日本総合研究所、瀧口と申します。本日はお招きいただきましてありがとうございます。
お配りいただいたレジュメに沿って御説明をさせていただきます。
エネルギー、経済安全保障のために山と海の国内資源の活用を是非ということでお話をさせていただきます。大きく三つ、原油の話、それから中長期で何をやるべきかという話、それからそれのための政策パッケージについての御提案というところでお話をさせていただきます。
今般、御案内のとおり、ホルムズ海峡封鎖ということで、原油調達リスクが顕在化したというところでございます。よく原油とLNGが今両方言及されているわけですけれども、特徴が違うと。
原油については、石油火力についてはもうほぼほぼ今設備はないですし、稼働もしていないということで、発電はほとんどしていないというものなので、自動車、航空機、それから船舶、それの、そういった移動手段の燃料、あるいは話題になっておりますナフサですかね、その辺りのプラスチックなどの化学製品のもととなる原料ということになります。中東に九三%を依存しているという状況です。
一方、LNGについては、火力発電の燃料などというところで、こちらについてはオーストラリアとか東南アジアのある種友好的な関係を維持しているような近隣国から調達しているということで、中東依存度が低いと、一〇%程度という状況です。
こういう中で、一番気を付けないといけないのは、やはり原油の調達途絶リスクというところかなと思います。それをどうするかということを考えると、調達先を多様化するか、国内資源の活用を考えるかという、こういう選択肢になります。
二ページ目になりますけれども、そうすると、短期的には、今政府の方で進められている代替調達先を探すか、目詰まりを取るという、こういうところ以外、やり方はないということになります。
一方、中長期では、山と海に眠る国内資源の活用を是非行いましょうということです。これまで、石油危機、何度も日本は経験してきたわけですけれども、ここに終止符を打てれば、本当に日本から見える国際情勢は激変するはずだというふうに思います。
したがいまして、水力、バイオマス、地熱、こういった山にある、山の国資源と呼んでおりますけれども、こういったものであるとか、洋上風力、潮力、波力、それから海水の重水素などを利用する核融合、それから、場合によっては宇宙太陽光発電というようなものの受電ですね、そこを含めて未開拓の海洋を活用するには、海の国資源を開拓しない手はないというふうに考えております。
日本の国内資源というのは電力になりますので、石油から電気への転換が必要になります。そのとき、電気自動車、EVですね、これは確立した技術で確立した市場ということで、自動車の電化は早期に可能でございます。送配電網が完備されている日本では再生可能エネルギーなどの利用をしやすいという、こういう状況にあります。
これ、突き詰めていくと、最後は更に発電を開発するみたいなところに至るんですけれども、そういうところの中で、電力からの水素製造、CO2、二酸化炭素から石油に近いような合成燃料の製造、こういったところに踏み込んでいくということができると思います。
その中では、発電で今度は、じゃ、何ができるのということになるんですけれども、個人的には水力発電、これをもっとできるはずというふうに思っております。二〇二三年度発電量比率で水力発電は七・六%なんですけれども、第七次エネルギー基本計画でも八%―一〇%、こういう想定になっております。
非常に目立たないんですけれども、その原因は、この図表二にありますけれども、設備容量も増えていないですし、頭打ちになっています。それで発電量自体は若干減っているみたいな、そんな状況にあって水力なんか無理でしょうみたいな、そういう空気感が強いのかなというふうに思っております。
三ページ目の方に、じゃ、どうするのかというと、治水ダムの活用ということだと思います。
治水ダム自体は今でも発電はしています。多目的ダムと呼んだりしていますけれども、ただ、治水ダムというのは、結局洪水調節用のダムなので、積極的に発電しようというふうに担当者は考えない。これがいろいろ利いてくるなというふうに感じています。ただ、最近は気象予測というのもかなり正確にできるようになってきておりますので、その意味では治水と発電、それをハイブリッド化するということは現実味がより増しているかなと思います。その辺り、水力発電、治水ダムの貯水量を基に水力発電量を簡単に試算してみますと、倍増し得るんじゃないかと。既存の水力発電の発電量の倍ぐらいは行けるんじゃないかというふうに思っております。
ただ、エネルギー会社は非常に慎重です。非常に興味を持っている人も多いんですけれども、慎重です。これは結局、山とか海とか、そういうところには多くの関係者がいて、インフラの建設、運搬とかというところは、いろんな人が関わっていろんな人がお金入れないといけないというもので、エネルギーだけで考えることができないという、そういう領域になります。
したがいまして、エネルギー、産業、社会が融合して、一体的なプロジェクトとして産業、社会の課題解決とエネルギー確保を同時に実現する、こういうことを目指す必要があるというふうに思います。
二点目ですけれども、それを踏まえて、エネルギー、社会、産業の連携というところについては、考え方としては、地方の経済社会システムのリニューアル、こういうことを重視していく必要があるかなと思っています。
人口減少、地域経済の疲弊、こういう中で、山の倒木処理であるとか路線網整備などの山林管理、それから、ダムのしゅんせつや流木処理、河川沿いの護岸、こういったところの水系管理というところが滞っているという状況かなと思っています。やっぱり山のインフラを維持するためには、人が住まないと、人がいないと結局その周辺は荒れていって、インフラの維持というのも十分に進まないという、こういう構造が実態としてあるかなと思っています。その意味では、人の定住と流入を支える雇用を生み出す、そういう経済社会システムが必要だというふうに思っております。
産業の勃興であるとか観光資源の整備を連動させることで地方経済の再興を進めることができれば、日本全体として、そういう意義の中で発電コストを負担していくということは十分できるんじゃないかというふうに考えております。
日本は元来、山の、川の流域で経済をつくってきたという背景があると思います。その意味では、そういった経済圏を再度再興していって、広域での事業を推進していくということが考えられると思います。
ただ、やはり富を生み出していくということも同時に考えないといけないので、その意味では成長産業の組成というのは重要になります。
AIを活用した新たな産業構造への展開ということになるわけですが、そのとき、結局、アメリカでは最近、AI、もう完全に独占状態になっていると思いますけれども、その中でハイパースケールデータセンターのような巨大なデータセンターをつくるというのを進めているわけです。
一方、日本の場合は、そういうアメリカで学習されたようなAIを活用しながら、フィジカルAI、ロボット的なところ含めて、製造業や社会インフラへの応用の技術開発というのが必要かなと、そういう方向に今あるかと思っています。その意味では、大都市部周辺のリージョナルデータセンターという一定規模のデータセンター、あるいはユーザーとか末端設備の近隣に設置されるような小型のエッジデータセンター、こういったところにフォーカスをしていくことになるんだろうと。それに対して、中規模の電力を準備するようなモデルを具体化していくということになると思います。
それ、より具体的にどうしていくのかというときには、山の方では、エネルギー掛けるIT、農業、交通、防災と、こういったところを連携していく山のインフラ・産業コンプレックスというものを形成していったらどうだろうと思います。
それから、山については、蓄電池のインフラを整備しながらマイクロデータセンターという、小さめのマイクロデータセンターもありまして、そういったものであるとか、陸上養殖、水耕栽培というのを行うアクアポニックスというものですね、この辺り、電力が非常に供給が必要なので、こういったところの産業群を水力発電、蓄電池のインフラのところに形成していくと。さらに、電気自動車を導入して、電池として、蓄電池として収益を確保しながら地域での交通システムを支えると、こういう仕組みができていくんじゃないかと。
今、ワット・ビット連携ということで、再生可能エネルギーとデータセンターを隣接させるということが政府の方針として進められていると思いますけれども、マイクロデータセンターというのは地域版ワット・ビット連携というところの実現につながるんではないかと思っております。
イメージとしては、図表四のように、水力発電とその周辺に蓄電池のインフラを整備していって、地域のインフラマネジメント会社がいろんな機能につなげていく、こういうような絵面になります。交通と電力についてはより連携が必要なので、交通と電力の事業スキームというのをより具体化していく必要があるかなというところです。
また、もう一つ、バイオマス発電、これもやっぱりやっていくべきだと思います。
そのときに、バイオマス発電というのはなかなか燃料のコストが下がらないという問題があるので、より付加価値を付けていかないといけないと。
そのときに、排出されたCO2、二酸化炭素をカーボンマネジメントという形でうまく調整して、六ページ目の方にありますけれども、利用者とつないでいくと。今話題になっているナフサからの化学製品ですね、プラスチック、繊維、ゴム、塗料、医薬品と、この辺りを作っていったり、あるいは植物工場で利用したり、藻類の培養みたいなことを進めていくと。これいわゆるCCUと呼ばれているものなんですけれども、CO2の分離回収と利用、こういったものをより利用を進めていくということが考えられます。
そもそも、CO2になる前に、バイオマスというのはある種の石油代替の原料になるので、油分とか糖分を作って、バイオリファイナリープラントということで、新たなバイオ化学産業に発展し得るということで、是非是非そういう方向に行くといいなということでございます。
七ページになりますが、ただ、長期的に行くとやっぱり電力が足らないので、洋上風力発電というのは進められてきたところですが、若干、事業者の撤退もあって今沈滞ムードが漂っているわけなんですけれども、やはりここはやっていくべき。それから、潮力、波力は、小規模ですが必ずやっていった方がいいところですし、それに加えて、やっぱり重要なのは核融合、ここは必要になってくるのかなと思いますし、宇宙太陽光発電という、なかなか余りこれは話題にならないんですけれども、こういったことも含めて海の国資源、宇宙で発電したものを受電するという意味で、海で受電するという意味で海の国資源の一つに含めているんですけれども、海洋インフラ・産業コンプレックスというところを構築していくということです。
これは、イメージとしては図表八のようになります。かなり大きな絵ではあるんですけれども、五つの要素をつなげています。
一つは海洋探査ということで、国のJAMSTECという機関が、これかなり面白い、学術的に非常に面白いことをやられているんですけれども、そういう領域の海洋探査の実績を生かして産業的な実装につなげる。それから、実際にマンガンとかコバルト、あるいは非鉄金属のようなものですね、こういったものを効率的に回収するような、回収を行って、エネルギー施設を建設するための洋上プラットフォームというのを構築する。それから、海洋エネルギーインフラそのもの、それから回収した資源を製品化していくような海洋リソース転換産業。海は非常に広いので、自動走行システムを含めて将来的にはそういう仕組みを整えていって、回収するデータは宇宙の衛星と連携するような形で宇宙産業との連携も考えていくというようなことで、こういったところまで是非是非進んでいくべきじゃないかと思っています。
非常に長期に掛かりそうだというふうに感じられるとは思うんですけれども、オイルショックのときもサンシャイン計画でそこから太陽光の開発を始めたというところで、残念ながら今ではあれですけれども、二〇〇〇年代前半までは日本が太陽光発電の導入量世界最大であったという、先駆けた意味合いはあったのかなと思いますし、長期の研究開発は非常に重要かなと思っているところです。
三つ目なんですけれども、これモデル作るだけではなくて地域の現場に落とし込むと、これが必要になります。今、戦略十七分野、技術六十一項目が決まっていますけれども、あっという間の勢いで深まっている状況ですが、ただ一方で、電力、水の供給インフラや人を動かす仕組みについては具体像はまだ描かれていないという状況かと思います。国内資源で国土を再構築するような面的なプロジェクトの組成、こういったところをやっていく政策が必要だと思います。
そのためには国と自治体ということになるわけなんですけれども、国については、まずは成長産業をつくるという役割と思います。いろんな領域が絡むので、これも本当に縦割りをしていかないといけない。悪気があるわけじゃなくて、一個一個がなかなか連携しないということがありますので、エネルギー、経済安全保障と地域振興のためにもそこを進めていくというところです。
それから二点目は、国の危機管理投資が今進められているわけですが、これをきちんと民間投資に連携させて新たな産業を生み出すと。この新たな成長産業というのは山の産業、海の産業ということで、山の産業については蓄電池をベースにしながら自動車と電力、通信、機械、こういうところを連携させるような産業複合体を構築する。フィジカルAIとか自動運転の産業・社会システムを開発して、分野横断の付加価値をつくって、十七の戦略分野の中で連携を行っていくということです。
海の産業については、深海潜航艇、大型船舶、小型船舶、海中ドローン、こういった海洋のモビリティーを開発していくということもありますし、建築・造船技術、それから海洋資源・エネルギー、この辺りを産業複合体として構築していくと。十七の戦略分野は既に海の中身が多いんですけれども、この辺りを有機的に連携させて具体化していくということをイメージします。
それから、スタートアップがいないと新しい技術はどうしても対応できないので、税制優遇措置とか、あと多年度投資が必要なので、山のファンド、海のファンド、こういったものを組成していってはどうかと考えております。
科学技術のRアンドDについても必要になります。これ、SIPとかムーンショット、Kプログラムといったような既存の仕組みがありますので、九ページになりますけれども、地域プロジェクトを応用する場とする研究活動を募っていくということです。
それから、国際連携と書いていますけれども、八十兆円の話もありますが、日米共同開発ということや海外進出も視野に入れるということで、アメリカに投資しなくても、共同で日本のどこかに投資をするという考え方もあるのかなということで、AIデータセンターであるとか蓄電池、それからレアアース、こういった領域はそういうところに適しているのではないかと思っております。
自治体については、国家戦略特区、こういうようなものを活用していくべきかなというところです。それは、規制がどうしても整合していないところがあるので規制改革が必要ですし、地域未来戦略などに落とし込んで具体的に自治体が推進していくことが必要かなというところです。自動交通の整備であるとか産業拠点への企業集積、スタートアップ、地域中小企業、それから、最近、私、今治に行ったんですけど、今治はやっぱり教育機関、非常に元気だなというふうに感じて、ただ、今治造船というところありますけれども、単純に、やっぱり工業だけじゃなくて教育機関、こういうのが連携することで地域が元気になるんだなというふうに感じたんですけれども、そういった整備をしていく必要があるかなというところです。
それから、いろんな自治体にまたがるので、複数自治体の協議会であるとか、広域連合に権限を持たせて自律的に動けるような、そんな体制をつくる必要もあるかなというところです。
それから、やっぱり自治体の財源が必要なので、特例債を発行して、交付税措置、こういう形で地方債の発行をするということも考えられると思います。
私、数日前にアメリカ人の学生とちらっと日本の状況について話したときに、最後に、いや、大変だね、頑張ってねって言われたんですけれども。いろいろ制約を乗り越える必要がこういうことをやるとあるんですけれども、非常に、哀れみを受けないように、将来の世代のためにも是非チャレンジをお願いしたいというところでございます。
以上でございます。
6
木戸口英司(立憲)
時間ですので、おまとめいただけますか。
この発言のページ
7所所千晴早稲田大学理工学術院教授・創造理工学部長・研究科長
はい。
カーボンニュートラルに伴う所要の鉱物量は、ここにありますように、コバルトやリチウムやニッケルやレアアースということで、資源安全保障上も非常に重要になっています。
最後に、アルミニウムも一つ御紹介したいと思います。
アルミニウムもよく、精緻解体、分離をすればカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーが両立できるということになっているんですけれども、これも、やはり精緻解体をしてこそこういったアルミニウムの両立ができます。
こういった意味でも、いろいろな素材をこれから精緻解体をしてカーボンニュートラルと相補的にしていくということは非常に大事だ…
この発言のページ
8
木戸口英司(立憲)
ありがとうございました。
次に、瀧口参考人にお願いいたします。瀧口参考人。
この発言のページ
- (上の発言)
9瀧瀧口信一郎株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト
日本総合研究所、瀧口と申します。本日はお招きいただきましてありがとうございます。
お配りいただいたレジュメに沿って御説明をさせていただきます。
エネルギー、経済安全保障のために山と海の国内資源の活用を是非ということでお話をさせていただきます。大きく三つ、原油の話、それから中長期で何をやるべきかという話、それからそれのための政策パッケージについての御提案というところでお話をさせていただきます。
今般、御案内のとおり、ホルムズ海峡封鎖ということで、原油調達リスクが顕在化したというところでございます。よく原油とLNGが今両方言及されているわけですけれども、特徴が違うと。
原油については、石油火力についてはもうほぼほぼ今設備はないですし、稼働もしていないということで、発電はほとんどしていないというものなので、自動車、航空機、それから船舶、それの、そういった移動手段の燃料、あるいは話題になっておりますナフサですかね、その辺りのプラスチックなどの化学製品のもととなる原料ということになります。中東に九三%を依存しているという状況です。
一方、LNGについては、火力発電の燃料などというところで、こちらについてはオーストラリアとか東南アジアのある種友好的な関係を維持しているような近隣国から調達しているということで、中東依存度が低いと、一〇%程度という状況です。
こういう中で、一番気を付けないといけないのは、やはり原油の調達途絶リスクというところかなと思います。それをどうするかということを考えると、調達先を多様化するか、国内資源の活用を考えるかという、こういう選択肢になります。
二ページ目になりますけれども、そうすると、短期的には、今政府の方で進められている代替調達先を探すか、目詰まりを取るという、こういうところ以外、やり方はないということになります。
一方、中長期では、山と海に眠る国内資源の活用を是非行いましょうということです。これまで、石油危機、何度も日本は経験してきたわけですけれども、ここに終止符を打てれば、本当に日本から見える国際情勢は激変するはずだというふうに思います。
したがいまして、水力、バイオマス、地熱、こういった山にある、山の国資源と呼んでおりますけれども、こういったものであるとか、洋上風力、潮力、波力、それから海水の重水素などを利用する核融合、それから、場合によっては宇宙太陽光発電というようなものの受電ですね、そこを含めて未開拓の海洋を活用するには、海の国資源を開拓しない手はないというふうに考えております。
日本の国内資源というのは電力になりますので、石油から電気への転換が必要になります。そのとき、電気自動車、EVですね、これは確立した技術で確立した市場ということで、自動車の電化は早期に可能でございます。送配電網が完備されている日本では再生可能エネルギーなどの利用をしやすいという、こういう状況にあります。
これ、突き詰めていくと、最後は更に発電を開発するみたいなところに至るんですけれども、そういうところの中で、電力からの水素製造、CO2、二酸化炭素から石油に近いような合成燃料の製造、こういったところに踏み込んでいくということができると思います。
その中では、発電で今度は、じゃ、何ができるのということになるんですけれども、個人的には水力発電、これをもっとできるはずというふうに思っております。二〇二三年度発電量比率で水力発電は七・六%なんですけれども、第七次エネルギー基本計画でも八%―一〇%、こういう想定になっております。
非常に目立たないんですけれども、その原因は、この図表二にありますけれども、設備容量も増えていないですし、頭打ちになっています。それで発電量自体は若干減っているみたいな、そんな状況にあって水力なんか無理でしょうみたいな、そういう空気感が強いのかなというふうに思っております。
三ページ目の方に、じゃ、どうするのかというと、治水ダムの活用ということだと思います。
治水ダム自体は今でも発電はしています。多目的ダムと呼んだりしていますけれども、ただ、治水ダムというのは、結局洪水調節用のダムなので、積極的に発電しようというふうに担当者は考えない。これがいろいろ利いてくるなというふうに感じています。ただ、最近は気象予測というのもかなり正確にできるようになってきておりますので、その意味では治水と発電、それをハイブリッド化するということは現実味がより増しているかなと思います。その辺り、水力発電、治水ダムの貯水量を基に水力発電量を簡単に試算してみますと、倍増し得るんじゃないかと。既存の水力発電の発電量の倍ぐらいは行けるんじゃないかというふうに思っております。
ただ、エネルギー会社は非常に慎重です。非常に興味を持っている人も多いんですけれども、慎重です。これは結局、山とか海とか、そういうところには多くの関係者がいて、インフラの建設、運搬とかというところは、いろんな人が関わっていろんな人がお金入れないといけないというもので、エネルギーだけで考えることができないという、そういう領域になります。
したがいまして、エネルギー、産業、社会が融合して、一体的なプロジェクトとして産業、社会の課題解決とエネルギー確保を同時に実現する、こういうことを目指す必要があるというふうに思います。
二点目ですけれども、それを踏まえて、エネルギー、社会、産業の連携というところについては、考え方としては、地方の経済社会システムのリニューアル、こういうことを重視していく必要があるかなと思っています。
人口減少、地域経済の疲弊、こういう中で、山の倒木処理であるとか路線網整備などの山林管理、それから、ダムのしゅんせつや流木処理、河川沿いの護岸、こういったところの水系管理というところが滞っているという状況かなと思っています。やっぱり山のインフラを維持するためには、人が住まないと、人がいないと結局その周辺は荒れていって、インフラの維持というのも十分に進まないという、こういう構造が実態としてあるかなと思っています。その意味では、人の定住と流入を支える雇用を生み出す、そういう経済社会システムが必要だというふうに思っております。
産業の勃興であるとか観光資源の整備を連動させることで地方経済の再興を進めることができれば、日本全体として、そういう意義の中で発電コストを負担していくということは十分できるんじゃないかというふうに考えております。
日本は元来、山の、川の流域で経済をつくってきたという背景があると思います。その意味では、そういった経済圏を再度再興していって、広域での事業を推進していくということが考えられると思います。
ただ、やはり富を生み出していくということも同時に考えないといけないので、その意味では成長産業の組成というのは重要になります。
AIを活用した新たな産業構造への展開ということになるわけですが、そのとき、結局、アメリカでは最近、AI、もう完全に独占状態になっていると思いますけれども、その中でハイパースケールデータセンターのような巨大なデータセンターをつくるというのを進めているわけです。
一方、日本の場合は、そういうアメリカで学習されたようなAIを活用しながら、フィジカルAI、ロボット的なところ含めて、製造業や社会インフラへの応用の技術開発というのが必要かなと、そういう方向に今あるかと思っています。その意味では、大都市部周辺のリージョナルデータセンターという一定規模のデータセンター、あるいはユーザーとか末端設備の近隣に設置されるような小型のエッジデータセンター、こういったところにフォーカスをしていくことになるんだろうと。それに対して、中規模の電力を準備するようなモデルを具体化していくということになると思います。
それ、より具体的にどうしていくのかというときには、山の方では、エネルギー掛けるIT、農業、交通、防災と、こういったところを連携していく山のインフラ・産業コンプレックスというものを形成していったらどうだろうと思います。
それから、山については、蓄電池のインフラを整備しながらマイクロデータセンターという、小さめのマイクロデータセンターもありまして、そういったものであるとか、陸上養殖、水耕栽培というのを行うアクアポニックスというものですね、この辺り、電力が非常に供給が必要なので、こういったところの産業群を水力発電、蓄電池のインフラのところに形成していくと。さらに、電気自動車を導入して、電池として、蓄電池として収益を確保しながら地域での交通システムを支えると、こういう仕組みができていくんじゃないかと。
今、ワット・ビット連携ということで、再生可能エネルギーとデータセンターを隣接させるということが政府の方針として進められていると思いますけれども、マイクロデータセンターというのは地域版ワット・ビット連携というところの実現につながるんではないかと思っております。
イメージとしては、図表四のように、水力発電とその周辺に蓄電池のインフラを整備していって、地域のインフラマネジメント会社がいろんな機能につなげていく、こういうような絵面になります。交通と電力についてはより連携が必要なので、交通と電力の事業スキームというのをより具体化していく必要があるかなというところです。
また、もう一つ、バイオマス発電、これもやっぱりやっていくべきだと思います。
そのときに、バイオマス発電というのはなかなか燃料のコストが下がらないという問題があるので、より付加価値を付けていかないといけないと。
そのときに、排出されたCO2、二酸化炭素をカーボンマネジメントという形でうまく調整して、六ページ目の方にありますけれども、利用者とつないでいくと。今話題になっているナフサからの化学製品ですね、プラスチック、繊維、ゴム、塗料、医薬品と、この辺りを作っていったり、あるいは植物工場で利用したり、藻類の培養みたいなことを進めていくと。これいわゆるCCUと呼ばれているものなんですけれども、CO2の分離回収と利用、こういったものをより利用を進めていくということが考えられます。
そもそも、CO2になる前に、バイオマスというのはある種の石油代替の原料になるので、油分とか糖分を作って、バイオリファイナリープラントということで、新たなバイオ化学産業に発展し得るということで、是非是非そういう方向に行くといいなということでございます。
七ページになりますが、ただ、長期的に行くとやっぱり電力が足らないので、洋上風力発電というのは進められてきたところですが、若干、事業者の撤退もあって今沈滞ムードが漂っているわけなんですけれども、やはりここはやっていくべき。それから、潮力、波力は、小規模ですが必ずやっていった方がいいところですし、それに加えて、やっぱり重要なのは核融合、ここは必要になってくるのかなと思いますし、宇宙太陽光発電という、なかなか余りこれは話題にならないんですけれども、こういったことも含めて海の国資源、宇宙で発電したものを受電するという意味で、海で受電するという意味で海の国資源の一つに含めているんですけれども、海洋インフラ・産業コンプレックスというところを構築していくということです。
これは、イメージとしては図表八のようになります。かなり大きな絵ではあるんですけれども、五つの要素をつなげています。
一つは海洋探査ということで、国のJAMSTECという機関が、これかなり面白い、学術的に非常に面白いことをやられているんですけれども、そういう領域の海洋探査の実績を生かして産業的な実装につなげる。それから、実際にマンガンとかコバルト、あるいは非鉄金属のようなものですね、こういったものを効率的に回収するような、回収を行って、エネルギー施設を建設するための洋上プラットフォームというのを構築する。それから、海洋エネルギーインフラそのもの、それから回収した資源を製品化していくような海洋リソース転換産業。海は非常に広いので、自動走行システムを含めて将来的にはそういう仕組みを整えていって、回収するデータは宇宙の衛星と連携するような形で宇宙産業との連携も考えていくというようなことで、こういったところまで是非是非進んでいくべきじゃないかと思っています。
非常に長期に掛かりそうだというふうに感じられるとは思うんですけれども、オイルショックのときもサンシャイン計画でそこから太陽光の開発を始めたというところで、残念ながら今ではあれですけれども、二〇〇〇年代前半までは日本が太陽光発電の導入量世界最大であったという、先駆けた意味合いはあったのかなと思いますし、長期の研究開発は非常に重要かなと思っているところです。
三つ目なんですけれども、これモデル作るだけではなくて地域の現場に落とし込むと、これが必要になります。今、戦略十七分野、技術六十一項目が決まっていますけれども、あっという間の勢いで深まっている状況ですが、ただ一方で、電力、水の供給インフラや人を動かす仕組みについては具体像はまだ描かれていないという状況かと思います。国内資源で国土を再構築するような面的なプロジェクトの組成、こういったところをやっていく政策が必要だと思います。
そのためには国と自治体ということになるわけなんですけれども、国については、まずは成長産業をつくるという役割と思います。いろんな領域が絡むので、これも本当に縦割りをしていかないといけない。悪気があるわけじゃなくて、一個一個がなかなか連携しないということがありますので、エネルギー、経済安全保障と地域振興のためにもそこを進めていくというところです。
それから二点目は、国の危機管理投資が今進められているわけですが、これをきちんと民間投資に連携させて新たな産業を生み出すと。この新たな成長産業というのは山の産業、海の産業ということで、山の産業については蓄電池をベースにしながら自動車と電力、通信、機械、こういうところを連携させるような産業複合体を構築する。フィジカルAIとか自動運転の産業・社会システムを開発して、分野横断の付加価値をつくって、十七の戦略分野の中で連携を行っていくということです。
海の産業については、深海潜航艇、大型船舶、小型船舶、海中ドローン、こういった海洋のモビリティーを開発していくということもありますし、建築・造船技術、それから海洋資源・エネルギー、この辺りを産業複合体として構築していくと。十七の戦略分野は既に海の中身が多いんですけれども、この辺りを有機的に連携させて具体化していくということをイメージします。
それから、スタートアップがいないと新しい技術はどうしても対応できないので、税制優遇措置とか、あと多年度投資が必要なので、山のファンド、海のファンド、こういったものを組成していってはどうかと考えております。
科学技術のRアンドDについても必要になります。これ、SIPとかムーンショット、Kプログラムといったような既存の仕組みがありますので、九ページになりますけれども、地域プロジェクトを応用する場とする研究活動を募っていくということです。
それから、国際連携と書いていますけれども、八十兆円の話もありますが、日米共同開発ということや海外進出も視野に入れるということで、アメリカに投資しなくても、共同で日本のどこかに投資をするという考え方もあるのかなということで、AIデータセンターであるとか蓄電池、それからレアアース、こういった領域はそういうところに適しているのではないかと思っております。
自治体については、国家戦略特区、こういうようなものを活用していくべきかなというところです。それは、規制がどうしても整合していないところがあるので規制改革が必要ですし、地域未来戦略などに落とし込んで具体的に自治体が推進していくことが必要かなというところです。自動交通の整備であるとか産業拠点への企業集積、スタートアップ、地域中小企業、それから、最近、私、今治に行ったんですけど、今治はやっぱり教育機関、非常に元気だなというふうに感じて、ただ、今治造船というところありますけれども、単純に、やっぱり工業だけじゃなくて教育機関、こういうのが連携することで地域が元気になるんだなというふうに感じたんですけれども、そういった整備をしていく必要があるかなというところです。
それから、いろんな自治体にまたがるので、複数自治体の協議会であるとか、広域連合に権限を持たせて自律的に動けるような、そんな体制をつくる必要もあるかなというところです。
それから、やっぱり自治体の財源が必要なので、特例債を発行して、交付税措置、こういう形で地方債の発行をするということも考えられると思います。
私、数日前にアメリカ人の学生とちらっと日本の状況について話したときに、最後に、いや、大変だね、頑張ってねって言われたんですけれども。いろいろ制約を乗り越える必要がこういうことをやるとあるんですけれども、非常に、哀れみを受けないように、将来の世代のためにも是非チャレンジをお願いしたいというところでございます。
以上でございます。
10
木戸口英司(立憲)
ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、参考人が答弁しやすいように質疑の冒頭に答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。
そ…
この発言のページ
11見見坂茂範(自民)
自由民主党の見坂茂範でございます。
三名の参考人の方々、大変貴重な御意見いただきまして、本当にありがとうございました。更なる御示唆をいただきたいと思いまして、私の方から何点か御質問をさせていただければというふうに思っています。
まず、瀧口参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
先ほどありましたとおり、今般のこの中東情勢の緊迫化に代表されるように、今本当に国際情勢が非常に複雑化していると、ある意味、地政学リスクへの備えというのが我が国にとって喫緊の課題かなというふうに感じております。特に、我が国は国産の資源、そして国産のエネルギーが乏しい…
この発言のページ
12瀧瀧口信一郎株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト
ありがとうございます。
基本的には多様化ですよね。これは、地域的な多様化もそうですし、エネルギー源の多様化もするという、これをやらざるを得ないと思うんですね。だから、いろんな可能性を追求するというのを、これをまず基本としてやらないといけないと思います。
なので、ちょっと私、今日、国内資源を使っていくということによりフォーカスをしてお話をさせていただいたんですけれども、基本的にはあらゆる選択肢を排除せずやっていくというのが非常に重要かなと思っています。
原油も今、アメリカとか中央アジアですかね、から調達したというような報道もありますけれども、例えば南…
この発言のページ