佐藤淳法務省刑事局長

2026年7月9日・第221回国会 参議院 法務委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 53 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 269 発言)

お答えいたします。

お尋ねは、現行法上の通常審における検察官保管証拠の一覧表の交付制度と同様の仕組みを再審請求審においても設けるべきであるというふうなものと受け止めて答弁させていただきます。

まず、先ほど来出ているとおり、通常審と再審請求審の手続構造の違いというのは間違いなくあるわけでございます。通常審におきましては、当事者主義の下で、検察官が公訴事実を立証して、被告人、弁護人がそれに対する反証を行うという構造になっておりまして、検察官が立証に用いようとする証拠を吟味するとともに、それを踏まえつつ、自ら必要と考える証拠の取調べを裁判所に請求する立場にあるというのが被告人、弁護人ということでございまして、そういうことから、検察官が被告人、弁護人に証拠の一覧表を直接交付する制度とされているものと理解しているところでございます。

これに対しまして、再審請求審におきましては、これは先ほど大臣も答弁したとおりでありますので繰り返しませんが、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断することになることから、検察官保管証拠を吟味する立場にあるのは裁判所ということになりまして、本法律案においては、検察官が裁判所にその標目の一覧表を交付することにしているということでございます。

今御指摘のような話があるにせよ、基本的にその証拠の、何というんでしょうか、済みません、もう一つ申し上げますと、起訴状、通常審におきましては、公判前整理手続におきまして、まずは、被告人、弁護人は、検察官から取調べ請求予定証拠の開示を受けることで検察官が立証に用いようとする証拠の内容を知ることになります。

この証拠開示に関しましては、被告人、弁護人は、その検察官請求証拠の信用性や証明力を吟味するために類型証拠の開示を請求し、さらには自己の主張を支える証拠の有無を把握するために主張関連証拠の開示を請求することになるということでございます。これらの開示請求といいますのは、検察官による立証が開始される局面において応訴することを余儀なくされることを前提として、防御のために行われるものでございますので、こうした類型証拠、主張関連証拠の開示請求をするに当たっての手掛かりとして証拠の一覧表の交付制度が設けられているということでございます。

これに対しまして、再審請求審におきましては、先ほどの手続構造論に加えまして、通常審において三審制の下で既に審理が行われておりまして、検察官の手持ち証拠につきましても刑事訴訟法の規定に従って既に開示を受けているという状況にあると。とりわけ、平成十六年以降の事案に関しましては、そういった公判前整理手続と似たような形で、そういった従った形で証拠が開示されている場合もある。そういった中で、被告人あるいは再審請求人側としては、有罪認定の根拠となった証拠については把握しているということでございます。

したがいまして、犯人でないのに有罪判決を受けた者であれば、確定判決のどの証拠に、どこにどのような認定に問題があるかは把握できるのが通常であると考えておりまして、それを前提として、通常どのような証拠が収集されるかを念頭に置きつつ、証拠の提出命令を請求することが可能であるというふうに考えております。

そのような意味で、提出命令の対象となる証拠の特定は請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるということでございますので、その程度の特定を行うことは証拠の一覧表がなくても容易であると考えられますし、十分に可能であると思われる上に、再審請求審におきましては、通常審におけるような公判前整理手続を行った場合に、当該手続終了後の証拠調べ請求の制限等はございませんので、裁判所に対する提出命令の請求を順次行うことなどによりまして新たに発見された証拠に基づいて再審請求理由を追加することも可能であるということでございます。

このような違いがあることを踏まえて、そのような制度を設けることとはしていないということでございます。

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