松本尚 (自由民主党)デジタル大臣・内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)

2026年6月12日・第221回国会 参議院 本会議 第21号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 21 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 53 発言)

郡山りょう議員の御質問にお答えいたします。

まず、統計作成等の特例による個人情報の拡散の危険性についてのお尋ねがありました。

本特例の適用を受けるためには、統計作成等を行う事業者は、取得した個人情報を個人に関する情報に当たらない状態にまで一般化して加工する必要があります。また、統計作成等を行う事業者には、取得した個人情報の第三者提供を禁止するなど、提供された個人情報の適切な取扱いを担保するための規律も設けられています。

これらを踏まえますと、個人情報を止めどなく拡散させる危険性があるとの御指摘は当たらないと考えております。

次に、統計作成等の特例の対象となるデータや当該特例規定の性質についてのお尋ねがありました。

まず、本特例の対象となる個人情報等の範囲については、限定を設けておりません。御指摘の携帯の位置情報や新型コロナウイルスの疫学調査データについても、個人情報等に該当すれば本特例の対象となります。

他方、本特例は、データの提供元及び提供先に各種の義務が課せられており、個人の権利利益を十分に保護した上で活用される制度となっていると考えております。このため、国が都合よく使うための包括的な授権規定との御指摘は当たらないものと考えております。

次に、医師の守秘義務との関係についてのお尋ねがありました。

本特例に適用される場合であっても、医師の守秘義務について規定した刑法などの法の法令、失礼、別の法令に基づく規律が及ぶ場合には、事業者としてこれを遵守する必要があります。事業者は、個人情報保護法だけでなく、御指摘の守秘義務も踏まえて個人情報の提供の適否を判断する必要があり、御指摘は当たらないものと考えております。

次に、患者と医師との信頼関係についてのお尋ねがありました。

本特例が適用される場合であっても、刑法第百三十四条などの別の法令に基づく規律が及ぶ場合には、事業者としてこれを遵守する必要があることに変わりはありません。医療分野においては、同分野を対象とした個人情報の取扱いに関するガイドライン等が策定されており、本特例に基づく個人情報の取扱いについて、厚生労働省を始めとする関係省庁とも連携した上で、御指摘の患者と医師の信頼関係に配慮しつつ、個人情報保護委員会において必要な改定を検討するものと承知しております。

次に、統計作成等の特例における識別子の削除についてのお尋ねがありました。

AI開発等においては、いわゆる識別子と呼ばれる氏名等の情報が必要である場合や、データが構造化されておらず、氏名等を削除することが技術的に困難である場合があること等から、本法案の規定上、提供元に対して一律に氏名等の削除を行うことは求めておりません。

ただし、本法案においては、提供等、提供先がAI開発等の目的で取り扱う必要がある場合と規定されており、この要件に該当する必要があるため、当然のことながら、不必要に氏名等を提供することは認められません。また、削除が技術的に困難でないにもかかわらず不必要な氏名等を提供する場合、違法な個人データの第三者提供として課徴金の対象となり得る旨も本法案において規定されております。

次に、識別子削除の義務化と海外企業へのデータ提供についてのお尋ねがありました。

御指摘の識別子の点については、先ほども述べたとおり、一律に削除を義務化するものではありませんが、法律上、不必要に氏名等を提供することは認められません。

また、海外企業へのデータ提供の実態については、現行法上、個人データを外国に提供する場合には、国内で提供する場合の規律に加えてより厳格な規律が課せられており、個人情報保護委員会による事前審査や同委員会に対する報告等の規定はなく、どの程度の数の事業者がいかなる国の事業者に個人データを提供しているのか、個人情報保護委員会においては網羅的に把握していないものと承知しています。

本特例においては、提供元及び提供先は、事業者の名称や統計作成等の内容等の公表を義務付けられております。個人情報保護委員会においては、公表事項の把握等を通じて、適切なモニタリングの実施、厳正な法執行をしていくものと承知しております。

次に、次世代医療基盤法との関係についてのお尋ねがありました。

まず、現行法においても本特例の導入後においても、医療情報を利活用しようとする事業者は、一般法である個人情報保護法によることも特別法である次世代医療基盤法によることも可能であり、両者は排他的ではありません。

本特例においては、事前の認定制度は採用しておりませんが、統計作成等を行う事業者に各種の義務を課し、事業者の義務違反やそのおそれが生じた場合には、国が適切に介入することによって個人の権利利益を適切に保護することとしております。

本特例の導入後、提供される医療データの件数がどれだけ増加するかについてはお答えすることは困難ですが、いずれにしましても、個人情報保護委員会が適切にモニタリングを行い、厳正に法執行を、法執行権限を行使していくことで、個人の権利利益の保護が図られるものと考えております。

次に、法案提出のプロセスについてのお尋ねがありました。

本法案の閣議決定に至るまでの過程においては、個人情報保護委員会において、有識者、経済団体、消費者団体等の幅広いステークホルダーからの意見を踏まえて検討を行ってきたものと承知をしております。また、総理に対しては、本法案の概要について、個人情報保護委員会より閣議決定前に必要十分な説明をしているものと承知しております。

このように、本法案は適切なプロセスを経て閣議決定に至っているのであり、本法案を撤回する必要はないものと考えております。

次に、統計作成等の特例について、氏名、住所等の削除を義務付ける法案修正についてお尋ねがありました。

AI開発等を行う場合においては、氏名等を含むデータの処理や、失礼、氏名等を含むデータの処理が必要な場合や、氏名等をあらかじめ完全に削除することが技術的に困難な場合があり得るため、氏名等の削除を一律に義務付けることは適切ではありません。

また、本特例においては、提供元が必要の条件を、要件を満たさない氏名等を提供することは認められず、提供先には適切なデータの管理を担保するための各種の義務が課せられており、義務違反に対しては個人情報保護委員会において適切な権限行使がなされることから、本特例は個人の権利利益の侵害のおそれが十分に低い制度となっていると考えております。

このため、法案の修正は必要ないものと考えております。

次に、団体による差止め請求制度に係る次の国会での立法についてお尋ねがありました。

団体訴訟制度については、その導入に向けた検討を継続してまいります。今後、様々な意見や課題について精査し、議論を積み重ねていくものですので、次の国会での立法化について予断を持って答弁することは差し控えます。

次に、国会への事前報告、審査の機会についてお尋ねがありました。

本法案をお認めいただいた場合には、個人情報保護委員会において、法律の委任の範囲で個人情報保護委員会規則を定めていくものと承知しております。

委員会規則の内容については、その制定に際して国会へ事前に報告することや国会の審査を受けることは想定していませんが、本法案の国会での質疑の内容を踏まえるとともに、今後の関係者との調整を経た上で策定されることとなります。

次に、国民を守る保護水準についてお尋ねがありました。

統計作成等の特例は、個人との対応関係が排斥された統計情報等の作成のみに利用できる制度であり、そうした統計情報等の作成のみに利用されることを担保するため、一定の事項の公表等の義務を課し、目的外使用や第三者提供を禁止する等の措置を講ずることとしております。

さらに、本特例による違反行為に対する個人情報保護委員会による命令等に従わない場合は罰則の対象になること、事業者による義務違反について課徴金制度の対象となること、事業者の従業者等がデータを不正に提供した場合は罰則の対象となること等の措置が講じられています。

これらを踏まえますと、本法案によって国民を守る保護水準が実質的に引き下げられているとの御指摘は当たらないものと考えております。(拍手)

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