まさにデジタル技術の進展、これは目覚ましいものがあります。今おっしゃった確認方法、偽造、成り済ましについての対策、そのとおりだと思いますが、これ、弁護士をしていますと、いわゆるこれまでの自筆証書遺言などでは、遺言の有効、無効を争う訴訟が極めて多く起こっていました。
この保管証書遺言においては、恐らく、今おっしゃったウェブ会議を使ったケースでは、そのときの画像を出せ、その画像を見たい、訴訟で画像を見たいというようなことが必ず起こると思います。そこで、そのときウェブ会議でどのようなやり取りがなされたのか、それらを、どういう動画だったのか、これを示しておくということ、あるいは保存しておくということが必要になろうかと思います。その保存についても是非検討していただきたいというふうに思います。
さて、ディープフェイク動画は、私自身も知らないところでこれ多数作られており、大変迷惑しているところでありますが、現在作られているものはまだ多少不自然なところもありますけれども、今後更に進化していきますと本物と全く見分けが付かないというようなことになることも懸念されます。最新の技術にしっかり対応して対策を行っていただきたいというふうに考えています。
次に、遺言の証人及び立会人についてお聞きします。
今回の改正により、遺言の証人又は立会人になることができない者として、受遺者の被用者などが追加されることになります。これは、独り身の高齢者などを狙った、例えば身元保証会社などによる遺言の悪用の対策、そういう趣旨かと思われますが、遺言の悪用ということでいえば、例えば身元保証会社が高齢者が亡くなったときにその残余財産を全部もらうというような遺言をすることが横行しているようですけれども、その従業員が立会人、証人になることは欠格事由としてできないわけですけど、その子会社とかあるいはグループ会社などの役員あるいは被用者、これらの者は排除されないものと承知しています。それらの関係者を証人として遺贈させることも考えられますが、こうした事態の対処、これはどのように考えられておられますか。
120松松井信憲法務省民事局長
お答え申し上げます。
公正証書遺言においては、専門家である公証人が遺言が有効なものであることを審査するのに対し、保管証書遺言においては、遺言書保管官が外形的に確認することができる限度で保管申請の要件を確認することとしているため、公正証書遺言と保管証書遺言とでは、申出を相当と認めるときという文言の具体的な内容は異なるものとなると考えております。
保管証書遺言において、どのような場合にウェブ会議利用の申出を相当と認めることとなるかについては、今後のデジタル技術の進展の状況等を踏まえて検討する必要がありますが、例えば、遺言書保管官において、通信環境が十分で…
この発言のページ
121
北村晴男(保守)
ウェブ会議の場面に限らず、デジタル化で注意しなければならないのは、本人以外の者による偽造あるいは成り済ましの問題です。
特に、昨今のAI技術の進展により、本物と見分けが付きにくいディープフェイク動画が用いられることも懸念されています。
今回の制度改正、特に保管証書遺言制度の関係で、偽造、成り済まし対策、ディープフェイク対策としてどのような措置を講ずるつもりなのか、現時点での想定をお示しください。
この発言のページ
122松松井信憲法務省民事局長
お答え申し上げます。
ウェブ会議を利用する場合には、遺言書保管官は、ディープフェイク技術が用いられる場合を含め、他人が遺言者に成り済ますことを防止するため、厳格な本人確認を実施する必要がございます。
その具体的な方法については、今後のデジタル技術の進展の状況等を踏まえて検討する必要がございますが、例えば、マイナンバーカードに搭載された電子証明書の送信を受けることや、顔写真付きの身分証明書の写しの送付を受けた上で、その身分証明書の原本をウェブ会議の画面上で提示させ、ウェブ会議の画面に映っている申請人の顔、その身分証明書の写し及び原本等を照合し、申請人の…
この発言のページ
- (上の発言)
123
北村晴男(保守)
まさにデジタル技術の進展、これは目覚ましいものがあります。今おっしゃった確認方法、偽造、成り済ましについての対策、そのとおりだと思いますが、これ、弁護士をしていますと、いわゆるこれまでの自筆証書遺言などでは、遺言の有効、無効を争う訴訟が極めて多く起こっていました。
この保管証書遺言においては、恐らく、今おっしゃったウェブ会議を使ったケースでは、そのときの画像を出せ、その画像を見たい、訴訟で画像を見たいというようなことが必ず起こると思います。そこで、そのときウェブ会議でどのようなやり取りがなされたのか、それらを、どういう動画だったのか、これを示しておくということ、あるいは保存しておくということが必要になろうかと思います。その保存についても是非検討していただきたいというふうに思います。
さて、ディープフェイク動画は、私自身も知らないところでこれ多数作られており、大変迷惑しているところでありますが、現在作られているものはまだ多少不自然なところもありますけれども、今後更に進化していきますと本物と全く見分けが付かないというようなことになることも懸念されます。最新の技術にしっかり対応して対策を行っていただきたいというふうに考えています。
次に、遺言の証人及び立会人についてお聞きします。
今回の改正により、遺言の証人又は立会人になることができない者として、受遺者の被用者などが追加されることになります。これは、独り身の高齢者などを狙った、例えば身元保証会社などによる遺言の悪用の対策、そういう趣旨かと思われますが、遺言の悪用ということでいえば、例えば身元保証会社が高齢者が亡くなったときにその残余財産を全部もらうというような遺言をすることが横行しているようですけれども、その従業員が立会人、証人になることは欠格事由としてできないわけですけど、その子会社とかあるいはグループ会社などの役員あるいは被用者、これらの者は排除されないものと承知しています。それらの関係者を証人として遺贈させることも考えられますが、こうした事態の対処、これはどのように考えられておられますか。
124松松井信憲法務省民事局長
お答え申し上げます。
御指摘のとおり、受遺者は遺言の内容に直接利害関係を有しており、また、受遺者自身によってだけでなく、その被用者を通じて遺言者に不当な影響を及ぼすおそれがございます。そのため、民法等改正法案では、証人等の欠格事由について、現行の欠格事由である受遺者に加えてその被用者を、また受遺者が法人である場合にはその被用者及び役員を追加することとしております。
証人に欠格事由があった場合には、遺言はその全部が無効になると解されております。そのため、遺言者の最終意思は実現されず、また、遺言によって財産を取得するはずであった者は財産を取得することがで…
この発言のページ
125
北村晴男(保守)
現に、身元保証会社が高齢者の方の残余財産、特に現金を全額遺贈を受けると、そういう遺言について、公序良俗違反を理由にして無効とされた判例が確かにあります。
ただ、これ一般論で考えますと、身元保証会社とかあるいは介護施設、これが、高齢者などに遺言を作ってもらって、お亡くなりになったときには全てその会社に残余財産を遺贈を受けるということをすることが結構行われているように感じています。そもそも、その高齢者をサポートする立場にある会社、企業、事業者が高齢者が亡くなったら利益を受けるような、そういった遺言を作成してもらうということ、これが果たしていいことなのか、事…
この発言のページ
126松松井信憲法務省民事局長
お答え申し上げます。
まず、自筆証書遺言を偽造し、又は変造するためには、遺言者の筆跡をまねて遺言の全文を記載するなどの必要があります。また、そもそも押印に用いる印鑑の種類については制限がなく、認め印でも足りるとされていることを踏まえると、押印要件が偽造等を防止する機能は大きいとは言えないとの指摘もございました。このため、押印要件を廃止することにより、自筆証書遺言の偽造又は変造が容易になるとの批判は当たらないものと考えております。
また、完成した書面と下書きの区別については、例えば契約書など一定の方式に従うことが求められていない書面に関して現行法の下で…
この発言のページ