佐々木雅文 (公明党)

2026年6月19日・第221回国会 参議院 本会議 第23号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 17 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 54 発言)

公明党の佐々木雅文です。

私は、会派を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして質疑を行います。

今般、再審制度に関する刑事訴訟法の改正がこうして議題となるまでに、超党派の議連の皆様を始め多くの方々が力を尽くされてきたことに心よりの敬意を表するものです。だからこそ、この参議院において、冤罪被害者を確実に救える制度をつくることが重要ではないでしょうか。

私は、二〇一二年に弁護士に登録しました。以来、当番弁護、国選弁護を中心に、刑事事件の弁護人としての活動も行ってきました。その実感も踏まえ、質疑を行います。

刑事弁護活動の大きな難点、それは圧倒的な情報の非対称性です。被疑者を勾留するとともに、捜索差押え、第三者の供述を得ることなど、様々な証拠の確保が可能な点で、捜査機関側が有利です。しかし、通常審においても捜査機関への証拠の偏在があるにもかかわらず、再審では請求人に証拠の新たな発見を求めるという高いハードルを課しています。

この点、これまでの再審事件においては、捜査機関側から裁判所に未提出だった証拠が開示され、多くの社会的関心を生む中で、様々な視点からの検証がなされた結果、無罪判決につながっています。ですから、必要十分な証拠が開示される手続が不可欠です。他方で、これまでは、証拠開示に関する明文規定は乏しく、ある意味で属人的な対応となっていたことは否めません。

そこで伺います。

まず、今般の改正目的の一つは、再審請求者の手続保障の充実化です。その一環として、再審手続が始まる前に調査手続、スクリーニング規定を設けるとのことです。その規定は、再審の請求が理由のあるものであることが明らかであると認める場合には再審開始の決定がされるという簡潔な内容となっています。しかし、これではかえって判断過程が不透明になるおそれがあります。再審請求者の手続保障に資するものなのか、高市総理の明確な答弁を求めます。

もう一つの改正目的は、誤判からの確実な救済の実現です。そのためには、事実を明らかにする証拠へのアクセスができなければなりません。

提出された法律案における証拠の提出命令制度は、本則で関連する証拠に限るとしていますが、他方、附則では、その範囲が不当に狭くならないように留意するとしています。それであれば、そもそも本則で関連性という要件を外すべきではないでしょうか。

また、改正案ではスクリーニング規定が設けられ、一定の請求理由があると再審が認められるということは、その時点で有罪認定をした証拠構造に疑義があると判断されるわけです。にもかかわらず、改めて証拠開示に関連性を規定する立法事実はあるのか、高市総理の明確な答弁を求めます。

先ほど申し上げたとおり、これまでの再審事件においても、未提出だった証拠の吟味、検討を経て無罪判決につながっています。また、単に未提出だったわけではなく、裁判所が有罪と認定するために意図的に提出していなかったと考えざるを得ない事案もあります。再審請求段階でも、当初は存在することを認めていなかったり、警察から検察に送られていなかったりする証拠もあります。この点、検察官の証拠開示の姿勢に問題があることとともに、そもそも検察官側でも、警察が保管、管理する記録や証拠の整理、把握ができていない可能性も指摘されています。

そこで、あかま国家公安委員会委員長に伺います。

現場を担当する警察は、当該事件において作成、収集、保管している書面や証拠物について、検察官への送致の有無にかかわらず、また一覧表、目録等の名目のいかんは問わず、証拠等の管理のための情報をまとめているかどうか、仮にそうした管理体制が整っていないのであれば、どのように管理しているのか、また、そうした情報を全て検察官に提供しているのか、それぞれ御答弁ください。

精密司法と呼ばれるような日本の刑事手続を全て否定するつもりはありませんし、警察や検察などの捜査機関が日夜努力されていることには敬意を表します。また、その結果、高い有罪率を保っていること、その前提として、そもそも公判を維持できない場合には不起訴にしているものと承知しています。そして、起訴という終局処分をするに当たっては、有罪とするだけの証拠が足りていることを前提に、証拠構造を幾重にも判断しているものと思います。

それであれば、公判未提出の証拠を開示することにちゅうちょする理由はないのではないでしょうか。少なくとも、警察と協力して獲得証拠の一覧表を作成すること、そして再審決定時には開示すべきではないでしょうか。改正案では、そもそもスクリーニングをパスすることが前提になるとともに、現行法でも通常審において一覧表の提示に関する規定があることからも、不利益は生じません。平口法務大臣の所見を伺います。

加えて、仮に証拠が開示されるに至ったとしても、提出された改正案においては、通常審と同様に、目的外使用を罰則付きで禁止することとしています。しかし、政府は、衆議院での議論においても一貫して、再審の職権主義的構造を理由に、証拠開示の範囲を限定しようとしています。それであれば、当事者主義的構造の通常審を踏まえることは整合しません。

また、これまでの再審手続において、証拠の目的外使用を罰則付きで禁止しなければならないような立法事実は生じていません。罰則付きで禁止することは明らかに行き過ぎではないでしょうか。

規定を設ける根拠となる事実があるのか、平口法務大臣の所見を伺います。

再審開始決定に対する検察官の不服申立ての在り方については、この改正案では、原則禁止、例外的に十分な根拠がある場合に限り不服申立てが認められるという内容となっています。しかし、刑事弁護に携わってきた者としては、例えば裁量保釈の歴史などを踏まえると、刑事訴訟法の規定とは別に、実際には原則と例外が逆転した運用がなされてきたという経験則があります。

そこで、高市総理に伺います。

これまで現行法下でなされてきた再審開始決定における不服申立てにおいても、検察官は根拠があって抗告をしてきたのではないでしょうか。仮に根拠がなければ一層問題です。しかし、そうであるのならば、この改正案では、これまでと同様に抗告が行われることになりますし、再審の長期化を防ぐことにはならないのではないでしょうか。

今般の法改正で、これまでの実務の運用は何が変わるのか、高市総理の明確な答弁を求めます。

そもそも、今回の再審制度を中心とした刑事訴訟法を改正するに至った背景は、幾つもの案件で証拠の捏造等が発覚していることです。大変ゆゆしきことですし、構造的な問題があると言わざるを得ません。

警察においては、国賠事案も含めて、証拠の基となるデータ等の捏造が指摘されたり疑われたりする事案が散見されています。また、検察においても、そもそも起訴自体に問題があったと判断をされている事案も発生しています。

そもそもあってはならないことですし、冤罪を生まないための徹底した取組が必要です。また、その前提として、例えば第三者の観点も含めた検証を十分に行うことも考えなければなりません。

再発防止に向けた具体的な対策がなされているのか、平口法務大臣及びあかま国家公安委員会委員長の所見をそれぞれ伺います。

公明党は、冤罪被害者を真に救済するために一層努めていくことを申し上げまして、質疑を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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