安達悠司 (参政党)

2026年6月19日・第221回国会 参議院 本会議 第23号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 25 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 54 発言)

参政党の安達悠司です。

会派を代表して、刑事訴訟法改正案に対し質問をいたします。

今回の法案は、刑事裁判のうち再審に関する手続を整備するものです。

我が国の刑事裁判は三審制であり、捜査と最大三回の公判を経て判決が確定し、刑が執行されるのが原則です。しかし、例外的に、誤判による冤罪を防ぐために、確定した裁判のやり直しを行う特別の手続があります。これが再審です。

再審は、全体の件数から見ても非常に例外的な手続であり、無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したときという刑事訴訟法四百三十五条六号など、非常に厳しい要件を満たす必要があります。

袴田事件では、昭和四十一年から長年にわたる裁判の末、令和六年九月二十六日、再審無罪が認められましたが、今まで再審に関する手続規定が十分ではなく、証拠開示のルールや検察官抗告の在り方などを見直そうという超党派での議員立法の動きが起きました。

議員立法の動きに対し、法務省では政府原案、法制審案が作られましたが、与党内で修正され、国会に提出されました。その国会提出法案に対し、参政党の要望した修正案が衆議院で通りました。附則の第二条と第四条第二項という、一見小さく見えますが、重要な修正です。一つは、検察官証拠の任意開示を適切に行うこと、もう一つは、五年後の見直し事項の対象に開示証拠の目的外使用禁止と検察官証拠一覧表の二つを入れたことです。

要するに、再審事件で、検察官が任意に、今まで以上に証拠開示に協力するよう条文上の根拠を盛り込んだものと理解しています。

刑事裁判においては、まず真実を明らかにすること、真相の解明が何より重要です。同時に、捜査や裁判において国民の権利と自由が守られることが非常に大切です。その上で、国家により、罪を犯した人に対し適正な刑罰の実現が行われる必要があります。

犯罪が行われた場合に、真相を解明して、犯人を逮捕し、処罰することができなければ、法秩序が維持できず、無法地帯になってしまいます。しかし、誤った裁判によって無実の人が処罰されてはいけません。一度裁判が確定したとの理由で再審の門戸を固く閉ざし続ければ、真相の解明の機会や刑事裁判に対する国民の信頼を失ってしまうのではないでしょうか。

罪を犯した人は適正な処罰をする一方で、無実の人を誤って処罰してはならない。これが大原則です。

そこで、高市総理にお尋ねします。

今回の改正案を考える上で、刑事訴訟法の目的の一つでもある真相の解明、真実を明らかにするという観点が非常に重要だと考えますが、国の刑罰権行使における真相解明の重要性についてどのように考えておられますか。高市総理の答弁を求めます。

次に、証拠開示及び検察官抗告禁止について質問します。

再審手続において、証拠提出命令の要件が定められました。証拠提出命令の範囲も重要ですが、事案の真相解明のためには、さらに、検察官による証拠の任意の開示も非常に重要だと考えます。

すなわち、検察官は公益の代表者であって、また検察官の真実義務という考え方もあり、その手持ち証拠を殊更に隠したり、真相の解明を妨げてはならないと考えます。袴田事件でも、検察官証拠の開示が極めて重要な役割を果たしました。

参政党が要望した修正案により、附則第四条二項が挿入され、検察官による任意での証拠の提出又は開示は、事案に応じ、適切に行うものとするとされたことを踏まえ、検察官証拠の任意開示の在り方について、高市総理はどのように考えますか。高市総理の答弁を求めます。

再審請求手続で再審開始決定が出された場合、検察官側の不服申立て手続である検察官抗告は、過去の冤罪事件において度々審理の長期化の原因ともなってきました。

今回の改正案では、検察官抗告を原則禁止にするとの説明であり、十分な根拠がある場合という制約が設けられましたが、今回の改正案によって再審開始決定に対する検察官抗告の検討プロセスはどのような変化がありますか。法務大臣の答弁を求めます。

次に、証拠の目的外使用、証拠一覧表について尋ねます。

参政党が要望した修正案により、附則二条に、五年ごとの見直しの対象として、証拠の目的外使用の禁止、検察官が保管する証拠の一覧表が明記されました。

再審手続において、検察官から開示された証拠を目的外使用した場合に刑事罰が科されることで、表現の自由、報道の自由など国民の権利や自由が妨げられるのではないか、定期的に見直してチェックを行う必要があると考えます。

そこで、高市総理に質問します。

改正案において証拠の目的外使用禁止を規定したことは、国民の権利や自由にとってどのように影響すると考えていますか。また、検察官保管証拠の一覧表の規定がありませんが、審理にどのように影響すると考えていますか。高市総理の答弁を求めます。

次に、裁判官の除斥事由について質問します。

本改正案では、再審請求審に関与した裁判官を引き続き行われる再審から除斥、つまり担当から外すことを定めています。しかし、今まで再審請求審と再審の手続は一体であると考えられていました上に、除斥する裁判官を増やすと、大津や福井など裁判官が少ない裁判所では担当裁判官の数が不足することも考えられます。

結局は、無罪の心証と思われる裁判官を今後の手続から排除する狙いがあるのではないでしょうか。破産手続における破産開始決定での事後の手続など、前後の手続など、今後この論理をほかの手続にも適用して裁判官の除斥を行うのですか。法務大臣の答弁を求めます。

次に、調査手続について質問します。

改正案では、新たに調査手続を創設し、一定の要件を満たした場合に審判開始決定を出し、証拠開示などの手続に入ることとしています。

やや技術的な話ですが、法四百四十四条の二第二項第一号ハのスクリーニングの要件は主張自体失当の場合を指すと説明されますが、再審開始決定事由には規範的要件があり、その解釈、判断は困難を伴い、広く門前払いされてしまうおそれもあると考えます。

書面に記載された請求の理由が明らかに各号に掲げる場合に該当しないと認めるときの要件は、証拠評価を含むことなく、主張のみによって判断するという理解でよいですか。法務大臣の答弁を求めます。

最後に、今後再審を含めた刑事裁判について、高市総理に三点質問します。

改正案では、再審開始決定が出された場合の死刑執行停止に伴う拘置停止が可能であることの明文化がされました。誤判に基づく死刑執行は絶対にあってはならない一方で、死刑制度を認めている我が国においては、究極の刑罰としての死刑執行の時期や在り方も引き続き議論が必要です。

高市総理は、我が国における死刑の必要性及び改正案を踏まえた執行の時期や在り方についてはどのように考えていますか。高市総理の答弁を求めます。

また、捜査能力の向上について尋ねます。

冤罪が発生したということは、犯人がいない事件は別として、真犯人を取り逃した可能性があるということであり、真相の解明、犯人の身柄確保と処罰に向けた一層の捜査能力の強化、向上が求められます。暗殺や不審死、不審火などの事案において真相解明や真犯人の確保などが十分になされているか、懸念する国民もいます。

真実解明の観点から、真犯人を取り逃がさないため、捜査機関の証拠収集等の捜査能力や捜査体制の強化、向上について、総理は具体的にどのような施策に取り組む考えですか。高市総理の答弁を求めます。

刑事裁判を動かすのは人です。真相の解明、国民の権利、自由の尊重、そして適正な処罰の実現など、より良い刑事裁判に向けて真面目に取り組む裁判官、検察官、弁護士など法曹養成のためには、本来、司法戦略や計画策定を必要としています。

しかし、平成十四年の三月十九日に閣議決定された司法制度改革推進計画を最後に、二十年以上、司法に関する戦略文書がありません。例えば、当時の文書には平成三十年に弁護士五万人規模を目指すとありますが、令和八年現在、弁護士は四万八千人台であり、これからの法曹養成の行く末さえ明らかではありません。司法にもっと積極財政をという声もあります。

再審も含むより良い刑事司法を実現するためには、早急に、裁判所、検察庁、弁護士会それぞれの考えを取りまとめ、法曹三者の養成に関し、今後十年先を見据えた司法戦略文書や計画を策定すべきだと考えますが、高市総理の答弁を求めます。

参政党は、今後の、今回の刑事訴訟法改正案について、真相を解明し、国民の権利と自由を守った上で、国家による適正な刑罰を実現し、国民国家を守ることのできるより良い刑事司法の在り方を求めていくことを表明し、質問を終わります。

ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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