田村まみ (国民民主党)

2026年5月29日・第221回国会 参議院 本会議 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 33 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

国民民主党・新緑風会の田村まみです。

私は、会派を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。

賛成の理由について、三点申し上げます。

一点目は、本法律案は、少子高齢化が進行する中において、現役世代の保険料負担の上昇を抑制しながら、医療保険における給付と負担を見直し、持続可能な医療保険制度の実現を目指すために各種改正を行うものであり、その趣旨に沿って不断の改革を行うことについて賛成です。

一方で、法改正の内容ではなく、その前提となる社会保障費、医療保険の給付と負担について、参考人質疑では、医療費が増加する要因として、主に高齢化の進展と技術の進歩というところが大きかったが、失われた何十年間のデフレ下において高齢化の伸びの範囲内に医療費を抑えるという政策が取られたので、基本的には医療技術の評価がされてこなかったという指摘がありました。

骨太方針には、高齢化による社会保障費の自然増に対しキャップをはめる縮小均衡型の記載が続きました。二〇二五年、ようやく賃上げ、物価上昇を鑑み、必要な増を反映する書きぶりとなり、二〇二六年診療報酬改定では、一九九六年以来三十年ぶりのプラス三・〇九%の改定となりました。

しかし、経年の不足分は反映されておらず、イラン情勢も加味されていない状況が続いています。このままでは、医療機関の赤字は解消されず、赤字経営のため医療資材、医薬品、医療機器の値上げも受け入れられず、地域医療提供体制は崩れ、医療周辺産業の持続可能性も断たれます。

今後、社会保障関連の法制度の見直しにおいて、公平性を軸に、産業の成長と賃上げや物価上昇や需要の拡大、医療技術、医薬品の革新を踏まえた社会保障費全体の予算増を抜きに見直しを進めれば、負担は高い方に合わせ、給付は低い方に合わせる、これを前提とした議論にならざるを得ません。

今こそ、社会保障費の在り方と支える財源について、患者、国民の命を守り、医療、医薬品、介護等関連産業の振興を後押しし、地域の雇用を生み、地方創生に資する縮小均衡ではない骨太方針にするべきではないでしょうか。

二点目は、妊娠、出産に伴う経済的負担の軽減と、国民健康保険の負担軽減がなされるからです。

国民民主党の掲げる少子化対策は、子を産み育てられると思える手取りの確保と、徹底的な子ども・子育て支援を充実した結果、生まれる子供の数が増えることです。

今回の改正は、出産に係る費用について、出産育児一時金が支給されても六一%の方が持ち出しをしている状況に対し、保険給付として分娩費を創設し、標準的な費用に係る給付体系の見直しによって負担軽減を図る措置が講じられます。また、妊婦健診において、多胎妊娠への対応などの課題は残りますが、不妊治療中の方、不育症で流産、死産をされた方を含め、都道府県における周産期医療に関する協議会と連携しながら、心身のケアを含めて切れ目のない体制構築とサービス、費用の見える化が図られます。

また、国民健康保険においては、子供に係る均等割保険料の軽減が未就学児から高校生年代まで拡充し、子育て支援拡充となる改正になっております。

三点目は、OTC類似薬に係る一部保険外療養の創設についてです。

国民民主党は、OTC医薬品の活用を通じたセルフメディケーションの推進による保険適用範囲の見直しと医療費の適正化を既に掲げております。一部保険外療養の創設によりOTC医薬品の利用を推進することで達成すべき最大の目的は、セルフメディケーションを推進することによって国民の健康増進を図ることで、これに資すると考えるからです。国民一人一人が自身が受ける医療の内容とその費用について考えることで、より健康で豊かな生活を送れるようにすることが第一であり、その結果として全体の医療費が削減されるというのがあるべき姿です。

また、一部保険外療養の制度が十分に機能するためには、医療現場にいる医師の方々が制度の趣旨を理解し、患者にOTC医薬品の活用を促すことが極めて重要となります。このため、本法律案附則の検討規定で勘案するとされている医師や薬剤師の理解を深めるための取組が求められます。あわせて、登録販売者のより一層の質の向上を図っていくことも重要です。

このような取組が進めば、今回の改正は、財源を確保するために国民の一人一人の医療費給付を削減するだけのものだという批判は免れるはずです。政府には、セルフケア、セルフメディケーション推進の体制整備や、報酬体系、税制活用といった環境が整うことで、保険給付範囲の検討に取り組んでいただきたいと考えます。

このように、医療保険制度を始め、給付と負担の見直しに資する改正内容であり、賛成です。

しかし、さきの予算案で議論され、可決をされました令和八年、九年の高額療養費制度の見直しについては、課題を指摘しておきたいと思います。

令和七年度予算案で修正される事態を踏まえ、今回の改正で健康保険法百十五条、高額療養費制度の支給要件、額について、とりわけ長期にわたって継続的に療養を受ける者の家計と、より生活全体への影響を考慮する条文追加となっているにもかかわらず、今般の高額療養費の見直しにこの条文の趣旨が十分反映されているものとは言えません。

今般の制度見直し以前から指摘されていた問題として、七十歳未満の場合は、複数の医療機関を受診したときなどに自己負担額が二万一千円以上じゃないと合算ができないことや、多数回該当の仕組みにおいて、保険者が変更となった場合にカウントが引き継がれずにリセットされる、また新設された年間上限は当面は償還払いとなる、こういう問題があります。

自己負担限度額の引上げ等を議論するならば、従前問題と指摘のあった内容や新設制度の運用の整備を施行までに整えるなど、財源やシステム改修の課題を乗り越え、これらの問題の解消に向けた具体的な取組を早急かつ計画的に進めることを求めたいと思います。

また、高額療養費制度の見直しに係る議論においては、現行制度の枠組みを維持した上での自己負担額の在り方が主な論点となりましたが、かつての入院主体の医療から外来中心に変化し、昨今の医療の高度化に伴い、仕事との両立がしやすい治療といった受診、治療形態が変化している中では、現行制度にとらわれず制度全般の在り方について議論すべきではないでしょうか。

さらに、高額な医療費が必要となった方や、病気や治療の影響によって収入が減少し生活困窮に陥った方、治療と就労の両立が困難な状況にある方などを支えるために、社会保障に求められることは、高額療養費制度だけで支えることにとどまりません。既存の各種支援策が確実に患者、御家族に届くよう、相談窓口の連携強化やアクセスの確保に取り組む必要があります。

総理は質疑で、保険者のみならず地方自治体などと連携し、機能強化を図ると答弁されました。附帯決議にも追加されました。社会保障全体の中で、高額療養費制度も含めてどのような支援体制が必要か、総合的な視点で改めて検討していかなくてはならないと考えます。

また、協会けんぽの国庫補助についての懸念も付言しておきます。

本法律案では、令和八年度から令和十年度までの三年間、協会けんぽへの国庫補助に対する特例減額の控除額に年五百億円、合計一千五百億円を上乗せすることとしています。

政府は、その理由として、近年の協会けんぽの財政収支が順調なことや、特例減額開始前であった平成二十三年から平成二十六年度の四年分の額を反映するものだと説明しますが、これは実質的に、過去に遡及して国庫補助を減らすことにほかなりません。それだけではなく、現在の協会けんぽの財政収支は黒字ですが、二〇三〇年代には単年度収支が赤字となる見通しも示されています。

政府においては、今後、新たな国庫補助減額や補助率の引下げなど行うことがないよう、附帯決議を踏まえ、中長期的な視点に立った対応を求め、私の賛成討論といたします。

ありがとうございました。(拍手)

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