小澤吉徳日本司法書士会連合会会長

2026年5月20日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第11号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 131 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 184 発言)

阿部先生、御質問ありがとうございます。

今回の遺言改正につきましては、これまで自筆証書遺言が担ってきた真正性や真意性の確保をデジタル社会でどのように確保するかが課題であったと承知をしておりまして、遺言書保管官の確認、そして全文口述、適切な保管などを通じた真意性の補強というデジタル社会での課題を受け止めたものと理解をしています。

平成二十九年度に法務省が実施した我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務では、年代によってぶれはあるものの、自筆証書遺言、公正証書遺言作成の経験に関して、全体として見ると、自筆証書遺言を作成したことがある方が三・七%、公正証書遺言を作成したことがあるという方が三・一%でありました。

これが、令和五年の十一月のアンケートによりますと、自筆証書遺言を作成したことがある方が八・五%、公正証書遺言を作成したことがあるという方が二・七%であったというふうに承知をしています。

数値に幅はあるものの、自筆証書遺言と公正証書遺言の作成件数に関して、同数程度、あるいは自筆証書遺言の方が作成割合が高い傾向にある。今般の保管証書遺言は、遺言書保管官の前で全文口述という要件はあるものの、手軽に作成することができるため、そのニーズというのは非常にあるのではないかというふうに考えております。

また、所有者不明土地問題の抑止及び解消に当たって相続登記の申請の義務化がされましたが、相続登記の申請の際に重要となるのが遺言書の存在であり、自筆証書遺言は、気軽に作成することができる一方、形式上の不備を原因とした遺言無効や発見可能性の低下が課題として考えられるところでありまして、法務省の調査では、自筆証書遺言と公正証書遺言の作成について、大差ない数、あるいは自筆証書遺言の方が上回っている結果につながっているにもかかわらず、自筆証書遺言の検認件数は公正証書遺言作成件数より下回っているということで、推測の域は出ないものの、せっかく作成した自筆証書遺言が相続人において発見されず、執行手続に活用することができなかった事案も一定程度あるものというふうに考えています。

そこで、今般の保管証書遺言は、遺言書保管官による形式不備に係るチェックがあり、また法務局で保管されることとなるため、無効になるリスクや発見可能性の低下は避けることができるということになります。結果、遺言者の最終意思を実現することが可能となり、ひいては所有者不明土地問題の解消にも資するものと考えております。

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