再審開始決定が出ても、本来公益の代表者であるべき検察官が有罪判決維持に固執し、再審開始決定後も七年も争い続けるという異常な事態が構造として続いてまいりました。
政府答弁によれば、検察官の抗告禁止規定は、検察官の行為規範にすぎません。裁判規範でなく行為規範では、抗告を縛ることなどできるはずがありません。長年司法実務を担ってきた、裁判実務を知り尽くした元裁判官たちが、この制度では冤罪救済ができないと言っています。検察官抗告を全面禁止すべきだと申し上げます。
次に、今回の政府案の証拠提出命令には重大な問題があります。
法務省に伺います。
袴田事件では、五点の衣類に関するカラー写真やネガフィルムが重要な意味を持ちました。布川事件でも、捜査段階の供述や証拠の問題が後に明らかになりました。福井女子中学生殺害事件では、第一次再審では九十五点しか展示されなかった証拠が、第二次再審になってから二百八十七点も開示され、その中から明白性のある新証拠と認定された決定的な証拠が発見されました。
再審が開始され、無罪になった事件の多くにおいて決め手になったのは、捜査機関の下で眠っていて、弁護人の度重なる求めによってようやく開示された証拠です。ところが、政府案は、裁判官が関連性、必要性、相当性があると考えた場合に検察官に裁判所へ提出を命じる制度です。弁護側が無罪を証明するために必要な全ての証拠を得ることを保障する証拠開示制度ではありません。
再審請求人側は、そもそも何が存在するか分からない、検察がどんな証拠を持っているのか分からない、一覧表もない、全体像が分からない中で再審請求理由との関連性、必要性、相当性を示せと言われる。五月雨式の開示では、的確な主張を組み立てることは困難です。
一覧表の開示を義務づけていない政府案は、再審請求人に証拠への直接のアクセスを保障していないのではありませんか。
264
平口洋(自民)法務大臣
お答えをいたします。
再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、御指摘のような理由から全面的に禁止すべきであるとする御意見があることは承知いたしております。
しかしながら、裁判は、確定により拘束力が生じ、その内容に不服があっても争えなくなるからこそ紛争解決機能を有すると考えられるわけであります。再審制度は有罪判決確定後の例外的な救済措置であるところ、誤った再審開始決定であっても一切不服申立てができず、本来やり直すべきでない裁判でも直ちにやり直しとなる制度とすると、確定の意義や裁判の紛争解決機能が損なわれると考えられるところでございます。
また…
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265
畑野君枝(共産)
冤罪被害者の人権を無視する答弁だと指摘しなければなりません。人権に関わる法務大臣として許せない答弁だと申し上げておきます。
検察官の不服申立てについては与党内でも批判が起こり、本則には原則禁止が書き込まれました。しかし同時に、十分な根拠がある場合には抗告できるという例外規定が置かれ、新たな抜け道となる危険があります。
今まで不当な抗告を行ってきた検察に、適切な対応は期待できません。検察官不服申立て禁止の原則と例外が逆転し得る危険性は極めて現実的だと思います。だからこそ、議員法案は、開始決定後は再審公判で争えばよい、入口で止めてはならないと、検察官の不…
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266
平口洋(自民)法務大臣
お答えをいたします。
本法律案においては、再審開始決定があったときは、不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとしております。これにより、検察官が不服申立てをした場合、その都度、十分な根拠の有無について国民の皆さんのチェックを受けることになります。
また、施行後五年ごとの検討条項を設けることとしております。検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされることとなるところ、その結果も踏まえて不服申立てが適正に運用されているかが定期的に評価され、仮に問題があれば、制度の在り方が改めて議論され得ることとなるわけでございます。
以上の…
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- (上の発言)
267
畑野君枝(共産)
再審開始決定が出ても、本来公益の代表者であるべき検察官が有罪判決維持に固執し、再審開始決定後も七年も争い続けるという異常な事態が構造として続いてまいりました。
政府答弁によれば、検察官の抗告禁止規定は、検察官の行為規範にすぎません。裁判規範でなく行為規範では、抗告を縛ることなどできるはずがありません。長年司法実務を担ってきた、裁判実務を知り尽くした元裁判官たちが、この制度では冤罪救済ができないと言っています。検察官抗告を全面禁止すべきだと申し上げます。
次に、今回の政府案の証拠提出命令には重大な問題があります。
法務省に伺います。
袴田事件では、五点の衣類に関するカラー写真やネガフィルムが重要な意味を持ちました。布川事件でも、捜査段階の供述や証拠の問題が後に明らかになりました。福井女子中学生殺害事件では、第一次再審では九十五点しか展示されなかった証拠が、第二次再審になってから二百八十七点も開示され、その中から明白性のある新証拠と認定された決定的な証拠が発見されました。
再審が開始され、無罪になった事件の多くにおいて決め手になったのは、捜査機関の下で眠っていて、弁護人の度重なる求めによってようやく開示された証拠です。ところが、政府案は、裁判官が関連性、必要性、相当性があると考えた場合に検察官に裁判所へ提出を命じる制度です。弁護側が無罪を証明するために必要な全ての証拠を得ることを保障する証拠開示制度ではありません。
再審請求人側は、そもそも何が存在するか分からない、検察がどんな証拠を持っているのか分からない、一覧表もない、全体像が分からない中で再審請求理由との関連性、必要性、相当性を示せと言われる。五月雨式の開示では、的確な主張を組み立てることは困難です。
一覧表の開示を義務づけていない政府案は、再審請求人に証拠への直接のアクセスを保障していないのではありませんか。
268佐佐藤淳法務省刑事局長
お答えいたします。
お尋ねは、通常審における検察官保管証拠の一覧表の交付制度と同様の制度を再審請求審に設けるべきとの御指摘であると理解して御答弁させていただきます。
通常審におきましては、検察官が公訴事実を立証し、被告人、弁護人がそれに反証を行うという当事者主義的構造の下、被告人側が証拠開示請求をするための手がかりとして検察官が保管している証拠の一覧表を交付することにより、証拠開示請求を円滑、迅速ならしめ、充実した公判審理を行うための公判前整理手続等がより円滑、迅速に行われるようにするためのものでございます。
これに対しまして、再審請求審は、職権主…
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269
畑野君枝(共産)
いや、直接のアクセスを保障していないですよ。裁判所への提出と請求人への開示は、全く違います。
参考人質疑でも述べられていましたが、通常審では、検察は大量の証拠を収集しているにもかかわらず、裁判に出されるのはその一部だけです。再審請求の理由と関連するといった限定や、必要性、相当性といった証拠提出の要件が設けられているのに、通常審で不提出とされた証拠の一覧の提示を裁判所限りとして、弁護人に閲覧さえ認めない、そして無罪方向の証拠が検察の手元に残される、後になってその証拠が無罪の決定打になる。これが、冤罪事件で繰り返されてきた構造ではありませんか。どうですか。
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270佐佐藤淳法務省刑事局長
お答えいたします。
当然のことながら、処罰されるべきでない者が処罰されることはあってはならないと認識しているところでございます。
いわゆる袴田事件や福井女子中学生殺人事件などの近時の再審無罪事件においては、再審請求審で検察官が裁判所に提出し、また開示した証拠等を新証拠として再審開始決定がなされたという経緯がありまして、その開示に至る過程におきまして、検察当局として反省すべき点があると承知しているところでございますが、個別の事件において無罪判決が言い渡される理由は様々でございますので、一概にお答えすることは困難でございます。
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