安野貴博 (チームみらい)

2026年7月10日・第221回国会 参議院 デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会 第9号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 208 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 234 発言)

ありがとうございます。

少し先回りしてお答えいただいた部分もあると思いますけれども、これから規程類の中で審査方式を決定していくというところでございまして、まさに今おっしゃられたとおり、平均回帰というところを防ぐ仕組みというのは重要だと思っておりまして、少しそこの部分を私からもお話しできればなと思っております。

この審査方式の決定の中で最もやっぱり重視しなくてはいけないのは、失敗するリスクが高いけれども成功すれば社会に大きな変革をもたらし得るハイリスクディープテック事業者に門戸が開かれていること、これを担保する点だと思います。

日本の一般的な研究支援審査では、こういった事業者が審査をなかなか通過できないという構造が見受けられます。例えば、科学研究費の採択審査ではどうやっているかというと、複数の審査委員が点数を付けて、その平均値で上位から取るような形式が取られていると承知しております。

ハイリスクディープテック事業というのは、まだ社会で実現されていない技術を研究しているので、これ非常に議論を呼ぶものが多数ありまして、審査委員の評価が割れるものが多い。そのため、平均点審査だと、誰かが最高点付けても、他の委員が、いや、それはちょっと違うんじゃないかということで低い点を付けると、平均にならされてしまってなかなか埋もれてしまうということが起きます。こうなると、審査の後に残るのは、当たり障りが余りないような、いわゆるハイリスクではないようなものが残りがちであろうと。

そこで、この機構の採択審査の二点を是非満たしていただきたいと思いまして、一つは、複数評価者の点数の平均をして、それを機械的に選定しないでいただきたいと、二つ目は、リスクの高さや実現可能性の低さを、それ自体を減点要素とせず、成功時のインパクトをしっかりと評価すること、この二点を是非担保いただきたいなと思っております。

実際、国外の類似のプログラムを見てみますと、こういった点、考慮された審査方式取られておるというふうに思います。

例えば、アメリカのディープテック事業者支援プログラムのDARPAの最大の特徴は、プログラムマネジャー個人に採択の権限集中させている点にあります。プログラムマネジャーが自分の専門的判断でどの提案に投資するかを決定することができて、審査会での合議を必要としない形になります。なので、合議がないからこそ、そういった平均点評価みたいなところとは違ったメカニズムで、誰かに反対されても埋もれることがないと、そういうものでございます。

また、そのDARPAにおいて、事業者を採択する際の判断軸も事業者の選出を可能にしているものがありまして、ハイルマイヤーの質問と呼ばれる有名な問いの一覧があると。この問いの中には、何をしようとしているのか、その研究が何をしようとしているのか専門用語を一切使わずに述べよという問いであるとか、成功すれば誰がどううれしいのかといったものが含まれていて、このハイルマイヤーの質問の中で問われているのは、事業が成功する確率ではなくて、当たったときのインパクトを評価するような質問というのがかなり多く含まれているようなものになります。

もう一件だけ紹介したいなと思うんですけれども、審査の点数の付け方そのものに踏み込んだ事例として、デンマークのヴィラム財団によるヴィラムエクスペリメントというものもございます。

これ、申請がまず匿名で審査がされまして、誰の提案かどうか分からないような状態になっていると。その審査員は過去の応募者の経歴や実績見ることなく、研究アイデアそのものが常識に挑戦して世界を変える可能性があるかと、それだけで評価をする。さらにその上で、各審査員に一回だけ使えるゴールデンチケットというものが与えられておりまして、決定票ですね、ある審査員がこの提案はもう並外れているということを信じられたのであれば、ほかの審査員が幾ら低く評価していたとしても、その一票、ゴールデンチケットを使った段階で点数の集計待たずに採択確定させることができるというような、そういった仕組みを構築しています。

このときに非常に重要なのが、この決定票を使うかどうかということを、ほかの審査員の点数を知る前に、ほかの人が低い点付けているというのを分かった上でゴールデンチケットを出すのではなくて、ほかの方が知る前に、どういうふうにしているのか、ゴールデンチケットを使うか使わないかを決めている点でございまして、本当に一人の人が信じられるかどうかというところをしっかりと制度的に担保しているようなものでございます。

実際、本財団では、グラフェンという原子一層の素材に量子のシャボン玉と呼ばれる構造を作り出すような技術であるとか、あるいは次世代エレクトロニクスを実現するような技術であるとか、かなり成功するか分からないようなものだけれども大きな変革をもたらし得る研究、数多く今までも採択を結果としてされていると。

なので、このように世界の第一線では、誰も反対しない案が上位に来るのではなくて、その決め方を工夫することによって、誰かが信じられれば、すごくコントラバーシャルな議論を呼ぶようなものであってもしっかりと採択できる仕組みというものがうまく入っております。

そこで、大臣にお伺いしたいと思います。

こうした国内外の先進事例も参考にしながら、機構の採択審査が平均点にならされてしまうのは防ぎ、ハイリスク、ハイインパクトなディープテック事業者をしっかり採択できるようなものとなるように検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

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