指宿信成城大学法学部教授

2025年4月4日・第217回国会 衆議院 法務委員会 第8号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 56 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 148 発言)

ありがとうございます。

本日の私の意見陳述とは直接関係しませんけれども、これまで、私、取調べの録音、録画の制度設計並びにその逆のインパクトについて論文を書いたり発言してまいりましたので、その観点から簡単に御紹介いたします。

私が取調べの録音、録画は進めるべき立場であったところ、映像インパクトに気づきましたのは、二〇〇七年ぐらいの頃だったと思います。

それはどういうことかと申しますと、アメリカの心理学者のラシター教授とその研究チームが、取調べの録音、録画映像を被験者に見せると、普通に音声やそれから書面で供述調書を読ませた場合よりも、任意性や信用性が高く評価されるという実験結果を論文にしたものがあるんです。心理学の論文ですので、法学の雑誌ではないんですけれども、複数出ているのに気づきました。

このラシター教授のチームは、市民もそういうふうに感じるだけでなく、これを、被験者を変えて、法執行官や現役の裁判官に見せても同じような効果が得られるということを発見しました。これを彼らは、カメラ・パースペクティブ・バイアスという、CPBと略しておりますけれども、そういう名称をつけました。

これを知りまして、私は、心理学者らと一緒に日本でも同じような同種の実験をしてみましたところ、やはり同じような傾向が出るということが確認できましたので、学会や法律雑誌等でこの問題を提起しました。

例えば、ニュージーランド警察は、このラシターらの研究結果を受けて、カメラを被疑者と取調べ官の横から撮影するという、ニュートラル方式と言われる、そういう撮影方法を取り入れているところです。

これは、人間は人が話しているのを正面から見ると、その人がしゃべっていることを信じてしまう、自らしゃべっているというふうに感じてしまう、これはもう避け難いバイアスなんですね。これを避けるためには横から撮影する方がいいだろうということで、より妥当な方法を取り入れたということでございます。

これまで日本の裁判例では、この映像インパクトを避けるために、例えば、音声だけを法廷で再生するとか、あるいは、取調べの様子を書き起こした、いわゆる書き起こしの文字を裁判官、裁判員が証拠として読むというような回避措置が取られているということを聞いております。

全ての裁判でそのような対応が取られているわけではございませんが、やはり、人間の心理というものはルール等で規制することは難しいものですので、やはりこうした、私どもの言葉で言うと、環境そのもの、条件そのものを、取得する場合の、取調べの様子を取得する環境を変えないと、なかなかバイアスを抑止することは難しいのではないかというふうに考えている次第です。

ありがとうございます。

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