2026年7月10日・第221回国会 参議院 デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会 第9号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 225 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 234 発言)

沖縄の風の伊波洋一です。

会派を代表して、科学技術活性化法改正案に反対の討論を行います。

本法案は、GSC構想の運営法人として先端技術研究成果活用推進機構を創設するものです。GSC構想は、東京・恵比寿の一等地に巨額の予算を投じて新設するフラッグシップ拠点に、国内外の研究者、スタートアップ、ベンチャーキャピタルなどを集め、世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを構築して、ディープテック分野の研究成果を社会に実装していくことを目指すものです。

しかし、GSC構想は科学技術政策としての合理性を欠いています。

理由の第一は、構想の根幹が、良く言えばアジャイル、悪く言えば見切り発車となっている点です。

象徴的なのは、新設されるフラッグシップ拠点の規模が、衆議院での審議を経て、延べ床面積五万九千平方メートルから三万二千八百平方メートル以下に変更されたことです。ほかにも、国会審議の段階で、なお構想の細部について、今後の有識者会議で検討を待って結論を出すといった返答が繰り返されています。詳細を後決めにする進め方は財政民主主義にも反し、結果として、利害関係者によるレントシーキング、都合の良い政策変更の温床ともなりかねないものです。

第二に、導入されるベンチャーディレクターと、対象とするディープテックの間に、構造的ミスマッチが存在する点です。

構想では、専門的知見を有する国内外のベンチャーの目利きによって、研究テーマの設定から社会実装まで行おうとしています。バイオなどディープテック領域は、社会実装までに十年から二十年の歳月を要します。これに対し、三から五年の単位でリターンを意識せざるを得ないベンチャーとしては、結果として、真に革新的な長期的研究を切り捨てて短期的に小さく成功する守りの投資に終始するか、最悪の場合、公金でリスクを抜いた成果物だけを安く買いたたくような事態を招きかねません。

第三に、スタートアップ支援を全面否定するものではありませんが、限られた科学技術予算は基礎研究分野に優先的に配分するべきという点です。

現在、我が国の大学は、二十年間にわたる運営費交付金等の削減に加え、近年の物価高、円安の直撃により、日々の研究の維持すら困難な財政危機に瀕しています。未来を担うべき若手研究者が任期付きポストの十年ルールによって各地で雇い止めに遭い、研究者の再生産システムも崩壊しつつあります。経費節減のために、開館時間を短縮する大学図書館も増えています。

基礎研究というイノベーションの土台が崩れかけている窮状を放置し、恵比寿に官営のスタートアップサロンを整備するのは、資源配分の優先順位を誤っています。

以上、本改正案に反対の理由を述べました。

なお、修正案の提出には敬意を表しますが、原案反対の理由を解決するものではなく、賛同いたしかねます。

以上、反対討論といたします。

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