村田享子 (立憲民主党)

2026年6月5日・第221回国会 参議院 本会議 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 4 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 18 発言)

立憲民主・無所属の村田享子です。

会派を代表し、ただいま議題となりました令和八年度補正予算二案について、反対の立場から討論いたします。

中東情勢は、私たちの暮らし、職場に大きな影響を与えています。私たちが求めてきた補正予算が編成されたことは評価いたします。また、その中身として、私たちが求めてきた電気・ガス代への支援が盛り込まれたことも評価いたします。

しかし、物が入手できない、物価が高騰している、目の前の不安に直面している国民の皆様に安心を与えるものになっていません。しかも、補正予算案について議論をするための時間も、衆参予算委員会で一日ずつという異例の短さであり、十分ではありません。与党には、今回の対応を前例としないよう、改めて申し入れます。

今回の補正予算の問題点、遅い、足りない、分からないの三点です。

まず、遅い。

二月二十八日の米国とイスラエルのイランへの攻撃を発端とした中東情勢の緊張の高まり、ホルムズ海峡の事実上の封鎖による我が国への影響は、早くも三月に出始めました。

国会では、令和八年度予算案の審議が行われていましたが、そもそも令和八年度予算案が閣議決定されたのは令和七年十二月二十六日。中東情勢への対策が盛り込まれていない予算案に対し、立憲民主党は公明党と共同で、命と暮らしを守り抜くための緊急提案として修正案を四月六日に提出しました。ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料への補助、電気・ガス代への支援、昨年の補正予算には盛り込まれていなかった低年金の高齢者の方や低所得世帯への給付金、ナフサの供給減、価格高騰を受けた医療機関への支援など、先手を打って中東情勢の影響を最小限にしていく、まさに今回政府が掲げているリスクの最小化となる具体的な修正案を提出しましたが、否決されました。

その後も補正予算の編成を求めましたが、六月三日の閣議決定では余りに遅過ぎます。しかも、政府は早く対策を打てるようにと早期成立を求めていますが、であれば、もっと早く補正予算案を国会に提出し、十分な審議時間を取って成立を求めるべきではないでしょうか。

私のところには、四月三日にある物づくりの会社から、シンナーの入手ができず休業に入るとの連絡がありました。余りに遅い今回の補正予算には反対です。

そして、足りない。

今回の補正予算に対し、六月三日、立憲、公明、中道で組替え修正案を発表し、本日、公明党とともに修正案を提出しました。その理由の一つは、重点支援地方交付金が足りないからです。昨年の補正予算で重点支援地方交付金二兆円を計上しているので今回は一千億円との説明でしたが、物価高が長期化し、六月も一千品目を超える食料品が値上がりする中、低所得世帯やこれから夏休みを迎える子育て世帯への現金給付、価格転嫁ができない医療、介護、障害福祉などへの経営支援、農林水産業の肥料、飼料、資材の価格高騰対策、中小企業への金融支援、雇用調整助成金の拡充などを行うため、重点支援地方交付金として修正案では九千億円計上しています。あわせて、雇用調整助成金の対象とならない自営業の方、建設資材の供給不足で仕事があっても作業ができない一人親方の方などへの支援も急務です。

修正案は否決されましたが、その財源は、政府案が全額赤字国債の発行であるのに対し、積み過ぎ基金の返納であり、物価高につながる更なる円安や金利上昇に歯止めを掛けるものです。

政府は、税収増を受け、昨年度の赤字国債発行額の一部を減額し、市中への発行総額を増やさずに対応できるとしていますが、だとすれば、今回の補正予算のそもそもの積算根拠は何なのか。市中への発行総額を増やさないことが前提になっているのだとすれば、今後必要な支援のための予算は本当に足りているのでしょうか。

多くのナフサ関連製品も足りていません。物はある、供給の偏りや流通の目詰まりが生じている。この目詰まりという言葉は、四月二日、第一回中東情勢に伴う重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォースでの経済産業省の資料の中に、シンナーについて、川上の企業は国内供給を継続しているが、川中のどこで目詰まりが発生しているかを特定すべく、事実関係を確認し、個別に目詰まり解消の対応中と出てきます。

そこから二か月、政府の御担当の皆さんが懸命に目詰まり解消に取り組んでいらっしゃるのは理解していますが、やはり現場には物がない。医療現場からの切実な声、予定どおりに完成品を納入できず、今期の売上げや賃金、雇用への影響を懸念する声、全国からたくさん届いています。政府は物はあると言っているから、どこかに物はあるだろうと必死にいろんなところに電話をし、ネットで検索をし、遅くまで残業をし、それでも必要な資材を確保できないと途方に暮れている調達担当の方がいます。

また、目詰まり解消の手段として、取引先を政府に報告するという形になっていますが、中小企業の中には、今後の取引への影響を恐れ、社名を伝えることができない情報の目詰まりも発生しています。しかも、入手できたとしても価格が高い、数倍もの値上がりも報告されています。代替品を使う際には、従来品と違うため、品質のチェック、検査も必要です。

総理は調達価格の高騰について、価格転嫁が進むよう広く支援を行ってきたと答弁されていますが、中小企業庁による直近の価格交渉促進月間フォローアップ調査では、昨年の九月時点で価格転嫁率は五三・五%。通常の価格転嫁ですらようやく五〇%を超えたところであるにもかかわらず、今回のような急激な高騰について価格転嫁がスムーズにできるとお考えなのでしょうか。

価格転嫁ができなければ、企業のコスト増になります。作っても赤字になるのならと休業を決めた会社もあります。仮に価格転嫁ができたとしても、最終的には急激な物価高に消費者が直面することになります。

連合の発表では、六月一日時点での今年の春闘の賃上げ率は五・〇二%。労働組合の御奮闘もあり、高い水準での賃上げが続いていますが、中東情勢による物価高騰に対応できるのか。まだ交渉中の労働組合については、中東情勢による物価高騰、中東情勢によるこの賃上げへの影響が出てきています。物価高を超える持続的な賃上げを実現するための対策も必要です。

物はある、目詰まり、この言葉に隠れた直視すべき現実から目をそらし、今取るべき対策が取られていない補正予算には賛成することはできません。

では、政府はどんな対策を考えているのか。それがこの補正予算からは全く分からない。二兆五千億の中東情勢等対応予備費、この予備費を活用した必要な対応策について、今後の物価動向や経済に与える影響を注視して対応するとのことですが、現段階でも注視でいいのでしょうか。

本日のこの討論でも、今、国民の皆様が実際に困っていること、将来への不安を具体的に挙げました。やるべき対策は明らかです。例えば、予備費ではなく、修正案のように重点支援地方交付金の積み増しにもっと予算を計上した場合、本日補正予算が成立すれば、地方自治体によっては六月議会で、地域の実情に応じた対応を議論することもできたでしょう。いつから、何に、どんな対策が取られるのか、全く分からない予備費では不安は払拭できません。

総額三兆一千百三十五億円の補正予算のうち、全体の九七%を予備費が占めることは、財政民主主義の観点からも問題です。

遅い、足りない、分からない。私たちが編成を求めてきた補正予算ではありますが、この内容では不十分です。今目の前にある危機に具体的な支援で対応し、今回を機に、省エネの普及、バイオナフサなど石油依存からの脱却につながる技術開発の推進などにより、危機に強い経済をつくる。そして、一刻も早い戦闘の終結、ペルシャ湾内にとどまっている日本関係船舶と乗組員の皆様の御帰国とともに、誰もが安心、安全に暮らせる社会の実現を目指し、反対討論といたします。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

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