立憲民主・無所属の山内佳菜子です。
ただいま議題になりました社会福祉法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。
全ての質問を上野厚生労働大臣にお伺いいたします。明快な御答弁をお願いいたします。
まず、介護保険法についてお伺いいたします。
四月、兵庫で、八十四歳の夫が長年介護してきた妻を殺害するという痛ましい事件が起きました。介護離職、介護難民、老老介護、そして介護殺人、介護をめぐる悲劇は後を絶ちません。介護の問題は、もはや一部の家庭ではなく、社会全体の問題です。
二〇〇〇年にスタートした介護保険法の第一条は、国民の共同連帯により必要な介護サービスを提供することを理念として掲げています。国民が保険料を支払い、必要なときにサービスを受ける、これが介護保険制度の約束です。
しかし、制度創設以来、六十五歳以上の介護保険料の全国平均は約二倍と増加した一方、要支援者向けの一部サービスの給付外しなど、実質的な給付削減が行われてきました。負担は増えた、だけど受けられるサービスは減っている。これでは国民との約束が揺らいでしまうのではないでしょうか。
初めに、大臣に伺います。
この負担増と給付削減の現状をどのように認識していますか。これから先も、保険料は増え、サービスは減るという方針は変わらないのでしょうか。大臣の明確な答弁をお伺いいたします。
次に、地域における介護基盤の崩壊についてお伺いいたします。
要介護、要支援認定を受けている方は、二〇二三年度末で七百八万人、介護保険がスタートした二〇〇〇年と比べて約三倍に増えました。一方で、その方々を支える介護職員は二百十二万六千人で前年比二万九千人減、介護保険制度が始まって以来、初めて減少に転じてしまいました。介護を必要とする人は増える、だけど介護を支える人は減ってしまう。ここでも深刻な逆転現象が加速しています。
長崎県佐世保市の宇久島では、五月、島内唯一の特別養護老人ホームが閉所となり、入所者二十七人が島外への転居を余儀なくされました。人生の最後まで住み続けたい、それは誰もが持つ当たり前の願いではないでしょうか。しかし今、その願いすらかなわない地域が生まれています。地域介護の危機は深刻です。
大臣、住む場所によって介護を受けられる人と受けられない人が生まれる、こうした地域格差について大臣はどのように認識をしていますか。憲法第十四条の法の下の平等、そして憲法第二十五条の生存権と併せてお考えをお伺いいたします。
今回の法案では、中山間地域や人口減少地域への対策として特定地域サービスが創設されます。しかし、その内容は人員配置基準の緩和です。これまでの人を確保し増やすという路線から、これまでよりも少ない人で対応する路線への大きな転換です。
さらに、特定地域サービスでも対応できない場合は、特定地域居宅サービス等事業を創設して、本来介護保険が給付すべきサービスを市町村事業としてサービス提供を行う仕組みも盛り込まれています。
地域ごとの財政力や裁量に丸投げする形にならないでしょうか。住んでいる場所によって受けられるサービスが変わってくるのではないでしょうか。介護格差を更に広げるのではないかと私は懸念をしています。
大臣は、この特定地域サービス等の創設が介護保険制度の公平性を損なうおそれはないと断言できますか。その根拠もお伺いいたします。
人員配置基準の緩和は、介護職員の負担増や離職を招き、利用者の事故や虐待のリスクを高める懸念もあります。
大臣、利用者の安全とサービスの質をどのように確保するのでしょうか。実効性ある担保策をお示しください。
次に、ケアプランの有料化についてお伺いいたします。
ケアプランは、介護サービスを受けるための入口です。ところが、改正案では、住宅型有料老人ホームにおけるケアプランの有料化に踏み切ろうとしています。必要なサービスへの入口を閉ざし、利用控えや重度化につながる懸念があるとして、多くの団体から不安や反対の声を毎日いただいております。
ケアプラン有料化は行うべきではないと考えます。有料化によって利用控えや重度化が起きた場合、どのように対応するのでしょうか。将来的に、在宅を含めたケアプラン有料化へ拡大する考えはないと断言できますか。大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、訪問介護についてお伺いいたします。
訪問介護は、住み慣れた自宅で暮らし続けるための命綱です。しかし、政府は、二〇二四年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げました。その結果、東京商工リサーチの調査によれば、介護事業所の倒産件数は二年連続で最多となり、二〇二五年においては業種別で訪問介護がその半数以上を占めるなど突出していました。在宅介護の基盤が国の政策によって弱体化し、壊されたと言わざるを得ません。
大臣は、この二〇二四年改定後の倒産急増について、どのように分析していますか。今後の教訓も含めてお答えください。
これ以上、国の政策によって介護の基盤を壊すことはできません。そして、介護の問題の根本、人材不足から逃げることはできません。
ホームヘルパーも、二〇二二年の有効求人倍率は十五・五倍という異常な値を示しています。しかし、介護人材はいないのではない、続けられないのです。
政府は処遇改善に取り組んでいますが、それでも令和七年の介護職員の平均賃金は全産業平均よりも八万円も低いという大きな格差があります。なぜ政府の賃上げ政策は現場に十分に届いていないのでしょうか。少なくとも全産業並みの賃金を目標とすべきだと私は考えますが、大臣が掲げる介護職員のあるべき賃金額と、その達成に向けた具体的な取組についてお伺いいたします。
私が知る宮崎の訪問入浴の男性職員の方は、介護と居酒屋の仕事を掛け持ちしています。夜遅くまで働き、翌朝は高齢者の入浴介助に向かう。ありがとうと言われると疲れが吹き飛ぶ、この仕事が本当に好きなんです、お願いですから、介護の仕事を続けられる仕事にしてください、男性からはそのようにお願いをされております。
大臣、今、この今も志を持って全国で介護職員の皆様が現場で汗を流しておられます。全国の介護職員の皆様、そしてこの男性の願いをかなえられるのは、大臣の御英断に懸かっております。
改めて伺います。大臣は、介護人材不足の最大の要因を何だと考えますか。続けられる介護を実現するための具体策をお答えください。
現場では、十万人を超える外国人が日本の介護を支えてくださっています。介護は人の尊厳を支える仕事です。日本人も外国人も、介護を支える人たちの処遇が低いままでよいはずがありません。その仕事にふさわしい敬意と対価が必要です。
大臣、介護職全体の処遇改善が必要ではありませんか。基本給の底上げと適切な労働条件の確保をどのように進めるのか、具体的にお答えください。
次に、介護福祉養成施設卒業者に係る経過措置について伺います。
養成施設を卒業すれば国家資格に、失礼しました、養成施設を卒業すれば国家試験に合格しなくても卒業後五年間は資格を取得できるという期間限定の特例ですが、改正案ではこの特例を更に延長することが盛り込まれています。
人材確保は必要です。しかし、国家資格の信頼性もまた極めて重要です。必要なのは、経過措置の延長ではなく、合格に導くための環境整備ではないでしょうか。働きながら学べる仕組みの充実、そして、国家試験の合格率が低い、日本人に比べて低い外国人介護人材への支援強化です。
大臣、介護福祉国家試験の経過措置は、予定どおり終了すべきではないでしょうか。必要なのは、延長ではなく、資格取得支援の強化ではないでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
次に、日常生活自立支援事業についてお伺いいたします。
認知症高齢者や障害者の地域生活を支える日常生活自立支援事業は、地域福祉の重要なセーフティーネットです。利用は約五万六千人と横ばい、一方で待機者は二千八百人を超えています。現場からは、予算が足りない、人を確保できないから希望者を受け入れられないという切実な声が上がっています。国庫補助基準額の設定の低さ、都道府県の予算確保の不十分さも課題のようです。
そこで、事業に見合った基準額の見直しと財源確保を行うべきではありませんか。また、確実に現場へ届く仕組みを構築すべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。
さらに、今回の改正案では、この日常生活自立支援事業を拡大する形で、身寄りのない高齢者などへの支援体制整備も盛り込まれています。入院や施設入所の手続、金銭管理、そして死後事務まで、支援の範囲は極めて広範です。
この仕組みの必要性は明らかです。しかし、現時点で既に待機者が出ている現場に対し、頼れる親族がいない高齢者は二〇二四年時点で七百九十万人とも推計されています。制度をつくるだけでは不十分です。支えるための人材、財源が確保されなければ機能しません。
大臣、利用ニーズの拡大が見込まれる中、受皿となる社会福祉協議会の体制強化に加え、市町村、都道府県を含めた役割分担と責任の明確化が必要ではありませんか。実効性ある体制整備について、大臣の見解をお伺いいたします。
政府は、利用者のうち、生活保護など資力が十分でない方に無料又は低額の料金で提供する措置を設けますが、それ以外の利用者の多くを占める中間所得層は、高額な民間サービスを利用する余裕はないのではないでしょうか。いわゆる中所得者層が取り残される危険性が高いという指摘もあります。高額な利用者負担だけで制度を維持しようとすれば、料金が払えず利用できない方が増えてしまいます。一方で、料金を下げれば事業者が成り立ちません。
私は、利用者負担だけではこの事業は運営することは困難だと考えます。必要な方が利用できる料金設定や減免措置をどのようにお考えでしょうか。また、事業継続と必要な方への支援をどのように両立させるのか、大臣にお伺いいたします。
最後に申し上げます。
高市政権は、コスト型、コストカット型経済から成長型経済への転換を掲げています。では、その成長の土台は何でしょうか。安心して働ける社会ではないでしょうか。
介護や福祉は、高齢者だけのためにあるのではありません。家族を支えます。地域を支えます。職場を支えます。働く現役世代を支えます。そして、この国全体を支えているのです。
社会保障の良心とも言われた故山本孝史参議院議員は、二〇〇六年五月二十二日の参議院本会議の質疑の中で、皆さんに語りかけられました。この場所からです。命を守るのが政治家の仕事である、救える命があるのに次々と失われているのは、政治や行政、社会の対応が遅れているからですと。介護保険法も社会福祉法も、家族でも個人でも支え切れない命、暮らしを社会全体で支えるという政治の役割を体現するものではないでしょうか。
大臣、最後に伺います。
私たちは、財源論から逃げることはできません。どのように財源を確保し、どのような社会保障国家を目指すのか。給付付き税額控除や消費税のみならず、将来にわたり持続可能な制度をどう構築し、国民の命を守ろうとしているのでしょうか。
制度を守ることは大切です。しかし、それによって目の前の命がこれ以上ないがしろにされることがあっては断じてなりません。今こそ国民的な議論が必要ではないでしょうか。
参議院議員の皆様に御賛同いただきたく、そして、大臣に明確な答弁をいただきたいとお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕
3
関口昌一議長
御異議ないと認めます。上野賢一郎厚生労働大臣。
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕
この発言のページ
4
上野賢一郎(自民)厚生労働大臣
ただいま議題となりました社会福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
我が国の社会が急速な少子高齢化や人口減少に直面するとともに、単身世帯の増加も見込まれる中、高齢者等が抱える福祉ニーズは多様化、複雑化しています。こうした状況及び人口構造の地域差、世帯構成の変化を踏まえ、地域の実情に応じた包括的な支援体制の拡充、福祉人材の安定的な確保及び定着の支援、福祉サービスの提供基盤の強化等を図るため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、担い手不足が深刻化する…
この発言のページ
5
関口昌一議長
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山内佳菜子君。
〔山内佳菜子君登壇、拍手〕
この発言のページ
- (上の発言)
6山山内佳菜子(立憲)
立憲民主・無所属の山内佳菜子です。
ただいま議題になりました社会福祉法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。
全ての質問を上野厚生労働大臣にお伺いいたします。明快な御答弁をお願いいたします。
まず、介護保険法についてお伺いいたします。
四月、兵庫で、八十四歳の夫が長年介護してきた妻を殺害するという痛ましい事件が起きました。介護離職、介護難民、老老介護、そして介護殺人、介護をめぐる悲劇は後を絶ちません。介護の問題は、もはや一部の家庭ではなく、社会全体の問題です。
二〇〇〇年にスタートした介護保険法の第一条は、国民の共同連帯により必要な介護サービスを提供することを理念として掲げています。国民が保険料を支払い、必要なときにサービスを受ける、これが介護保険制度の約束です。
しかし、制度創設以来、六十五歳以上の介護保険料の全国平均は約二倍と増加した一方、要支援者向けの一部サービスの給付外しなど、実質的な給付削減が行われてきました。負担は増えた、だけど受けられるサービスは減っている。これでは国民との約束が揺らいでしまうのではないでしょうか。
初めに、大臣に伺います。
この負担増と給付削減の現状をどのように認識していますか。これから先も、保険料は増え、サービスは減るという方針は変わらないのでしょうか。大臣の明確な答弁をお伺いいたします。
次に、地域における介護基盤の崩壊についてお伺いいたします。
要介護、要支援認定を受けている方は、二〇二三年度末で七百八万人、介護保険がスタートした二〇〇〇年と比べて約三倍に増えました。一方で、その方々を支える介護職員は二百十二万六千人で前年比二万九千人減、介護保険制度が始まって以来、初めて減少に転じてしまいました。介護を必要とする人は増える、だけど介護を支える人は減ってしまう。ここでも深刻な逆転現象が加速しています。
長崎県佐世保市の宇久島では、五月、島内唯一の特別養護老人ホームが閉所となり、入所者二十七人が島外への転居を余儀なくされました。人生の最後まで住み続けたい、それは誰もが持つ当たり前の願いではないでしょうか。しかし今、その願いすらかなわない地域が生まれています。地域介護の危機は深刻です。
大臣、住む場所によって介護を受けられる人と受けられない人が生まれる、こうした地域格差について大臣はどのように認識をしていますか。憲法第十四条の法の下の平等、そして憲法第二十五条の生存権と併せてお考えをお伺いいたします。
今回の法案では、中山間地域や人口減少地域への対策として特定地域サービスが創設されます。しかし、その内容は人員配置基準の緩和です。これまでの人を確保し増やすという路線から、これまでよりも少ない人で対応する路線への大きな転換です。
さらに、特定地域サービスでも対応できない場合は、特定地域居宅サービス等事業を創設して、本来介護保険が給付すべきサービスを市町村事業としてサービス提供を行う仕組みも盛り込まれています。
地域ごとの財政力や裁量に丸投げする形にならないでしょうか。住んでいる場所によって受けられるサービスが変わってくるのではないでしょうか。介護格差を更に広げるのではないかと私は懸念をしています。
大臣は、この特定地域サービス等の創設が介護保険制度の公平性を損なうおそれはないと断言できますか。その根拠もお伺いいたします。
人員配置基準の緩和は、介護職員の負担増や離職を招き、利用者の事故や虐待のリスクを高める懸念もあります。
大臣、利用者の安全とサービスの質をどのように確保するのでしょうか。実効性ある担保策をお示しください。
次に、ケアプランの有料化についてお伺いいたします。
ケアプランは、介護サービスを受けるための入口です。ところが、改正案では、住宅型有料老人ホームにおけるケアプランの有料化に踏み切ろうとしています。必要なサービスへの入口を閉ざし、利用控えや重度化につながる懸念があるとして、多くの団体から不安や反対の声を毎日いただいております。
ケアプラン有料化は行うべきではないと考えます。有料化によって利用控えや重度化が起きた場合、どのように対応するのでしょうか。将来的に、在宅を含めたケアプラン有料化へ拡大する考えはないと断言できますか。大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、訪問介護についてお伺いいたします。
訪問介護は、住み慣れた自宅で暮らし続けるための命綱です。しかし、政府は、二〇二四年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げました。その結果、東京商工リサーチの調査によれば、介護事業所の倒産件数は二年連続で最多となり、二〇二五年においては業種別で訪問介護がその半数以上を占めるなど突出していました。在宅介護の基盤が国の政策によって弱体化し、壊されたと言わざるを得ません。
大臣は、この二〇二四年改定後の倒産急増について、どのように分析していますか。今後の教訓も含めてお答えください。
これ以上、国の政策によって介護の基盤を壊すことはできません。そして、介護の問題の根本、人材不足から逃げることはできません。
ホームヘルパーも、二〇二二年の有効求人倍率は十五・五倍という異常な値を示しています。しかし、介護人材はいないのではない、続けられないのです。
政府は処遇改善に取り組んでいますが、それでも令和七年の介護職員の平均賃金は全産業平均よりも八万円も低いという大きな格差があります。なぜ政府の賃上げ政策は現場に十分に届いていないのでしょうか。少なくとも全産業並みの賃金を目標とすべきだと私は考えますが、大臣が掲げる介護職員のあるべき賃金額と、その達成に向けた具体的な取組についてお伺いいたします。
私が知る宮崎の訪問入浴の男性職員の方は、介護と居酒屋の仕事を掛け持ちしています。夜遅くまで働き、翌朝は高齢者の入浴介助に向かう。ありがとうと言われると疲れが吹き飛ぶ、この仕事が本当に好きなんです、お願いですから、介護の仕事を続けられる仕事にしてください、男性からはそのようにお願いをされております。
大臣、今、この今も志を持って全国で介護職員の皆様が現場で汗を流しておられます。全国の介護職員の皆様、そしてこの男性の願いをかなえられるのは、大臣の御英断に懸かっております。
改めて伺います。大臣は、介護人材不足の最大の要因を何だと考えますか。続けられる介護を実現するための具体策をお答えください。
現場では、十万人を超える外国人が日本の介護を支えてくださっています。介護は人の尊厳を支える仕事です。日本人も外国人も、介護を支える人たちの処遇が低いままでよいはずがありません。その仕事にふさわしい敬意と対価が必要です。
大臣、介護職全体の処遇改善が必要ではありませんか。基本給の底上げと適切な労働条件の確保をどのように進めるのか、具体的にお答えください。
次に、介護福祉養成施設卒業者に係る経過措置について伺います。
養成施設を卒業すれば国家資格に、失礼しました、養成施設を卒業すれば国家試験に合格しなくても卒業後五年間は資格を取得できるという期間限定の特例ですが、改正案ではこの特例を更に延長することが盛り込まれています。
人材確保は必要です。しかし、国家資格の信頼性もまた極めて重要です。必要なのは、経過措置の延長ではなく、合格に導くための環境整備ではないでしょうか。働きながら学べる仕組みの充実、そして、国家試験の合格率が低い、日本人に比べて低い外国人介護人材への支援強化です。
大臣、介護福祉国家試験の経過措置は、予定どおり終了すべきではないでしょうか。必要なのは、延長ではなく、資格取得支援の強化ではないでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
次に、日常生活自立支援事業についてお伺いいたします。
認知症高齢者や障害者の地域生活を支える日常生活自立支援事業は、地域福祉の重要なセーフティーネットです。利用は約五万六千人と横ばい、一方で待機者は二千八百人を超えています。現場からは、予算が足りない、人を確保できないから希望者を受け入れられないという切実な声が上がっています。国庫補助基準額の設定の低さ、都道府県の予算確保の不十分さも課題のようです。
そこで、事業に見合った基準額の見直しと財源確保を行うべきではありませんか。また、確実に現場へ届く仕組みを構築すべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。
さらに、今回の改正案では、この日常生活自立支援事業を拡大する形で、身寄りのない高齢者などへの支援体制整備も盛り込まれています。入院や施設入所の手続、金銭管理、そして死後事務まで、支援の範囲は極めて広範です。
この仕組みの必要性は明らかです。しかし、現時点で既に待機者が出ている現場に対し、頼れる親族がいない高齢者は二〇二四年時点で七百九十万人とも推計されています。制度をつくるだけでは不十分です。支えるための人材、財源が確保されなければ機能しません。
大臣、利用ニーズの拡大が見込まれる中、受皿となる社会福祉協議会の体制強化に加え、市町村、都道府県を含めた役割分担と責任の明確化が必要ではありませんか。実効性ある体制整備について、大臣の見解をお伺いいたします。
政府は、利用者のうち、生活保護など資力が十分でない方に無料又は低額の料金で提供する措置を設けますが、それ以外の利用者の多くを占める中間所得層は、高額な民間サービスを利用する余裕はないのではないでしょうか。いわゆる中所得者層が取り残される危険性が高いという指摘もあります。高額な利用者負担だけで制度を維持しようとすれば、料金が払えず利用できない方が増えてしまいます。一方で、料金を下げれば事業者が成り立ちません。
私は、利用者負担だけではこの事業は運営することは困難だと考えます。必要な方が利用できる料金設定や減免措置をどのようにお考えでしょうか。また、事業継続と必要な方への支援をどのように両立させるのか、大臣にお伺いいたします。
最後に申し上げます。
高市政権は、コスト型、コストカット型経済から成長型経済への転換を掲げています。では、その成長の土台は何でしょうか。安心して働ける社会ではないでしょうか。
介護や福祉は、高齢者だけのためにあるのではありません。家族を支えます。地域を支えます。職場を支えます。働く現役世代を支えます。そして、この国全体を支えているのです。
社会保障の良心とも言われた故山本孝史参議院議員は、二〇〇六年五月二十二日の参議院本会議の質疑の中で、皆さんに語りかけられました。この場所からです。命を守るのが政治家の仕事である、救える命があるのに次々と失われているのは、政治や行政、社会の対応が遅れているからですと。介護保険法も社会福祉法も、家族でも個人でも支え切れない命、暮らしを社会全体で支えるという政治の役割を体現するものではないでしょうか。
大臣、最後に伺います。
私たちは、財源論から逃げることはできません。どのように財源を確保し、どのような社会保障国家を目指すのか。給付付き税額控除や消費税のみならず、将来にわたり持続可能な制度をどう構築し、国民の命を守ろうとしているのでしょうか。
制度を守ることは大切です。しかし、それによって目の前の命がこれ以上ないがしろにされることがあっては断じてなりません。今こそ国民的な議論が必要ではないでしょうか。
参議院議員の皆様に御賛同いただきたく、そして、大臣に明確な答弁をいただきたいとお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕
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上野賢一郎(自民)厚生労働大臣
山内佳菜子議員の御質問にお答えをいたします。
介護保険制度の給付、負担の在り方などについてお尋ねがありました。
介護保険制度は老後の安心を支える基盤であり、必要な方に必要な介護サービスを提供することが不可欠と認識しております。今後、更なる高齢者人口の増加によりサービス需要の増加が見込まれる中、今後も必要な介護サービスの提供体制を確保していくことは重要です。
制度の持続可能性を維持し、全ての世代にとって安心なものとなるよう、給付、負担の在り方も含め、不断の見直しを行ってまいります。
介護の地域間格差についてお尋ねがありました。
介護保険制度は、高…
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関口昌一議長
田村まみ君。
〔田村まみ君登壇、拍手〕
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9田田村まみ(国民)
国民民主党・新緑風会の田村まみです。
ただいま議題となりました社会福祉法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
法案の質問に入る前に、まず、社会保障費全体の在り方についてお尋ねをいたします。
政府は、社会保障制度に関する度重なる改正を行ってまいりましたが、多くの改正において、制度維持のための負担と給付のバランスという言葉の下に、負担は高く、給付は低くという方向性に、方向に改正を行っています。
いわゆる骨太方針では、一昨年までは、社会保障費の伸びを高齢化の進展の範囲内に抑えるという緊縮の方針が続いておりました。また、昨年…
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