打越さく良 (立憲民主党)

2026年5月15日・第221回国会 参議院 本会議 第13号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 5 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 42 発言)

立憲民主・無所属の打越さく良です。

私は、会派を代表し、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案について質問を行います。

歴代自民党政権は、必要なときは外国人労働者を受け入れて労働力として使い回し、都合が悪くなると規制を厳しくして追い返したりしてきました。こうした御都合主義が在留資格を極めて複雑怪奇なものにしてしまい、自治体や企業、学校などの現場に混乱を来してきたのです。

その上で、人手不足が既に深刻化しつつあったにもかかわらず、人手は足りているが国際貢献策とごまかして、外国人労働者技能実習制度等が導入されました。その結果、制度的な欠陥から人権侵害や労働法制違反が繰り返され、国際社会から現代の奴隷制度との批判を受けてきたのです。

昨年、全国知事会は、地方における人材不足は深刻であるとして、外国人受入れ環境の整備等を実現するため、多文化共生施策実施の根幹となる基本法の策定を求めています。ところが、本法案は、そうした方向に逆行し、日本を選ばれない国にし、人手不足の地方の持続可能性を更に危うくするのではありませんか。

立ち止まって、まず増加する在留外国人と日本人が対等な構成員として人権を尊重し合い、地域社会で共生する環境を整備するため、国や自治体の責務、基本的理念を定めるため、立憲民主党が提案した多文化共生社会基本法を策定すべきではありませんか。法務大臣の見解を求めます。

そもそも、政府が外国人労働者の受入れのためのきちんとした法整備を怠ってきたため、在留資格の技術・人文知識・国際や経営・管理等に混乱を来していることへの反省はないのでしょうか。法務大臣、いかがですか。

本法案は、現行法で定められている在留許可手数料の上限である一万円に段階を設け、在留資格の変更許可と在留期間の更新許可で十倍の十万円、永住許可では三十倍の三十万円と大幅に引き上げ、在留資格の変更、更新や永住許可に係る手数料を大幅に引き上げるものです。しかし、その負担やコストを日本で日々暮らしている在留外国人に転嫁するのは不合理ではありませんか。法務大臣、いかがですか。

今や、およそ四百十三万人もの在留外国人は、地域を共に支える生活者であり、納税者であり、社会の構成員です。にもかかわらず、合法的に日本で暮らし、納税し、地域を支えている人々に外国籍であるという理由で不法残留者対策のコストまで負担させる。共に社会を支える存在としてではなく、外部の存在と決め付ける、偏見と分断に基づく制度設計なのではありませんか。法務大臣の見解を求めます。

手数料の応益的要素、政策的要素が極めて曖昧になっている背景に、昨年末に財務省が作成した令和八年度予算のポイントにおける外国人関連手数料等の引上げと関連施策の充実があります。そこには、法務省の在留関係手数料が他施策の財源確保にも寄与と明記されています。

報道によれば、財務省は増収分の一部を高校無償化やガソリン税旧暫定税率廃止の財源に充てる考えとされています。また、高校授業料無償化の拡大に必要な四千億円のうち、三千億円程度を外国人負担増で手当てするという構想があるとも報道されています。財務大臣、そのようにお考えなのですか。

外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議の総合的対応策には、受益者負担の観点から、外国人に相応の負担を求めるとあります。ところが、財務省幹部は、外国人の負担増ならやりやすいと述べたと報じられています。

財務大臣、排外主義的な空気に乗じて負担増を行おうとしているのではありませんか。

今回の手数料引上げについては、外国人本人だけでなく、受入れ企業等への影響も深刻です。在留資格更新などの費用を企業や団体が負担しているケースは少なくありません。しかも、外国人材を必要としているのは、人手不足に直面する地方の中小企業です。

外国人材によって事業継続に活路を見出してきた地域企業に更なる負担を課すことについて、どのような影響分析を行ったのか、法務大臣、お答えください。

入管庁が今回の引上げ理由として挙げる施策には、難民等の適切かつ迅速な保護も含まれるのですか。しかし、難民認定と保護は、日本が難民条約批准国として果たすべき国際法上の義務であります。法務大臣、それを外国人管理に要する費用として在留外国人に転嫁するのは不合理ではありませんか。

在留手数料の引上げで最も深刻な影響を受けるのは、在留資格更新の頻度が高い難民申請者です。難民認定審査には平均二年十か月を要し、五年、十年近く待たされている例もあります。迫害から逃れてきた人たちにとって、在留手数料は既に重い負担です。

現在でも支払が困難な難民申請者がいる中、更に手数料を引き上げれば、本人の意思に反して非正規滞在に追い込まれかねません。政府は不法滞在者ゼロプランを掲げていますが、逆に非正規滞在者を増やす結果になります。法務大臣、本末転倒ではありませんか。

そもそも不法滞在者ゼロプランそのものが、現在の在留外国人に対する排外主義的な風潮、風潮を蔓延、拡大させてきた安倍政権以降の官製ヘイト政策によるものであり、本法案がそれを更に助長するものであることは論をまちません。

また、生活が立ち行かず帰国を余儀なくされるならば、迫害の危険がある国へ難民を送還してはならないというノン・ルフールマン原則との関係でも重大な問題が生じます。外務大臣の見解を伺います。

その上で、法務大臣、難民申請者及び難民認定については、諸外国と同種の手数料というのであれば、あれば、手数料を課すべきではないのではありませんか。

衆議院において入管庁は、国民の税金で主として賄われている外国人施策について、今回の増収があった場合、日本人の負担と入れ替え、外国人に負担していただくと驚きの答弁をしました。

しかし、在留外国人もまた、所得税、住民税、消費税、年金、健康保険料等を支払い、地域社会を支えています。在留外国人を負担も担う生活者としてではなく、専ら受益者としてのみ扱うのであれば、それは事実認識として誤っているだけでなく、共生社会に逆行する発想ではないでしょうか。法務大臣の認識を伺います。

本法案について入管庁は、在留許可手数料の額が無限定とならないようにするため、実費のほか、応益的、政策的要素を勘案すると説明します。しかし、曖昧な勘案要素により、逆に恣意的で無限定な積算が可能になってしまいます。一九八一年の改正で現在の上限額一万円が規定された際には、実費を中心に勘案して定められたものとされていました。

法務大臣、手数料は本来、対価的負担として考えるべきであり、応益的要素、政策的要素を持ち込むべきではないのではありませんか。

入管庁は、諸外国の同種の手数料に比べ日本は低いため、欧米並みに引き上げると説明します。しかし、滞在許可に要する費用について、入管庁の資料を見ても、高額なのは英米の専門的就労資格であり、韓国、フランス、イタリア、ドイツなどでは、専門的就労資格でも今回改正水準より低い。さらに、私の調査では、何と英米では本人ではなく事業主負担です。全く同種でないものを引き合いにした悪質な印象操作ではありませんか。

しかも、難民申請中の方が滞在許可を受けるために要する費用等については資料が示されていませんでした。私の求めに応じて、入管庁はようやく五月十二日付けで資料を提出しました。その資料には、何と欧州においては難民申請中の在留期間の更新手数料も難民認定申請に係る手数料の納付も必要ないと記載されていました。諸外国との比較を根拠にするとしながら、都合の悪いものは隠していたのです。

法務大臣、不十分な比較を根拠として法改正を進めることは拙速ではありませんか。

ところで、短期滞在で日本を訪れる観光客と、日本で働き、学び、家庭を築き、地域社会の一員として暮らしている在留外国人とは全く異なる存在です。しかし、入管庁が今回の引上げ理由として挙げる施策には、デジタル技術の活用による出入国在留管理行政のDX推進や不法滞在者ゼロプランの強力な推進などが含まれています。政府は、これまで観光立国を掲げ、ビザ免除対象国・地域を拡大してきました。その結果、一部地域でオーバーツーリズムなどの問題が発生しました。そこで、在留外国人にこうした費用を転嫁するというのは余りにも不合理でございます。

JESTAについても伺います。

衆議院での質疑では、虚偽の事実を申し立てたりする人はなかなか入りにくくなると答弁がありました。しかし、例えば、本国で不当な迫害を受けた人が、本名では出国ができないため他人名義でJESTAを利用したという場合は、そもそも受け入れないという判断をする制度になるのでしょうか。その場合、難民条約批准国としての責任は果たせなくなるのではないでしょうか。外務大臣に伺います。

近年、不当な差別に苦しめられているクルド人の多くは査証免除国であるトルコ国籍です。例えば仮にJESTA制度によってクルド人というだけで入国が難しくなるような事態になれば、まさに国連人種差別撤廃委員会が一般的勧告三十六で危惧したAIによるレイシャルプロファイリングが現実化することになります。万が一にも、このような誤った運用になってはなりません。

法務大臣、私たち立憲民主党などが提出した難民等保護法案のように、独立性、専門性を持つ第三者委員会を設置して難民認定の判断を任せるとともに、JESTA制度の運用についても第三者機関による検証を可能にすべきではありませんか。

そもそも外国人の受入れによって利益を得ているのは、日本社会全体です。介護、物流、建設、農業、大学教育など、多くの分野が外国人の存在によって支えられています。在留管理費用を受益者負担の名の下に外国人へ集中的に転嫁することは、本当に適切なのでしょうか。

DV被害を受けながらも、日本で子供を育てるために在留資格の維持に必死だった外国籍女性の相談を、私は弁護士として受けてまいりました。また、迫害から逃れて日本に助けを求め、難民申請を続けながら、不安定な在留資格更新を繰り返してきた方々とも向き合ってきました。そうした方々にとって大変ダメージとなる法案です。

在留資格の更新とは、その人が日本で安全に暮らし続けられるか、家族とともに生きられるかという、生活そのものに関わる問題です。そもそも本法案は、DV被害者、難民申請者、外国人労働者、低所得世帯、雇用主など、当事者の声を十分に聞かずに提出されたのではありませんか。法務大臣、この法案は手続的正当性を欠いているのではありませんか。

必要なのは、排除ではなく包摂です。冒頭申し上げた多文化共生社会基本法のほか、差別禁止法制、難民認定の第三者機関化など、国際水準に沿った制度改革こそ必要ではありませんか。

ところが、本法案は、そうした方向に逆行する重大な問題を抱えています。これらの疑問に具体的かつ検証可能な形で真摯に答えていただけますか。答えていただけないのであれば、法務大臣、本法案は一旦撤回してはいかがでしょうか。そして、当事者の声に基づき、根本から策定し直していただきたい。そのことを強く求めまして、質問を終わります。(拍手)

〔国務大臣平口洋君登壇、拍手〕

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