井野俊郎 (自由民主党)経済産業副大臣

2026年5月20日・第221回国会 参議院 資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 3 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 129 発言)

経済産業副大臣の井野俊郎です。

国際情勢の変化とエネルギー安全保障について、お手元の資料に基づき御説明させていただきます。

まず一点目、足下の中東情勢などの動向についてであります。

二ページ目を御覧ください。

我が国の原油の九割以上を中東から輸入しており、中東情勢の悪化は我が国のエネルギー安全保障に直結をいたします。他方、LNGは、原油に比べ調達先の多角化が進んでおり、中東依存度は約一割程度であります。二〇一三年と比べ、原油、LNG共に全体の輸入量は減っているものの、原油の供給源の多角化が課題となっております。

三ページ目。

米国、イスラエルによるイランへの攻撃後、原油価格は一バレル当たり六十ドルから百ドル程度へと大幅に上昇しました。米国やイランによる発表や攻撃の状況などを受け、原油価格は日々大きく変動しております。

五ページ目をお願いします。

ホルムズ海峡の通航が困難になっていることを受け、ホルムズ海峡を通らないルートでの原油の代替調達を進めております。中東のほか、米国などからの調達を拡大し、五月には事態発生前の約六割の代替調達が実現できる見込みであります。六月には他の地域からの代替調達も加わり、約七割以上の調達にめどが付いております。七月も、これに上回るべく最大限取り組んでまいります。

六ページ目、お願いします。

代替調達の進展の結果、備蓄放出量を抑えながらも、年を越えて石油供給を確保できるめどが付いております。政府は三月以降、順次備蓄放出を行っておりますが、六月については、代替調達の更なる進展に加えて、これまでの備蓄放出決定分の活用により必要な原油を確保できる見通しであるため、今月は新たな国家備蓄放出の決定は行わないということといたしました。

七ページ目をお願いします。

先月、AZECプラスの首脳会合において、高市総理より、アジア地域でのエネルギーや重要物資のサプライチェーン強靱化を目的としたアジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ、通称パワー・アジアを発表いたしました。今後、このパートナーシップの下、各国のニーズを踏まえながら協力の具体化を進めてまいります。

八ページ目です。

ゴールデンウイーク中、赤澤大臣は総理親書を携え、サウジアラビア、UAEを訪問し、山田副大臣も、UAE、カタール、クウェート、オマーンに出張いたしました。これらの国々とは、日本への原油の供給拡大やアジアでの備蓄協力など、具体的な取組を進めることで一致できました。この成果を踏まえ、我が国の安定供給とともに、生産国、消費国との協力の下での新たなサプライチェーンの構築をリードしていきます。

十ページ目です。

足下の原油価格高騰から国民生活、経済活動を守るため、ガソリンを始めとする燃料油については、三月十九日から緊急的な激変緩和措置を実施しております。三月十六日に百九十・八円だったガソリンの全国平均小売価格は、現状、百七十円程度の水準を維持しております。

十一ページ目です。

御説明した足下の対応により、原油や石油製品については、日本全体として必要な量を確保しているものの、一部では供給の偏りや流通の目詰まりが生じています。

このため、流通円滑化の対策を強化しており、医療、交通、公共サービス、農業、水産業、畜産業、重要物資の製造業などの重要施設については、優先順位を判断の上、石油元売事業者に対し直接販売を行うよう政府から要請を行っております。

また、石油元売事業者に対し、系列事業者か否かにかかわらず、前年同月比同量を基本として販売するよう要請をしております。

十二ページ目です。

個別の需要家の皆様から寄せられたお困りの声を踏まえ、関係府省庁が連携しながら、目詰まり、供給の偏りの解消に全力で取り組んでおります。

足下の事例③は、ごめんなさい、右下の事例③は製茶業の事例ですが、この工場は、従来取引のあった商社などからA重油の供給が減少し、最も重要な新茶のシーズンに操業停止が懸念されました。こういった声を受け、経済産業省から大手元売事業者に対し茶工場に直接販売するよう要請し、必要なA重油を供給することで操業が継続をされました。

十三ページ目です。

ナフサ由来の化学製品の需給見通しであります。日本のナフサ調達は、中東からの輸入が約四割を占める一方、中東以外の地域からの輸入が約二割、国内生産が約四割あります。足下では、備蓄原油も活用しながら国内でのナフサ精製を継続していることに加え、中東以外からのナフサの輸入を拡大しており、五月には事態発生前の三倍となる見通しであります。

また、川中製品の在庫の活用を合わせると、ナフサ由来の化学製品の供給は年を越えて継続できる見込みとなっております。

十四ページ目です。

こうしたナフサ由来の化学製品も、原油と同様、日本全体として必要な量は確保されておりますが、一部では流通段階での目詰まり、供給の偏りが生じていると認識をしております。

例えば、一部のシンナーの事例ですが、原料を卸す石油化学メーカーや商社が、五月の供給は未定とシンナーメーカーに伝達したことを受け、シンナーメーカーが四月の出荷を半減し、目詰まりが発生いたしました。これを踏まえ、経済産業省から、サプライチェーンの事業者間で原料の供給見通しを共有するように調整を行い、解消することができました。

今後とも、医療関係など人命に関わるものを最優先に、一つ一つ迅速かつ丁寧に解消してまいります。

二点目、我が国のエネルギー安全保障をめぐる動向についてであります。

十七ページ目です。

エネルギーは国民生活や経済活動の基盤となるものですが、我が国はすぐに使える資源が乏しく、国土を山と深い海に囲まれるなどの地理的制約を抱えており、低いエネルギー自給率、資源価格や為替の影響を受けやすい火力発電への高い依存といった課題があります。

十八ページ目です。

そのため、我が国のエネルギー政策においては、安全性の確保を大前提に、エネルギー安定供給を第一として、経済効率性と環境適合性を図る、いわゆるSプラス3Eの原則を我が国のエネルギー政策の基本的な視点として掲げております。

十九ページ目です。

昨年二月に閣議決定した第七次エネルギー基本計画においては、このSプラス3Eの原則の下、DXやGXの進展による電力需要増加に見合った脱炭素電源を確保する上で、再生可能エネルギーと原子力を共に最大限活用することとしつつ、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスの取れた電源構成を目指す方針を示しました。

二十ページ目です。

二〇四〇年度の電源構成の見通しとしては、再エネは四から五割程度、原子力は二割程度、火力は三から四割程度としており、今後、脱炭素電源の更なる拡大を図ってまいります。

他方、我が国全体のエネルギー消費量に目を向けますと、全体の七割は熱、燃料が占めています。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、徹底した省エネに加え、電化や非化石転換といった取組も推進していく必要があります。

二十二ページ目です。

国内の電力需要については、これまでは人口減少や節電、省エネなどにより減少の見通しでしたが、データセンターや半導体工場の新増設などに伴い、最新の見通しでは増加が見込まれております。

二十三ページ目です。

データセンター、半導体、鉄鋼などの分野では、DX、GXの進展に伴う需要増や電化により、電力需要の増加が見込まれています。グローバルな競争においてもサプライチェーン全体の脱炭素化が求められる中、電力需要の増加に見合った脱炭素電源を十分確保できるかが我が国の経済成長や国民生活に直結いたします。

二十四ページ目です。

電力需要が増える中での安定供給や我が国の競争力の強化、脱炭素化の実現といった目的のため、今後、大規模な脱炭素電源や送配電網への新規投資を抜本的に強化するために、必要な施策を進めてまいります。

三点目に、GX実現に向けた取組状況であります。

三十二ページです。

先ほど御説明したとおり、脱炭素電源の拡大などのGX投資は、エネルギー安定供給に加え、国際的な産業競争力の確保にも資する危機管理投資そのものであり、官民が連携し、投資を推し進めていく必要があります。

三十三ページ目です。

GX投資の拡大に向け、十六の分野を重点とし、それぞれについて分野別投資戦略を策定し、GX移行債などを活用した支援と制度的措置を一体で講じています。投資のボトルネックを見極め、研究開発から事業化まで、各フェーズで必要な取組の精査を行い、我が国の勝ち筋につなげてまいります。

四点目、再生可能エネルギーをめぐる状況です。

三十八ページです。

FIT制度の導入後、再エネの発電量は、震災以降約十年で倍増、特に太陽光は約二十倍となりました。

三十九ページ目です。

再エネ政策における五つの課題と今後の進め方をお示ししています。再エネの最大限導入に向け、地域との共生、国民負担の抑制、出力変動への対応、次世代型再エネなどのイノベーションの加速とサプライチェーン構築、使用済太陽光パネルへの対応に適切に取り組んでまいります。

次のページ以降で具体的に説明をいたします。

四十ページです。

地域との共生に関わる問題意識を踏まえ、昨年末、メガソーラー対策パッケージを決定いたしました。この内容を踏まえ、現在、法的規制の強化や関係自治体との連絡会議の実施などを進めるとともに、今後は、ペロブスカイト太陽電池や屋根設置等の地域共生型の再エネに支援を重点化し、地上設置型の事業用太陽光発電設備については、二〇二七年度以降、新規の支援を廃止することを決定しております。

四十一ページです。

ペロブスカイト太陽電池であります。既に量産化に向けた製造ラインの構築事業や研究開発事業が開始されています。加えて、大規模需要の創出に向け、道路、鉄道、空港、港湾などの建築物、構造物への設置に向けた社会実装を進めてまいります。

四十二ページです。

洋上風力についてです。洋上風力は、国産の再生可能エネルギーとして高い導入拡大のポテンシャルを有しています。また、世界的に市場が拡大しており、欧州では、サプライチェーンの形成が進展をしております。さらに、部品数が多く、事業規模が大きいことから、経済波及効果も期待されております。

四十三ページです。

これまで国内十の促進地域で洋上風力の公募を実施しました。一方で、昨年八月、秋田、千葉の海域で三菱商事が撤退を公表しております。この要因については、選定事業者の設定した供給価格が安価である中で事業環境の変化による費用が増大したことや、コスト増加に対応した収入確保が困難であったことなどを関係審議会において分析をしております。

四十四ページです。

こういった分析を踏まえ、洋上風力の新たな公募制度の方針を昨年末に取りまとめました。コスト低減を引き続き重視しつつ、事業実現性を重視する方向で制度の見直しを行います。また、初期の案件形成を着実に進めるため、既に公募した事業について長期脱炭素電源オークションへの参加などを認め、事業環境を整備してまいります。

四十五ページです。

次世代型地熱であります。発電の大規模化、開発エリアの拡大、開発リードタイムの短縮といった従来型地熱発電が抱える課題を克服できることが期待されており、我が国の地熱発電のポテンシャルを現状の四倍以上に拡大する可能性を秘めた技術であります。

四十六ページです。

二〇三〇年代早期の次世代型地熱発電の実用化を目指し、グリーンイノベーション基金を活用した技術開発や国内有望地点での実証を進めていきます。

五点目、原子力政策に関する最近の動向であります。

四十八ページを御覧ください。

現状、国内では十五基の原子力発電所が再稼働をしております。原子力はエネルギー安全保障に寄与する脱炭素効果の高い電源であり、安全性の確保と地域の御理解を大前提に、最大限活用してまいります。

また、二〇四〇年代以降に既存の原子力発電所の供給力が大幅に減少していくことを踏まえ、次世代革新炉の実用化に向け取組を進めてまいります。

四十九ページです。

中でも東京電力柏崎刈羽原子力発電所は、一基が再稼働した場合、東電管内で二%以上の予備率の向上が見込まれ、首都圏始め東日本にとって重要な脱炭素電源であります。同六号機は、昨年十二月に新潟県の花角知事から再稼働の御理解をいただき、先月十六日、営業運転を開始しました。

東京電力には、引き続き、高い緊張感を持って、安全優先で対応してもらいたいと考えております。

五十ページです。

一方で、今年一月には、中部電力が浜岡原子力発電所の審査において不適切な方法で地震動評価を実施していたことを公表しました。原子力の利用の前提、大前提である安全性に対する国民の信頼を大きく損なう、あってはならない事案であり、極めて重く受け止めております。

中部電力に対し、電気事業法に基づく報告徴収命令を発出しており、その結果を踏まえ厳正に対処してまいります。

五十一ページ目です。

原子力を長期的に利用する上で、使用済燃料の扱い、バックエンドへの対応は重要であり、特に核燃料サイクルの中核となる六ケ所再処理工場の竣工は必ず成し遂げるべき重要課題であります。事業者は、同工場の竣工目標を二〇二六年度中としており、政府としても、進捗管理や追加的な人材確保の機動的な調整を実施しております。

五十二ページです。

高レベル放射性廃棄物の最終処分について、二〇二〇年に北海道寿都町、神恵内村、二〇二四年に佐賀県玄海町において、処分地選定もプロセスの第一段階である文献調査を開始しました。また、本年三月には東京都小笠原村南鳥島での文献調査の実施について国から申入れを行い、四月には村長に受入れを表明いただきました。

引き続き、調査地点の拡大に向け、国が前面に立って取り組んでまいります。

五十三ページです。

震災以降、原子力の新規案件の喪失などにより原子力を支える人材基盤は弱体化しつつあり、維持強化が喫緊の課題であります。

これを踏まえ、今後、産学官連携の下、研修施設の拡充などによる技能の承継や進化、教育研究基盤の強化、広報などを通じた将来世代の呼び込み、産官学横断的な司令塔機能の創出に取り組んでまいります。

最後に、六点目、国産海洋鉱物資源をめぐる状況についてであります。

五十五ページです。

重要鉱物は我が国の製造業にとって不可欠な資源であります。重要鉱物の安定供給確保に向けては、予算事業を通じた供給源多角化のため、鉱山開発や製錬への出資、助成金支援のほか、供給途絶に備えるための国家備蓄の強化も実施しております。特に重レアアースについてはJOGMECを通じた出資により、代替供給源のプロジェクトが複数組成されるなどの進展があります。

五十六ページです。

今後は、こうした取組を更に推進しつつ、供給源多角化のための国際的枠組みの検討を進めてまいります。リサイクルの推進や企業の行動変容の促進を含めた中流、下流側と一体となった取組を推進し、重要鉱物の更なる安定供給確保に進めてまいります。

五十七ページです。

我が国の海洋資源開発に、海洋鉱物資源の開発についてであります。日本の周辺海域や公海に保有する鉱区には海洋鉱物資源が豊富に存在しており、大別して四つのフィールドでの取組が進んでおります。各フィールドの特性を踏まえ、資源量の評価や生産に必要なシステムの開発、実証を推進してまいります。特にマンガンについては、二〇三〇年代前半の商業化を目指し、取組を加速してまいります。

御説明は以上となります。

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