井上会長、ありがとうございました。
人々の生きる力となる放送を目指していくという大変心強い言葉を聞かせていただきました。
今、情報空間の参照点、その中身について詳しくお聞かせいただきました。私もその理念には大変共感するところでございますが、情報空間の参照点であるためには、今おっしゃっていただいたように、正確な情報発信、それだけでは実現できないのではないか、そのようにも考えております。情報が正確であることはもちろん当然のことでございますが、社会をできるだけ多面的に映し出し、多様な立場の声を伝えることによって初めて国民から信頼される情報空間の参照点になれるのではないかと思います。
例えば、NHKの放送ガイドラインにおきましては、視聴者にできる限り幅広い視点から情報を提供することを目指すと書かれております。また、国内番組基準におきましても、意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱うと定められております。私は、この幅広い視点、そして、多くの角度から論点を明らかにする、こうした考え方こそ公共放送の土台だと考えております。
放送番組の編集、これは自主自律が原則でございまして、放送内容そのものについて国会が介入すべきではない、そのことは十分承知しておりますが、多角的な視点が求められる公共放送の報道に時に違和感を覚えることもございました。そのことについて、少し率直に意見を述べさせていただけたらと思います。
例えば、昨年のいわゆる令和の米騒動、このときの報道を例に挙げさせていただきますと、スーパーの店頭では、米価高騰に対する消費者の悲鳴、これが連日のように報じられておりました。もちろん、それは大切な視点であると思います。一方で、生産現場では、農業資材などあらゆるコストが近年上昇している中、長年にわたり価格転嫁も十分にできず、厳しい経営を続けてこられた農家の皆さんがおられます。こうした生産現場の実情や悲鳴、これまで十分に伝えてきたと言えるでしょうか。地元の生産者の皆さんからも、テレビでは毎日のように米が高い高いという話ばかりで、生産現場の実情は分かってもらえていない、そうした声を何度も伺いました。
公共放送が、消費者の立場だけでなく、生産現場がどのような課題を抱え、どのような思いで農業を続けているのか丁寧に伝えることがなければ、消費者と生産者がお互いを理解することは難しくなります。
米価の問題は食料安全保障にも関わる国民全体で考えるべき課題であり、民主主義の基盤を支える公共放送には、多様な価値観に対する相互理解を促進する役割をしっかりと果たしていただきたいと考えます。
公共放送には公平公正な報道が求められるところでありますが、しかし、時にこの公平さ、公正さ、これはそれぞれの置かれた立場によって受け止め方が異なることもございます。今回の事情も、私から見れば少し足りないのではないかと見えますけれども、立場によっては十分公平であると感じられる方がおられるのも当然だと思います。だからこそ、この公平さ、公正さを担保していくためには、重要になってくるのは、我々は公平に報道していますと説明するだけではなく、多角的な視点が実際の報道の中で担保をされていること、そして、それを自ら検証し、改善につなげていく、ガバナンスが機能しているかどうか、そのことに尽きるのではないでしょうか。
さらに、率直に申し上げさせていただきますと、NHKを始めマスコミの多くは、そのほとんどが東京に本社を置いております。自らは公平公正に報道しているつもりでも、知らず知らずのうちに、東京で生活し、都市目線を基準とした公平性に陥ってはいないだろうか、そうしたことに自覚的であってほしいと思います。
私自身も、自戒を込めて申し上げますと、東京で生まれ育ち、島根に移り住むまでは、中山間地域の営み、実情、こうしたもの、ほとんど知りませんでした。そして今、国会に来まして、平日の多くはこの永田町で過ごすようになり、物理的な距離というものは時として心理的な距離も生んでしまう、そうした危うさも感じているところであります。
そこで、伺います。
令和六年度決算業務報告書、これによりますと、総合テレビの放送時間は一日平均二十三時間五十分、教育テレビは二十時間十三分放送されております。そのうち地方向け放送番組は、総合テレビと教育テレビ、Eテレを合わせても、一日平均二時間五分にとどまっております。
当然、全国向け番組の中でも地域の話題は取り上げられており、単純に放送時間だけで比較できるものではありませんが、こうした現状について、NHKとしてどのように評価されておりますでしょうか。
また、NHKが放送ガイドラインで掲げる幅広い視点や、国内番組基準で示すできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、こうした考え方が実際の報道や番組の中でどのように担保されているのでしょうか。中央審議会などの仕組みが設けられていることも承知しておりますが、客観的に検証する仕組みはあるのでしょうか。
NHKでは、どのような考え方や指標によって検証し、その結果をどのように改善へ結び付けているのか、井上会長にお伺いいたします。
12
吉川沙織(立憲)
以上で説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言のページ
13出出川桃子(自民)
おはようございます。自由民主党・無所属の会、出川桃子でございます。
本日は質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
令和六年度決算は、井上新会長が就任されて初めての決算でもあります。決算を通じて、新体制が目指す公共放送の姿、今後の方向性について伺ってまいりたいと存じます。
折しも、現在、サッカーのワールドカップが開催されておりまして、寝不足の方も多いのかもしれませんが、こうした国民的なイベントを誰もが広く楽しめる形で届けることも公共放送の大切な役割の一つであると思います。小宮山アナウンサーの実況中継、これも大変好評を得たところでござい…
この発言のページ
14井井上樹彦日本放送協会会長
お答え申し上げます。
NHKは、今後、放送だけでなくネットでも、正確で豊かな情報を広く伝え、人生に彩りを添える良質な番組、コンテンツを間断なく提供する役割、使命を果たし続けていく必要があります。
社会の共通理解を支える基盤としての使命は、放送と通信の融合が進む中でも、今後も変わることはない普遍的なものであります。むしろ、世界各地で社会の分断が顕在化していると言われる今こそ、一層こうしたことが求められているというふうに考えております。
私は、NHKが、放送や配信を通じて人々の役に立ち、励まし、時には命を救う、そうした人々の生きる力となる存在であり続け…
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- (上の発言)
15出出川桃子(自民)
井上会長、ありがとうございました。
人々の生きる力となる放送を目指していくという大変心強い言葉を聞かせていただきました。
今、情報空間の参照点、その中身について詳しくお聞かせいただきました。私もその理念には大変共感するところでございますが、情報空間の参照点であるためには、今おっしゃっていただいたように、正確な情報発信、それだけでは実現できないのではないか、そのようにも考えております。情報が正確であることはもちろん当然のことでございますが、社会をできるだけ多面的に映し出し、多様な立場の声を伝えることによって初めて国民から信頼される情報空間の参照点になれるのではないかと思います。
例えば、NHKの放送ガイドラインにおきましては、視聴者にできる限り幅広い視点から情報を提供することを目指すと書かれております。また、国内番組基準におきましても、意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱うと定められております。私は、この幅広い視点、そして、多くの角度から論点を明らかにする、こうした考え方こそ公共放送の土台だと考えております。
放送番組の編集、これは自主自律が原則でございまして、放送内容そのものについて国会が介入すべきではない、そのことは十分承知しておりますが、多角的な視点が求められる公共放送の報道に時に違和感を覚えることもございました。そのことについて、少し率直に意見を述べさせていただけたらと思います。
例えば、昨年のいわゆる令和の米騒動、このときの報道を例に挙げさせていただきますと、スーパーの店頭では、米価高騰に対する消費者の悲鳴、これが連日のように報じられておりました。もちろん、それは大切な視点であると思います。一方で、生産現場では、農業資材などあらゆるコストが近年上昇している中、長年にわたり価格転嫁も十分にできず、厳しい経営を続けてこられた農家の皆さんがおられます。こうした生産現場の実情や悲鳴、これまで十分に伝えてきたと言えるでしょうか。地元の生産者の皆さんからも、テレビでは毎日のように米が高い高いという話ばかりで、生産現場の実情は分かってもらえていない、そうした声を何度も伺いました。
公共放送が、消費者の立場だけでなく、生産現場がどのような課題を抱え、どのような思いで農業を続けているのか丁寧に伝えることがなければ、消費者と生産者がお互いを理解することは難しくなります。
米価の問題は食料安全保障にも関わる国民全体で考えるべき課題であり、民主主義の基盤を支える公共放送には、多様な価値観に対する相互理解を促進する役割をしっかりと果たしていただきたいと考えます。
公共放送には公平公正な報道が求められるところでありますが、しかし、時にこの公平さ、公正さ、これはそれぞれの置かれた立場によって受け止め方が異なることもございます。今回の事情も、私から見れば少し足りないのではないかと見えますけれども、立場によっては十分公平であると感じられる方がおられるのも当然だと思います。だからこそ、この公平さ、公正さを担保していくためには、重要になってくるのは、我々は公平に報道していますと説明するだけではなく、多角的な視点が実際の報道の中で担保をされていること、そして、それを自ら検証し、改善につなげていく、ガバナンスが機能しているかどうか、そのことに尽きるのではないでしょうか。
さらに、率直に申し上げさせていただきますと、NHKを始めマスコミの多くは、そのほとんどが東京に本社を置いております。自らは公平公正に報道しているつもりでも、知らず知らずのうちに、東京で生活し、都市目線を基準とした公平性に陥ってはいないだろうか、そうしたことに自覚的であってほしいと思います。
私自身も、自戒を込めて申し上げますと、東京で生まれ育ち、島根に移り住むまでは、中山間地域の営み、実情、こうしたもの、ほとんど知りませんでした。そして今、国会に来まして、平日の多くはこの永田町で過ごすようになり、物理的な距離というものは時として心理的な距離も生んでしまう、そうした危うさも感じているところであります。
そこで、伺います。
令和六年度決算業務報告書、これによりますと、総合テレビの放送時間は一日平均二十三時間五十分、教育テレビは二十時間十三分放送されております。そのうち地方向け放送番組は、総合テレビと教育テレビ、Eテレを合わせても、一日平均二時間五分にとどまっております。
当然、全国向け番組の中でも地域の話題は取り上げられており、単純に放送時間だけで比較できるものではありませんが、こうした現状について、NHKとしてどのように評価されておりますでしょうか。
また、NHKが放送ガイドラインで掲げる幅広い視点や、国内番組基準で示すできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、こうした考え方が実際の報道や番組の中でどのように担保されているのでしょうか。中央審議会などの仕組みが設けられていることも承知しておりますが、客観的に検証する仕組みはあるのでしょうか。
NHKでは、どのような考え方や指標によって検証し、その結果をどのように改善へ結び付けているのか、井上会長にお伺いいたします。
16井井上樹彦日本放送協会会長
全国のNHKの地域放送局は、地域の人の目線で、暮らしに役立つ情報や安全、安心に関する情報などをお伝えする重要な役割を担っております。現在の経営計画では、厳しい財政状況の中でも、取材、制作の基盤的資源への投資を行い、災害対応、地域取材を基軸に、それぞれの地域に合った形態でサービスを展開していくという方針を明記しております。
それぞれの地域で、それぞれの地域の視点で制作したニュースや番組などは、全国ネットワークを生かしまして、全国放送でも積極的に放送しております。加えて、NHKONEでも地域放送の見逃し配信を実施しております。引き続き、地域向け放送・サービ…
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17出出川桃子(自民)
ありがとうございました。
報道番組出身の会長から、本当に力強い言葉をいただきました。複数の仕組みで検証されているということ、そして、それを支える取材というものが重要な基盤であるということでございました。
次の質問は、まさにそのことでございます。
地域放送や地域報道も重要な事業として位置付けられているところでございますが、それを実際に支えるものは何かといいますと、やはりそれは現場の取材体制であり、人材力であると思います。地域へ足を運び、その土地の人々と向き合い、地域の事情や文化、歴史、人脈を深く理解した人材が継続的に取材を重ねていく、その積み重ねが、…
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18東東孝子日本放送協会理事
お答えいたします。
NHKの役割を果たしていく上で、全国ネットワーク維持は極めて重要でございます。一方で、ライフスタイルの多様化などにより、生活基盤を変えることになる転勤については課題が出てきており、多面的な取組が必要だと考えております。
二〇一四年度からは、地域に根差し、地域文化の向上と社会の発展に取り組む人材を確保するために地域職員制度を導入しました。現在、約三百八十人の地域職員を全国の放送局に配置するとともに、地域出身者や地域大学の学生の採用にも力を入れております。また、地域局で取材指揮に当たる取材デスクに子育てや介護などの事情のある職員を配置…
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