稲谷龍彦京都大学大学院法学研究科教授

2026年6月19日・第221回国会 参議院 デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 32 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 123 発言)

平戸先生、御質問ありがとうございます。

御質問の趣旨といたしましては、いわゆるPETsと呼ばれるデータ保護技術を今回のデータの利活用に関する法改正においてどのように位置付けていくべきであるかという御質問であると承りました。

御承知のとおりだと思うんですけれども、一口にPETsと申しましても、極めて多様な種類があるというのがまず率直なところでございまして、私もその点に関する技術的なすごい専門家というわけではありませんので、私が法学者として、あるいはこれまで共同研究をする中で理解している範囲で御説明をさせていただくということになりますが、PETsの中には、入力段階と出力段階のそれぞれにおきまして、先生が御懸念になられましたような要配慮個人情報を情報処理者において濫用されないように、見れないようにしながらAIを学習させるような方法というものもあれば、出力の段階でそういった、出力から元々の個人情報あるいは個人データに関するものを推論されないようにするという方法と両方ございます。

それぞれに費用がやっぱりかなり変わってくるというところと、ここが非常に難しいんですが、出力を調整するPETsの中にはAIの精度を下げてしまうというものも含まれてございまして、これらの諸要素を勘案しながら、何が該当しているデータ、あるいは共有しようとしているデータ主体、あるいはそのデータ主体が備えているガバナンスシステムとの関係でベストなのかということを、これは事前に法律で一義的に決めるということはかなり難しいということが率直なところかなと思います。

ですので、今回アジャイルガバナンスという考え方を少し申し上げましたけれども、まさにこのソフトローですね、ハードローに今回バックアップをされてございますので、指針を定めるとはっきり書かれておったり、あるいは個人情報委員会の規則で定めると、個人情報の委員会の規則はこれはハードローに入るのかもしれませんが、いずれにしても、こういった技術的な措置に詳しい人たちがハードローのバックアップを受けながら詳細を決めることができる手続が用意されているというところが最も重要なポイントではないかというふうに考えてございます。

したがいまして、専門的な知見に基づいて、状況に即した適切なPETsを組み込んでいくということはこれは当然考えるべきですし、その過程においてソフトロー上の義務が発生してくるということはあり得ることかなというふうに考えてございます。

以上でございます。

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