鴨志田祐美弁護士(日本弁護士連合会再審法改正推進室長)

2026年5月29日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第15号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 62 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 281 発言)

お答えします。

まず、再審開始決定に対する抗告、そもそも、再審請求手続というものが、通常の控訴、上告と同じように被告人と検察官それぞれが当事者として控訴、上告をしていくというようなたてつけとはそもそも論として異なっているということを前提にしていただく必要があると思います。

再審請求は、再審請求人のみが当事者であって、その再審請求の理由があるかどうかを裁判所が職権で判断をするという職権主義の手続であるということは争いのないところです。

では、なぜ当事者ではない検察官がこれまで不服申立てができるということになっていたのかというと、当事者性を根拠にした主張はないと思います。言われているのは、当事者ではないけれども、公益の代表者として、再審開始決定が誤っているような場合には、自分は公益の代表者としてこれを是正するのだという、公益の代表者を根拠に抗告論を展開するというのが多いように思います。

しかし、福井事件の例を見ればすぐ分かるとおり、証拠を一方で隠しながら、隠したまま再審開始決定に抗告をして、実際に再審開始決定を取り消させたという事例が現に存在するわけです。先ほど幾つか事件名だけは挙げましたけれども、袴田事件、それから免田事件、この福井事件、これは全て、一度再審開始決定を取り消された経験のある事件なんです。

だとすると、元の再審開始決定は間違っていたのか、間違っていたから公益の代表者に取り消されたのは当然なのだという話になるのかということなんですね。そうではないでしょうということです。

何度も言うように、再審開始決定というのは、有罪、無罪の結論がそこで出るという話ではないです。いろいろと新しい証拠が出た結果、これまで通常審では出されていなかった新しい事実、新しい証拠が出たことによって、この裁判、もう一度見直してみようよというレベルの決定です。

それに対して抗告をするということは、例え話をすれば、自分がコロナにかかっているかもしれないという人が、市販の検査キットで陽性と出た、これは市販のキットだからおかしいから、もう一回別の市販のキットを試してみよう、そういう話には多分ならないと思うんですね。あくまでも中間的な、仮の判断は、その後ちゃんと病院に行ってすればいいだけのことですから。

これは、実際に再審公判でやるということが、まさに司法の中での手続全体の健全性につながると思います。これは時間の長い短いの話ではないということを改めて申し上げておきたいと思います。

以上です。

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