立憲民主・無所属、郡山りょうです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
まず、本法律案は、OTC類似薬についての一部保険外療養の創設、後期高齢者医療制度における金融所得の勘案、出産費用の無償化や妊婦健診に関する見直し、国民健康保険の子育て世帯の保険料軽減の拡充、国保の各種制度見直し、高額療養費制度に係る考慮事項の明確化、医療機関の業務効率化や勤務環境改善、協会けんぽの国庫補助に係る時限措置など、それぞれ性格の異なる様々な項目をまとめて改正するものとなっています。
改正項目についてはそれぞれ深い議論が必要であり、各項目に対して賛否が分かれる可能性のある内容のものを全て一くくりにして一つの改正案にまとめる必要があったのか、大きく疑問に感じます。施行時期が七段階に分かれていることからも、独立審議が可能な事項に分けて法案を提出することも可能だったと考えられます。
政府は、今回の改正項目は全て持続可能な医療保険制度の実現を目的とする点で共通するものだと説明しますが、ここまで性格の異なる内容の改正項目を安易に一くくりにすることは、結果的に賛否を封じることにつながりかねず、丁寧で充実した審議を行う妨げとなってしまったのではないでしょうか。
その上で、本法律案の内容について特に問題があると考える点が二点ございます。
一つ目は、高額療養費制度に関する改正内容です。
本法律案では、高額療養費の支給要件、支給額等を定める際に、特に長期療養者の家計に与える影響を考慮するよう法律上明確化することとしています。長期療養者への配慮は当然ながら重要ではありますが、それだけでは不十分です。
高額療養費制度については、既に現行制度の下においても、経済的な負担から必要な治療を断念せざるを得ない方や、治療により生活の困窮に陥る方がいることが指摘されているところです。にもかかわらず、政府は高額療養費制度の令和八年八月と令和九年八月における二段階の見直しを断行しようとしており、自己負担限度額の引上げ等により負担が増加する方が生じることが見込まれています。
そもそも、高額療養費制度の見直しに関しては、昨年の見直し凍結を経て、当事者の方の声をしっかりと聞いて改めて検討するよう、社会保障審議会の下に専門委員会を設け、患者団体も参画した議論が行われてきました。ですが、専門委員会において最終的な自己負担限度額の引上げ額などが示されたのは予算の閣議決定前日であり、報告事項のような形でした。こうした検討プロセス自体に大きな問題があったと言わざるを得ません。
高額療養費制度は、憲法第二十五条が保障する生存権の趣旨を踏まえ、国民皆保険制度において国民の生命及び生活を守る上で欠くことのできない中核的な役割を果たすものであるはずです。しかし、今回の高額療養費制度の見直し内容では、WHOの定義する破滅的医療支出の状態となる方が生じる可能性が指摘されています。受診抑制が増加するおそれも指摘されており、患者の方々から不安の声が続いています。このような状況で、今回の見直し内容は高額療養費が果たすべき役割を十分に踏まえたものとなっていると言えるのでしょうか。
また、高額療養費制度については、保険者が変更となった場合に多数回該当のカウントが引き継がれずリセットされてしまうことや、合算制度において七十歳未満は二万一千円以上でなければ合算できないこと、新設される年間上限の仕組みにおいて当面は償還払いになることといった様々な課題も残されたままとなっています。
政府は、令和八年八月と令和九年八月の段階的な見直しはパッケージで行うものと説明していますが、患者の方々の不安の声、研究者の方による指摘も踏まえ、少なくとも令和八年八月の見直し後に十分な検証、議論を行わなくてはならないと考えています。パッケージで行うことに固執することなく、いま一度立ち止まり、本法律案の審議過程でも明確となった様々な課題に改めて真摯に向き合い、高額療養費制度について検討し直す必要があるのではないでしょうか。
こうした課題への対応について検討の方向性を法律案に明記することで、将来にわたって高額療養費制度のあるべき姿を保障する必要があると考えます。
二つ目は、OTC類似薬の保険給付の見直しについてです。
本法律案は、一部保険外療養を創設し、OTC医薬品との代替性が特に高い薬剤を用いた療養等について、その費用のうち一部を保険給付の対象外とすることとしています。しかし、法律案ではこの代替性を判断するための観点が不明確であり、一部保険外療養の対象となる薬剤の範囲がなし崩し的に広げられるのではないかという懸念があります。また、一部保険外療養の創設に伴い、必要かつ適切な受診の抑制が生じることがあってはなりません。さらに、本法律案の審議過程では、一部保険外療養の対象範囲について、薬剤費だけでなく、薬剤費以外の診療行為等の部分まで含まれてしまうではないかとの指摘もございました。
本法律案の審議においては、医療保険制度の持続可能性を高める観点から、所得把握の充実と応能負担の原則の徹底も重要な論点として議論されました。
後期高齢者医療制度における金融所得の勘案は、その一歩ではありますが、株式等の配当や自営業者等の所得をより正確に把握し、負担能力に応じた公平な保険料賦課を実現することが不可欠です。さらに、現役世代と高齢者世代との間の費用負担の在り方、すなわち世代間負担の問題についても、医療保険制度単体ではなく、年金、介護を含む社会保障制度全体の枠組みの中で、応能負担を基軸に据えた議論を深める必要があります。
そうした問題点を踏まえ、私たち立憲民主・無所属は公明党の皆様とともに、委員会において本法律案に対する修正案を提出いたしました。
修正案の主な内容は、高額療養費の支給要件、支給額等を定めるに当たっての考慮事項として、療養を受ける中低所得者の家計に与える影響、療養を受ける者の必要かつ適切な受診に与える影響を追加すること、療養に必要な費用の負担が家計の負担能力に応じたものになるよう配慮する旨の規定を追加すること、高額療養費等の制度の抜本的な改革についての検討を加えること、一部保険外療養に係る薬剤についての代替性を判断するに当たっての観点を追加すること等であり、患者の方々や国民の皆様の不安を払拭し、より良い制度とするためのものでしたが、残念ながら、賛成少数で否決となりました。
また、本法律案の審議過程では、いわゆる攻めの予防医療をいかに担保するかという点も重要な議論として提起されました。国民が積極的に健康増進に取り組める環境の整備こそが、医療費の増大を抑制する上で有効な手段であり、この観点を制度設計に盛り込むことが求められています。
しかしながら、予防医療の充実を図るためには、国民が健康を維持できる働き方の実現が前提となります。長時間労働の蔓延や裁量労働制の拡大に伴う労働者の健康への懸念など、労働環境の問題は、医療保険制度と切り離せない課題です。社会保障制度全体として、健康を守る働き方の確保と一体的に取り組む総合的なアプローチが不可欠です。
国民皆保険制度は、国民の皆様の健康や安心した暮らしを支える非常に重要で大切な制度です。この制度を次世代に引き継いでいかなくてはならないとの考えは、与野党共に共通した認識のはずです。ですが、そのための手段として、高額療養費制度という国民皆保険制度の中核的な制度において、当事者の声を十分に反映せずに患者の方の自己負担を増やすことは大きく間違っていると言わざるを得ません。
このような手段ではなく、医療保険制度そして社会保障制度全体の枠組みや在り方について、与野党を超えて議論を深めなければならないときに来ています。その際には、所得把握の強化と応能負担原則の徹底、現役世代と高齢者世代との公平な世代間負担の配分、そして長時間労働の是正や裁量労働制の適切な対応を含む労働環境の改善や、定期健康診断、歯科健診等の充実を始めとした攻めの予防医療の推進などを一体として取り組まなければなりません。
私たち立憲民主・無所属は、今後も、国民の皆様の命と暮らしを守るために、皆様の声を反映した政策を全力で実現していくことをお誓い申し上げ、私の討論といたします。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
28
関口昌一議長
日程第五 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔小川克巳君登壇、拍手〕
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29
小川克巳(自民)
ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、持続可能な医療保険制度の実現に向け、必要な保険給付等の適切な実施並びに世代間及び世代内での負担の公平性の確保を図るため、出産に係る給付体系の見直し、一部保険外療養の創設、国民健康保険における子供に係る均等割保険料等の軽減の拡充、後期高齢者医療における金融所得の保険料等への勘案等の措置を講ずるほか、医療機関の業務効率化と勤務環境改善の取組に係る措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、…
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30
関口昌一議長
本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。郡山りょう君。
〔郡山りょう君登壇、拍手〕
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- (上の発言)
31郡郡山りょう(立憲)
立憲民主・無所属、郡山りょうです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
まず、本法律案は、OTC類似薬についての一部保険外療養の創設、後期高齢者医療制度における金融所得の勘案、出産費用の無償化や妊婦健診に関する見直し、国民健康保険の子育て世帯の保険料軽減の拡充、国保の各種制度見直し、高額療養費制度に係る考慮事項の明確化、医療機関の業務効率化や勤務環境改善、協会けんぽの国庫補助に係る時限措置など、それぞれ性格の異なる様々な項目をまとめて改正するものとなっています。
改正項目についてはそれぞれ深い議論が必要であり、各項目に対して賛否が分かれる可能性のある内容のものを全て一くくりにして一つの改正案にまとめる必要があったのか、大きく疑問に感じます。施行時期が七段階に分かれていることからも、独立審議が可能な事項に分けて法案を提出することも可能だったと考えられます。
政府は、今回の改正項目は全て持続可能な医療保険制度の実現を目的とする点で共通するものだと説明しますが、ここまで性格の異なる内容の改正項目を安易に一くくりにすることは、結果的に賛否を封じることにつながりかねず、丁寧で充実した審議を行う妨げとなってしまったのではないでしょうか。
その上で、本法律案の内容について特に問題があると考える点が二点ございます。
一つ目は、高額療養費制度に関する改正内容です。
本法律案では、高額療養費の支給要件、支給額等を定める際に、特に長期療養者の家計に与える影響を考慮するよう法律上明確化することとしています。長期療養者への配慮は当然ながら重要ではありますが、それだけでは不十分です。
高額療養費制度については、既に現行制度の下においても、経済的な負担から必要な治療を断念せざるを得ない方や、治療により生活の困窮に陥る方がいることが指摘されているところです。にもかかわらず、政府は高額療養費制度の令和八年八月と令和九年八月における二段階の見直しを断行しようとしており、自己負担限度額の引上げ等により負担が増加する方が生じることが見込まれています。
そもそも、高額療養費制度の見直しに関しては、昨年の見直し凍結を経て、当事者の方の声をしっかりと聞いて改めて検討するよう、社会保障審議会の下に専門委員会を設け、患者団体も参画した議論が行われてきました。ですが、専門委員会において最終的な自己負担限度額の引上げ額などが示されたのは予算の閣議決定前日であり、報告事項のような形でした。こうした検討プロセス自体に大きな問題があったと言わざるを得ません。
高額療養費制度は、憲法第二十五条が保障する生存権の趣旨を踏まえ、国民皆保険制度において国民の生命及び生活を守る上で欠くことのできない中核的な役割を果たすものであるはずです。しかし、今回の高額療養費制度の見直し内容では、WHOの定義する破滅的医療支出の状態となる方が生じる可能性が指摘されています。受診抑制が増加するおそれも指摘されており、患者の方々から不安の声が続いています。このような状況で、今回の見直し内容は高額療養費が果たすべき役割を十分に踏まえたものとなっていると言えるのでしょうか。
また、高額療養費制度については、保険者が変更となった場合に多数回該当のカウントが引き継がれずリセットされてしまうことや、合算制度において七十歳未満は二万一千円以上でなければ合算できないこと、新設される年間上限の仕組みにおいて当面は償還払いになることといった様々な課題も残されたままとなっています。
政府は、令和八年八月と令和九年八月の段階的な見直しはパッケージで行うものと説明していますが、患者の方々の不安の声、研究者の方による指摘も踏まえ、少なくとも令和八年八月の見直し後に十分な検証、議論を行わなくてはならないと考えています。パッケージで行うことに固執することなく、いま一度立ち止まり、本法律案の審議過程でも明確となった様々な課題に改めて真摯に向き合い、高額療養費制度について検討し直す必要があるのではないでしょうか。
こうした課題への対応について検討の方向性を法律案に明記することで、将来にわたって高額療養費制度のあるべき姿を保障する必要があると考えます。
二つ目は、OTC類似薬の保険給付の見直しについてです。
本法律案は、一部保険外療養を創設し、OTC医薬品との代替性が特に高い薬剤を用いた療養等について、その費用のうち一部を保険給付の対象外とすることとしています。しかし、法律案ではこの代替性を判断するための観点が不明確であり、一部保険外療養の対象となる薬剤の範囲がなし崩し的に広げられるのではないかという懸念があります。また、一部保険外療養の創設に伴い、必要かつ適切な受診の抑制が生じることがあってはなりません。さらに、本法律案の審議過程では、一部保険外療養の対象範囲について、薬剤費だけでなく、薬剤費以外の診療行為等の部分まで含まれてしまうではないかとの指摘もございました。
本法律案の審議においては、医療保険制度の持続可能性を高める観点から、所得把握の充実と応能負担の原則の徹底も重要な論点として議論されました。
後期高齢者医療制度における金融所得の勘案は、その一歩ではありますが、株式等の配当や自営業者等の所得をより正確に把握し、負担能力に応じた公平な保険料賦課を実現することが不可欠です。さらに、現役世代と高齢者世代との間の費用負担の在り方、すなわち世代間負担の問題についても、医療保険制度単体ではなく、年金、介護を含む社会保障制度全体の枠組みの中で、応能負担を基軸に据えた議論を深める必要があります。
そうした問題点を踏まえ、私たち立憲民主・無所属は公明党の皆様とともに、委員会において本法律案に対する修正案を提出いたしました。
修正案の主な内容は、高額療養費の支給要件、支給額等を定めるに当たっての考慮事項として、療養を受ける中低所得者の家計に与える影響、療養を受ける者の必要かつ適切な受診に与える影響を追加すること、療養に必要な費用の負担が家計の負担能力に応じたものになるよう配慮する旨の規定を追加すること、高額療養費等の制度の抜本的な改革についての検討を加えること、一部保険外療養に係る薬剤についての代替性を判断するに当たっての観点を追加すること等であり、患者の方々や国民の皆様の不安を払拭し、より良い制度とするためのものでしたが、残念ながら、賛成少数で否決となりました。
また、本法律案の審議過程では、いわゆる攻めの予防医療をいかに担保するかという点も重要な議論として提起されました。国民が積極的に健康増進に取り組める環境の整備こそが、医療費の増大を抑制する上で有効な手段であり、この観点を制度設計に盛り込むことが求められています。
しかしながら、予防医療の充実を図るためには、国民が健康を維持できる働き方の実現が前提となります。長時間労働の蔓延や裁量労働制の拡大に伴う労働者の健康への懸念など、労働環境の問題は、医療保険制度と切り離せない課題です。社会保障制度全体として、健康を守る働き方の確保と一体的に取り組む総合的なアプローチが不可欠です。
国民皆保険制度は、国民の皆様の健康や安心した暮らしを支える非常に重要で大切な制度です。この制度を次世代に引き継いでいかなくてはならないとの考えは、与野党共に共通した認識のはずです。ですが、そのための手段として、高額療養費制度という国民皆保険制度の中核的な制度において、当事者の声を十分に反映せずに患者の方の自己負担を増やすことは大きく間違っていると言わざるを得ません。
このような手段ではなく、医療保険制度そして社会保障制度全体の枠組みや在り方について、与野党を超えて議論を深めなければならないときに来ています。その際には、所得把握の強化と応能負担原則の徹底、現役世代と高齢者世代との公平な世代間負担の配分、そして長時間労働の是正や裁量労働制の適切な対応を含む労働環境の改善や、定期健康診断、歯科健診等の充実を始めとした攻めの予防医療の推進などを一体として取り組まなければなりません。
私たち立憲民主・無所属は、今後も、国民の皆様の命と暮らしを守るために、皆様の声を反映した政策を全力で実現していくことをお誓い申し上げ、私の討論といたします。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
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関口昌一議長
田村まみ君。
〔田村まみ君登壇、拍手〕
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33田田村まみ(国民)
国民民主党・新緑風会の田村まみです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。
賛成の理由について、三点申し上げます。
一点目は、本法律案は、少子高齢化が進行する中において、現役世代の保険料負担の上昇を抑制しながら、医療保険における給付と負担を見直し、持続可能な医療保険制度の実現を目指すために各種改正を行うものであり、その趣旨に沿って不断の改革を行うことについて賛成です。
一方で、法改正の内容ではなく、その前提となる社会保障費、医療保険の給付と負担について、参考人質疑で…
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34
関口昌一議長
原田大二郎君。
〔原田大二郎君登壇、拍手〕
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