小西洋之 (立憲民主党)

2026年5月13日・第221回国会 参議院 本会議 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 8 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 37 発言)

立憲民主・無所属の小西洋之です。

会派を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。

冒頭、本法案責任者の高市総理の地位の正当性に関し、総理に質問をいたします。

本法律案には、さきの総選挙での与党の公約事項が複数含まれていますが、高市総理は、公設第一秘書の木下氏の総選挙などにおける批判・中傷投稿への関与疑惑について、我が会派の小島とも子議員、森ゆうこ議員の質問に対し、高市陣営は高市事務所が運営するアカウント以外でのSNS発信は行っていないといったあからさまな御飯論法の答弁を繰り返しています。

問われているのは、木下秘書が第三者たる起業家の松井氏に批判・中傷動画の作成と発信を依頼していたかどうかであります。高市総理は、週刊誌よりも秘書を信じるとした上で、木下氏と松井氏は面識がないとまで答弁していますが、秘書を信じるのは結構ですが、秘書と一緒に国会や国民に対して御飯論法の説明をすることは許されません。

木下秘書が松井氏に総裁選、総選挙で批判、中傷のSNS動画の作成と発信の依頼を本当にしていないのかについて、木下秘書が送受信していたとされる週刊誌報道にあるLINE、シグナル、ショートメッセージについて、高市総理自身の責任でその存否と内容の真偽を実際に確認した結果について、具体的な答弁の説明を求めます。

また、木下秘書は、収支報告書によれば、高市総理の二つの国会議員関係政治団体の会計責任者となっています。報道の動画の作成、発信に要した費用はこれら政治団体の支出なのか、松井氏側からの領収書の受領の有無、各団体の会計帳簿への記載の有無、収支報告書への記載の事実関係について、総理の政治団体の代表者の立場としての責任も含め、会計責任者の木下氏に確認した結果について答弁を求めます。

高市総理は、二〇二三年に、総務大臣当時に主導した放送法の解釈改変について、その経緯を記録した総務省の行政文書をめぐり、部下の官僚たちが悪意を持って捏造したなどと誹謗中傷し、捏造でなければ大臣も議員も辞職すると答弁をしながら、当該文書を作成した三名の官僚全員が捏造などしていないと本院に報告などをしても、なお、その地位に居座り続けました。

誠に保守政治家の風上にも置けませんが、週刊誌報道の内容に関する高市総理の関与の有無と、仮に民主主義の根幹に関わる今般の報道内容が事実であった場合には、総理・総裁としてどのような責任を取る覚悟なのかについて答弁を求めます。

次に、医療基盤物資などの供給確保について伺います。

ナフサ供給に関する総理の説明にかかわらず、医療現場などでの不安の声はやまず、拡大しています。

実効的かつ根本的な解決はホルムズ海峡の通航確保しかありません。在日イラン大使のセアダット氏は、私に対して、高市総理とイラン大統領の首脳間の電話会談において日本とイランの個別協議で日本のタンカーの通航が可能である旨高市総理に告げていると述べましたが、この事実関係について答弁するとともに、イランとの個別協議を実施する意思の有無とその理由について、総理の答弁を求めます。

また、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を掲げながら、首脳間の一方通行的な電話だけで、イラン友好国などの日本の独自性を生かし、パキスタンのようなアメリカとイランの間の主体的な和平の仲介外交の努力をなぜ行わないのか、その理由を、総理、答弁ください。

高額療養費について質問します。

政府は令和八年度予算において制度の見直しを行いましたが、一月当たり百十七円の保険料減額の対価として、高額療養費を使う患者の約八割が負担増、月額では最大で約三八%の負担増などの事態を生じ、患者団体や医療経済学者などから強い批判、懸念の声が上がっています。

本法案では、長期療養者の家計への影響への考慮事項が追記されていますが、患者団体などからは、この改正百十五条のままでは、既に生じている受診断念や生活破綻の抜本改善にならないばかりか、長期療養者については考慮するが、そうでない患者の月額の上限はどんどん上げられるのではないかといった不安の声が上がっています。

すなわち、この法案は、今回の見直しも含めた現行の高額療養費制度の構造的な問題を追認し、かつ、将来における改悪を容認するものになっているのであります。

まず、総理に今回の見直しの問題について質問をします。

総理は衆議院において、今回の見直しによって、多数回該当の維持や年額上限の導入などを行い、長期療養者や低所得者に十分配慮したという官僚答弁の読み上げを繰り返していますが、例えば、所得区分二百万円から三百七十万円の患者と所得区分六百五十万円から七百七十万円の患者の年額上限は、同じ五十三万円となっています。年収二百万円と年収七百七十万円の年額上限が同じ五十三万円ということ自体が、見直し制度のずさんさと破綻を意味しているのではないでしょうか。

総理は、年額上限が五十三万円の年収二百万円、三百万円、四百万円などの患者に受診断念や生活破綻が生じ得ないとお考えでしょうか。また、これらの患者と年収七百七十万円の患者の年額上限が同じであることに公的医療保険制度としての公平性、公正性や合理性があるとお考えでしょうか。官僚答弁ではない総理の見解を求めます。

また、この年額上限には更に深刻な問題があります。

立教大学の安藤道人教授の分析を基にした、衆議院における患者団体、全がん連の天野慎介理事長の陳述によれば、治療中における単純平均値三八・五%、中央値二八・六%の所得減少で、月額で見ると全ての所得区分においてWHO基準の破滅的医療支出に陥ってしまう、すなわち、医療費の支出が支払能力の四〇%を超える事態に陥るとされています。

政府は、私の質問に対し、治療期間中の収入減を考慮して年額上限の制度を設けたと答弁していますが、これは二重の制度の破綻ぶりを述べただけのものであり、全がん連の報告でも約三割減とされる治療期間中の収入減による破滅的医療支出の事態を回避できる制度に抜本改善する必要があるのではないでしょうか。官僚に頼らない総理の見解を求めます。

さらに、見直しにおいては、患者に何人の子供や親などの扶養家族がいるのかなどの個別事情については配慮が措置されていません。要するに、現役世代が子育てや親の介護などを抱えて闘病を行っている生活実態が考慮されていないのです。

高市総理は衆議院において、厚労省の専門委員会では延べ二十を超える様々な事例や家計の収支状況に関する資料などをお示ししたとの官僚答弁を繰り返していますが、その官僚自身が本院の厚生労働委員会における私の質疑において、こうした個別的要素について実質的な考慮と検証がなされたものではない旨の答弁を行っています。

このような見直しが患者や家族を守り抜けるものなのか、現役世代の負担減どころか許されない負担増などではないのかについて、総理自身の見解を答弁願います。

以上、政府の高額療養費制度の問題の一部について指摘しましたが、なぜこのようなことになってしまっているのか。それには、高市総理及び自民・維新政権における高額療養費、さらには、我が国の社会保障の在り方の本質への根本的な認識の欠如があるものと考えます。

我が国の国民皆保険制度の趣旨は、病気などによって、自分の力だけではかけがえのない命、健康、尊厳、生活、家族を守り切ることができないときに、社会みんなの、社会全体の支え合いによってそれらを守り抜くことにあります。

私の父親も、かつて私が十歳のときに脳卒中で倒れ、二十一年余りの寝たきりの闘病人生を送りました。四人きょうだいが育つことができたのは、母親の懸命の努力とともに、憲法二十五条に依拠した日本の社会保障のおかげです。

ところが、この国民皆保険制度における高額療養費の位置付けについて、上野厚労大臣は去る三月の厚生労働委員会において、政府として初めて中核制度であると答弁いたしました。また、高市総理は四月の予算委員会における私の質疑において、高額療養費制度は憲法二十五条の生存権保障の趣旨に適合しなければならないと初めて答弁されました。

高市総理に伺います。

政府の見直しは、そもそも高額療養費が憲法二十五条の生存権を保持するために必要不可欠の制度であり、公的医療保険制度の根幹の中核制度として間違いのない実効性を具備したものでなければならないという認識に欠けていたのではないでしょうか。答弁をお願いします。

こうした政府の高額療養費の制度的本質についての認識の欠如は、見直しのプロセスにおいても重要な問題を起こしています。

高市総理は衆議院において、専門委員会で患者団体の方を始め、九回にわたり丁寧な議論を重ねてまいりましたとの官僚答弁を繰り返していますが、その真実の姿は、専門委員会に具体的な負担増の金額とその制度設計が示されたのは予算閣議決定の前日のその第九回目であり、事実上の事後報告にすぎませんでした。このプロセスに患者の当事者参画の観点において瑕疵はなかったと考えるのかについて、総理の見解を求めます。

以上、高額療養費はほとんど全ての国民がそのかけがえのない生命、健康、人生を託するものでありながら、残念ながら本法案は、その内容、基本理念、設計プロセスの全てにおいて深刻な課題を有する政府の制度を追認し、その将来の誤った見直しの在り方を容認するものとなっています。

立憲民主党と公明党は、共に立案に参画した衆議院における中道改革連合、チームみらい、共産党の共同提出の法案を参考にしながら、より多くの会派の賛同を得られる修正案の検討を進めています。

今般の高額療養費制度の見直しは、昨年の憲政史上初の参議院の予算修正によって可能となったものです。その見直しと将来の在り方が、良識の府の意思を反映し、憲法二十五条の生存権を具体化し、国民皆保険の中核制度としてのその実効性と持続性を具備したものとすることが、この議場に集う先輩、同僚の先生方の意思で実現することが可能なのであります。皆様からの御指導と皆様との協働について、心からのお願いと呼びかけを申し上げる次第でございます。

OTC類似薬の一部保険外療養創設に伴う受診抑制について質問します。

患者団体や医療団体から、特別料金の加算について、受診抑制とそれによる重症化などが懸念されています。一部保険外療養の創設により、どの程度の受診抑制が生じると見込んでいるのか、お示しください。必要な受診が抑制されることは想定していないという逃げの答弁ではなく、どの程度の受診行動の変化を見込んでいるのかというデータに基づいた厚労大臣の答弁を求めます。

一部保険外療養について、昨年十二月の自民、維新政調会長間合意では、令和九年度以降に七十七成分、約千百品目からの対象範囲の拡大と、特別料金の告示に基づく引上げの検討が示されています。本来は制度施行後の患者への影響などの慎重かつ十分な検証を踏まえるべきところ、不当にも方針は既に確定しているように思われます。

範囲拡大や料金引上げありきではなく、客観的なデータと患者側の状況や意見を十分に踏まえた上で、縮小や引下げという選択肢も排除せずに検討すべきと考えますが、高市総理の見解をお願いいたします。

最後に、本法案には周産期医療の提供体制の確保や出産に伴う経済的負担の軽減などの評価すべき施策が盛り込まれていますが、本法案における高額療養費やOTC類似薬のゆがんだ制度改正が明らかにしていることがあります。それは、全ての議論の基盤となる社会保障制度全体の改革の必要性です。

高齢者人口が増加し、生産年齢人口の減少が加速する二〇四〇年に向けて、国民皆保険制度をいかに改善し維持していくか、不足する医療・介護従事者などの確保、医薬品の安定供給や創薬支援、基礎年金の給付水準底上げの財政確保等々、先送りできない課題が山積しています。

こうした重要課題に対処し、憲法二十五条の生存権の趣旨にかなう社会保障制度を将来にわたって持続可能なものにするため、給付と負担の見直しによる令和版社会保障と税の一体改革が今こそ必要なのではないでしょうか。

総理の社会保障国民会議においては、その名に反して社会保障の全体改革は対象外とされ、また、この度の高額療養費の見直しの母体となっている全世代型社会保障改革は、我が国の社会保障の国家戦略の名に値しないことは明白であります。

高市総理に、今と将来の国民のために、令和版社会保障と税の一体改革の必要性の認識があるのか、それに取り組む使命感と決意があるのかを問うて、私の質疑を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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