岸真紀子 (立憲民主党)

2026年7月24日・第221回国会 参議院 本会議 第31号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 28 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 53 発言)

立憲民主・無所属会派の岸真紀子です。

私は、会派を代表して、ただいま議題となりました副首都法案に反対の立場から討論を行います。

冒頭、高市自民・維新連立政権に一言申し上げます。

そもそも、一月の常軌を逸した衆議院解散・総選挙から、高市政権の傲慢な国会運営、内容が余りにひど過ぎる法案、憲政史上最悪な国会になっていることを猛省していただきたい。良識の府参議院として先輩たちが対話によって培ってきた国会ルールすらも、維新の我田引水でしかない副首都法案のために崩されようとしたことに、抑え難い怒りが込み上げています。

二度とこのような民主主義を破壊するようなことはすべきではないと申し上げ、本題に入ります。

立憲民主党は、自然災害に備えた国家の統治機能の継続性や東京一極集中の解消は必要であると考えていますが、自民、維新の提出法案には、党利党略、国費を使って利権を得る、言わば副首都利権をはらんでおり、到底容認できるものではありません。

国家の統治機能という重要なものにもかかわらず、会期末間際に審議入りし、しかも、衆議院では委員長職権で立てるといった強引な手法、極めて短い時間での審議で済ませようとする自民・維新連立与党の姿勢自体が適切ではありません。

副首都について議論するとしても、本法案のような生煮え議員立法では限界があり、既存の国会等の移転に関する法律をアップデートした形で、政府が統計データや学術的知見や研究を基に責任を持って前へ進めればよいのです。

この法案の提出会派は、自由民主党と日本維新の会であり、連立政権を担っている二つの政党です。内容をはっきり答えられない議員立法ではなく、内閣提出法案として出し直して、じっくり審議すべきであります。与党であるにもかかわらず議員立法で出すということは、自らもたちが悪い法案であると認めているからではないですか。

それでは、具体的な反対理由を五点に絞って申し上げます。

第一の理由は、維新が執着している大阪都構想ありきという公平性への疑問です。

リスク分散を隠れみのにした維新の党利党略でしかない法案と厳しく断じざるを得ません。

本法案は副首都を指定するとしていますが、実際には、大阪が有利となるように、そして東海や関東が除外されるような要件を盛り込ませており、大阪を念頭に置いた制度設計になっています。

我が国では、首都を定める法律は存在しておらず、首都とは何か、どのような機能を有するかは定かではありません。そのような中、この法案ではなぜ副首都という言葉が出てくるのでしょうか。唐突感が否めません。

むしろ、日本維新の会が大阪において現在進めている副首都・大阪にふさわしい大都市制度協議会を後押しすることのための法案であると考えるのは、私だけの邪推ではありません。

衆参における法案審議では、この法案で首都中枢機能を代替するために必要な副首都の整備に係る施策その他国家社会機能継続性確保施策は、具体的にどのようなもので、どのようにしたいのか、質疑を重ねていますが、発議者及び政府の答弁では、法成立後に基本方針を検討していくという曖昧なものばかりであり、国会で議論しなければならない肝腎な部分が明確になっていません。

しかも、副首都機能が何かを答えられないのに、基本方針の策定前でも副首都を指定できるという驚きの答弁までありました。方針が定まらないのに要件を満たすことができるのでしょうか。本当に不思議な法案です。なぜ、急ぎ成立させなければならないのでしょうか。

与党の政調審議で削除された項目ですが、当初は、大都市法による関連市町村を廃止し、特別区を設置するための住民投票の対象者を、廃止される関連市町村単位から道府県単位に拡大しようとしていたことを勘案すると、維新のもくろみとしては、二〇一五年五月と二〇二〇年十一月に二度も住民投票で否決されてきた大阪都構想を三度目の住民投票で実現したい、そのためには、副首都構想という新しいキーワードで、かつ、この法案によって今度は国から予算までをも我田引水したい、もっと言えば、来春の統一地方選挙と住民投票を一緒に実施したい、そういったよこしまな考えが透けて見えていたため、審議では同日選挙を禁止すべきと多くの人が求めたのに、やむを得ずを繰り返し、この答弁に終始し、時間を費やし、振り回されたことは大変遺憾です。

反対する第二の理由は、災害時のバックアップ機能の実効性が不十分であるという点です。

首都直下地震などへの備えを想定し、行政や国会、司法及び経済に関する機能の継続性が最大の理由だったはずです。それなのに、副首都の要件について、首都直下地震緊急対策区域及び富士山の火山災害警戒地域のいずれにも該当しないことを想定して政令で定めるとしていますが、政府としてこの間注意喚起を促してきた南海トラフ地震は、何ゆえに想定していないのでしょうか。

南海トラフ地震は広範囲のため、想定地域を全て非該当にする必要はありませんが、富士山の火山災害警戒地域を除外するなら、ある程度の大規模災害を想定しつつ、国家の統治機能を代替できることが必要不可欠な条件であります。にもかかわらず、質疑で、南海トラフ地震が発生した場合には東京と大阪どちらも被害を受ける可能性を否定できないのではないかとの問いに、納得できるような答弁はありません。

やはり、維新が推進する大阪都構想ありきで要件を絞っているとしか思えません。

反対する第三の理由は、東京一極集中の解消につながるかは不透明という点です。

首都中枢機能代替地域や副首都を設けても、企業や人口が自然に移転する保証はありません。首都機能の分散には、税制や企業立地政策、大学、研究機関の移転など総合的な施策が必要でありますが、どの程度の予算規模で何をするのか、質疑では明らかにされませんでした。

この法案による効果は限定的ではないかという懸念、あわせて、大阪優遇の要件となっているため、副首都ができたとしても、今と変わらない、又は、国の予算が大阪経済の活性化に使われ、東京一極集中が是正されないまま、第二の都市に新たな一極集中ができ上がることを危惧しています。この法案は、全国の地方創生ではなく、多極分散どころか、一地域への重点投資になりかねません。

第四の理由は、巨額の財政負担への懸念です。

副首都の定義が曖昧ですが、とはいえ、行政機関の移転や代替拠点の整備、交通ネットワークや通信インフラなどの整備、バックアップ機能の整備、民間事業者等への投資促進減税などを行うことになれば、多額の国費が必要になる可能性もあります。費用対効果が十分に示されていないのに、国費を使って副首都利権を政権与党である維新が狙っていることは大きな問題です。

第五の反対理由は、地方自治や住民意思との関係に疑念がある点です。

現行の大都市法第十条の規定があるにもかかわらず、今回の法案の附則で特別区を設ける副首都の都への名称変更を可能としていることは、立法事実もなければ法的必要性も全くありません。

言うなれば、副首都というキーワードと大都市法の改正を無理やり結び付けることによって、三度目の大阪都構想を誘導しやすくするためではないでしょうか。それ以外には大都市法を改正する必要がありません。

立法府として、住民自治の在り方のみならず、地方自治の本旨をゆがめかねない法案を成立させるわけにはいきません。

結びに、この副首都法案は、大規模災害に備えると言いながらも、巧妙に特定の地域しか対象とならないように仕組まれており、本来の国家の統治機能の移転よりも、日本維新の会が党利党略で三度目の大阪都構想を副首都構想と看板を掛け替えて実現したいところに、連立を組んでいる自由民主党が悪乗りしたと言わざるを得ません。

会期延長をしてまでも審議するのであれば、もっと真面目に、今苦しんでいる国民の暮らしのための議論をすべきであり、このように自己都合の法案のために使うべきではありません。

自民、維新の副首都法案は廃案にすべきであると強く申し上げ、討論を終わります。(拍手)

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