがないを満たす場合、行政機関は、認定事業者に対し、必ずデータを提供しなければなりません。なぜ、行政機関は提供することができるの裁量とせずに、提供しなければならないという義務を課したのですか。また、行政機関がこの義務に違反するとどのような効果が生じるのですか。松本大臣にお尋ねします。

また、行政機関は、拒絶事由を必ず通知しなければなりませんが、大量のデータ提供のための費用や事務負担が過大になる場合、データ提供を拒絶できるのですか。また、事業者がデータ漏えいや域外移転をするおそれがある場合はどうですか。松本大臣にお尋ねします。

説明資料では、分野ごとに国内企業や自治体によるユースケースが紹介されていますが、政府は外資系のビッグテック企業がこの認定制度を利用することを想定していますか。松本大臣にお尋ねします。

行政機関は、情報提供に対し、実費を勘案した手数料とは異なる情報提供の対価を取ることはないのですか。松本大臣にお尋ねします。

行政機関は、どの認定事業者にどんな内容のデータを提供したか公表をするのですか。松本大臣にお尋ねします。

こうしてAI開発のため、民間からも行政機関からも大量の個人情報を集めるのがAI開発事業者です。もしかすると、AI開発目的のため、今までの行政機関以上に個人情報を集める事業者も出てくるかもしれません。AI開発事業者に対する監督の在り方は、非常に重要な問題です。

この法改正で最も個人情報が集まるのはAI開発事業者であると考えられますが、現在、AI開発事業者に対する監督官庁や業法はありますか。小野田大臣にお尋ねします。

個人情報保護法は直罰規定が乏しく、勧告、命令に違反しない限り罰則が科されないことが多いですが、法令の実効性をどう担保するのですか。松本大臣にお尋ねします。

また、AIによるプロファイリングの本質は、個人を特定しなくとも特定の集団に分類し、ローンの拒絶や利益誘導などにより個人の行動をコントロールできる点にあります。これが広がれば、国民は特定の集団に分類されることを恐れて自由に発言できなくなるおそれもあります。個人では巨大IT企業に対抗できないからこそ、違反行為の差止めや被害回復を消費者団体などが行う団体訴訟制度が検討されましたが、この制度を見送った理由は何ですか。松本大臣にお尋ねします。

今後、自由競争により、AI開発目的で個人情報がグーグルやアマゾンなど少数の企業に集中し、ますます個人情報の寡占や独占が進むおそれがあります。その中で、政府は公正な競争をどのように確保するのですか。公正取引委員会委員長にお尋ねします。

また、今回、課徴金制度を創設しますが、千人以上の個人情報漏えいが要件であることなど非常に多くの要件があり、違反した事業者に対して制裁の実効性が乏しくなりませんか。例えば、国会議員七百十三人の情報を漏えいしても課徴金を取れないのは不合理ではありませんか。松本大臣にお尋ねします。

ところで、与党自由民主党は、五月二十日に公表したデジタル・ニッポン二〇二六のAIホワイトペーパーの中で、ソブリンAIからAI主権へと明記され、全面的な自前主義でのソブリンAIの開発を諦めたかのような記載があります。個人情報をAI開発に使いやすくする今回の法改正と軌を一にしており、ビッグテックに対する敗北宣言のようにも受け止められかねません。

そこで質問しますが、政府はソブリンAIの開発を放棄するのですか。その理由も含め、小野田大臣にお尋ねします。

AIは、技術力も重要ですが、学習するデータの量が決定的です。外資系や外国企業への個人情報提供を厳しく制限し、国産で自前のソブリンAI開発を進める選択もあると思います。このままでは、オープンAI、グーグル、アンソロピックなど、米国の大手AI開発企業がますます有利になりかねません。政府は、なぜこのタイミングで今回の法改正を行ったのですか。また、アメリカのビッグテック企業に日本人の個人情報が集中することに対する歯止めは必要ないのですか。松本大臣にお尋ねします。

このままでは、日本人の個人情報がAI開発事業者に丸裸になります。日本をビッグテックのデジタル植民地にしてはならないと強く訴え、私からの質問を終わります。

ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣松本尚君登壇、拍手〕

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