原田秀一 (国民民主党)

2026年5月22日・第221回国会 参議院 本会議 第15号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 13 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 39 発言)

国民民主党・新緑風会の原田秀一です。

会派を代表し、ただいま議題となりました防災庁設置法案について、全て高市総理に質問いたします。

我が国は、あらゆる自然災害と隣り合わせの災害大国です。北海道・三陸沖後発地震注意情報が出されるなど、最近も各地で地震が相次ぎ、南海トラフ巨大地震、首都直下地震など国難級の災害が現実のリスクとして存在します。

こうした中、防災庁を創設し、平時から発災、復旧復興まで一貫した災害対応の司令塔機能を強化する本法案の方向性は、災害対応の強化に向けた重要な一歩として評価いたします。

ただ、我が国では、これまでも大きな災害のたびに組織の在り方を議論してきました。防災庁の設置で今度こそ災害対応は変わるのか。問われているのは改革の実効性です。防災庁を看板の掛け替えで終わらせないため、本日は大きく六点、総理の覚悟を伺います。

第一に、司令塔機能について伺います。

防災庁の設置に当たり、司令塔機能の強化が強調されていますが、法律上、防災庁に与えられるのは指揮命令権ではなく調整権限です。また、内閣府防災にも司令塔的役割が期待されてきましたが、実際には各省庁の施策を取りまとめる立場にとどまっていたと認識しています。

総理に伺います。司令塔機能とはどのようなもので、防災庁と各省庁との関係は具体的にどう変わるのか、今後の防災対応は、平時から発災、復旧復興に至るまで、名実共に防災庁が主導するものとなるのか、総理の認識を伺います。

第二に、復興庁との関係について伺います。

本法案では、防災庁は復旧復興まで担うとされています。この点、東日本大震災からの復旧復興で大きな役割を果たした復興庁の知見と経験の重要性は言うまでもありません。であるならば、復興庁を統合し、その知見を制度的に取り込むことを検討すべきではないでしょうか。

現時点で復興庁を防災庁に統合しない理由は何か、復興庁が蓄積してきた知見をどのように防災庁に取り込むのか、総理の見解を伺います。

第三に、地方自治体との役割分担について伺います。

災害対応の最前線に立つのは市町村です。地域の実情を知る基礎自治体に重要な役割が期待されるのは当然ですが、地方では人口減少と高齢化が進み、この三十年で地方自治体の職員数は四十七万人減少しました。多くの自治体がマンパワー不足に直面しており、防災専門職員がゼロの自治体が全国で四百三十三市町村に上る現実があります。政府は防災立国を掲げていますが、自治体側にそれを支えるリソースがなければ、幾ら司令塔としての防災庁を強化しても絵に描いた餅にならないでしょうか。

総理に伺います。災害対応の第一線を任される地方自治体の体力は既に限界に近づいている、その認識をお持ちでしょうか。防災庁に各都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員を五十名程度配置するとのことですが、自治体側の現場対応力の強化が必要ではないでしょうか。自治体側の防災体制強化に向けた総理の決意をお伺いします。

更に申し上げれば、大規模災害時には基礎自治体そのものが被災し、職員自身が被災者になります。家を失い、避難生活を送りながら、あるいは家族の安否を気に掛けながら、災害対応に奔走しなければならないこともあります。

被災自治体を一次対応の中核と位置付ける法体系について、踏み込んだ見直しを考えるべきではないでしょうか。例えば、住家の被害認定や罹災証明の発行、被災者生活再建支援制度の運用は、基礎自治体の慣れない職員が担うよりも、国が専門性と経験を備えたスタッフを用意する方が適切ではないでしょうか。標準化できる業務、専門性を要する業務は防災庁が中心となって担う仕組みへ改めることも検討すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。

第四に、防災局について伺います。

本法案では、地方機関として防災局を設置することが明記されました。しかし、政府方針では、設置は当面二か所にとどまる方向です。我が国には千七百四十一の市区町村がありますが、二か所の防災局でどれだけの目配りができるでしょうか。

南海トラフ地震と日本海溝・千島海溝地震への対応としても、例えば、南海トラフで想定される被災地は三十一都府県、六千万人と言われています。二か所の防災局でどれほど地域支援ができるか疑問が残ります。

総理に伺います。防災局の担う役割をどのように位置付けておられますでしょうか。私は、防災局を、日常的に各自治体と連携し、発災時には防災庁の前進拠点として機能するものとすべきと考えますが、御認識をお伺いします。

また、衆議院の質疑では、参考人から、国土交通省の地方整備局程度の配置が望ましいとの意見もありました。防災局の将来的な拡充について、総理の見解をお聞かせください。

第五に、被災現場での連携強化について伺います。

大規模災害時には、他自治体からの応援、消防、警察、自衛隊、NPO、ボランティアなど、多様な主体が同時に現場に入ります。これまでは、誰が全体状況を把握し、優先順位を決め、責任を負うのかが曖昧で、混乱が生じることが多々ありました。

米国では、ICS、いわゆるインシデントコマンドシステムという考え方が用いられています。防災庁設置を機に、我が国でもICSのようなマネジメントの標準化を図り、各主体が共通のプロトコルで連携できる基盤を整備すべきではないでしょうか。総理の見解をお聞かせください。

また、国難級の災害に対応するには自衛隊の協力が不可欠ですが、その指揮系統は防災庁とも自治体とも接続されていません。消防、警察、海上保安庁はもちろん、自衛隊とも平時からシミュレーションと訓練を行うべきではないでしょうか。南海トラフ地震などを想定して、防災庁と自治体、自衛隊で統合的な運用について事前に調整し、訓練を重ねる必要について御見解を伺います。

第六に、避難所の環境の改善について伺います。

我が国では、大規模災害のたびに、避難者が体育館で雑魚寝をし、劣悪な環境に耐える避難所の姿が繰り返し報じられてきました。災害関連死も後を絶たず、国民の命と尊厳を守る水準に達しているとは到底言えません。

政府は、防災庁設置に向けた基本方針としてスフィア基準等を踏まえた避難生活環境の抜本改善を掲げ、第一次国土強靱化実施中期計画でも、備蓄確保の目標を示しました。

総理に伺います。長年変わらなかった我が国の避難所の風景は、防災庁の下、今度こそ一変するのでしょうか。避難所の改善をいつまでにどのように改善するのか、具体的にお答えください。

最後に申し上げます。

防災庁の設置が単なる看板の掛け替えに終わることなく、これまで我が国が乗り越えられなかった課題の克服につながること、そして、防災庁が国民の命を守り、災害対応の現場を変える真の司令塔となることを強く願い、私の質問を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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