立憲民主・無所属の鬼木誠です。
会派を代表して、国家情報会議設置法案について、反対の立場から討論を行います。
私は、我が国のインテリジェンス能力の強化の必要性を否定しているわけではありません。今日、認知戦や影響工作、サイバー攻撃等の手法を組み合わせたハイブリッドな脅威は増大しており、それらに対抗するためには、インテリジェンス能力を強化することは必要と考えています。
しかし、国家のインテリジェンス機能は、軍事力や警察力と同様に、強力な権力機能の一つであり、仮にインテリジェンス機関を制御することができず、暴走を許すことになれば、国民の人権を著しく不当に侵害しかねない危険性を持つものです。したがって、無批判にただ力を与えればよいというものではないと考えていますし、インテリジェンス機能の強化のために憲法に保障された権利や自由を差し出すことはできません。
この強い問題意識、本法案への危機感は、我が党に寄せられた地方議会の議員を始め、多くの国民の皆さんの声に共通するものであり、政府としてもこれらの声に真摯に向き合わなければならなかったはずです。しかし、政府はそれらの懸念や心配の声を杞憂と断じるがごとき答弁に終始をし、質疑を通じて政府の責任で国民の不安や不信を解消するという姿勢が示されることはありませんでした。
ここで改めて法案の持つ主な問題点を指摘をし、法案反対の討論とさせていただきます。
問題の一つ目は、情報活動の対象が不明確、不明瞭という点です。
例えば、どのようなデモや集会への参加が対象となるのかなど法案では定かでない点について、具体的な例示等を行いつつ、情報活動の対象を絞り込むための質疑を重ねましたが、政府答弁は対象とならないものの明確化をあえて避け、対象の範囲を広く残そうとする意図が強く感じられるものでしかありませんでした。また、法案に示されている外国情報活動への対処に在日外国人の皆さんや支援する皆さんの活動が含まれるかという問いに対しても、一概に言えない旨の答弁が繰り返され、ここでも明確な考え方は示されませんでした。
多文化共生というあるべき価値の実現に向け、国籍を問わず多くの方の活動が行われていますが、他方で、排外主義的な言論や行動が時に激化する状況も生じており、このような中、ただでさえ不安を感じている在日外国人の方が、政府からも不当な監視が強化されるのかと、より大きな不安を抱かせる答弁となっており、全く納得できません。
これらにとどまらず、我が国の重要な国政の運営に資する情報の収集調査に係る活動という重要情報活動の定義の曖昧さ、幅広さへの懸念は、質疑により払拭されるどころか、一層深まったと言わざるを得ません。情報活動の対象になり得るか否かが不明のままでは、政府の政策に反対する意思表明を行うことをためらってしまいます。そうなると、民主主義の根幹を揺るがす事態を生み出すおそれがある、そのことを強く指摘しておきたいと思います。
二点目は、個人情報、プライバシーの保護が制度化されていないという点です。
本法案には、大川原化工機事件や大垣署による市民監視事件を始めとしたインテリジェンス機関が起こしてきた過去の違法な活動への反省を全く感じることができません。多くの委員がこれらの事件について触れ、その教訓を制度に生かすべきことを求めても、一顧だにされることはありませんでした。
裁判において違法なインテリジェンス活動を行ったと判断された機関に判決をどう捉えているのかを問うても、重く受け止めているという答弁はあるものの、謝罪の言葉はついぞなく、かたくななその姿勢は、捜査や監視に多少の行き過ぎがあってもやむを得ないと言わんばかりであり、冤罪等が繰り返されるということだけではなく、いつ自分がその当事者になってもおかしくないという不安や不信の解消は全く図られませんでした。
また、個人情報やプライバシー保護について明文化を求めた質問に対し木原官房長官は、本法案は一般的な組織法であり、他に規定されていないような規定を本法案のみに書き込めば、法体系全体のバランスを考えたときに特別な意味合いを付与するということになりかねず、現場における情報活動の萎縮や不作為を招きかねないという趣旨の答弁を繰り返されていましたが、この個人情報やプライバシー保護を優先することで情報活動に萎縮があってはならないという答弁は、法文に明記しなかったのだから、恐れず、遠慮せず、どんどんやれ、現場へのメッセージにしか聞こえません。インテリジェンス能力の強化の名の下に、個人情報やプライバシーが侵害され、国民を監視するような仕組みが構築されるのではないかという懸念は、最後まで払拭できませんでした。
第三は、民主的統制、国会の関与や第三者機関によるチェック機能が具備されていないという点です。
米国や英国を始めとした欧米主要国のインテリジェンス法制には、民主的統制の仕組みが備わっています。また、インテリジェンス機関の活動を定期的に国会に報告するなどの仕組みも構築されており、情報活動特有の秘匿性のバランスを図りながら、可能な限り透明化を図る努力が行われています。
しかし、法案では、このような仕組みが全くありません。国会への報告については否定をされていませんが、定期的な報告の義務化に応じることはなく、第三者機関の設置の必要性も認めていません。インテリジェンス活動に失敗はあるはずで、その際、どこに問題があったのかということを独立した第三者機関、第三者的な立場で検証し、問題点を指摘をして改善につなげることこそ、さきに触れた過去に犯した過ちの教訓だと考えますが、政府がそのような観点に立たれていないことは極めて残念でなりません。
政府は、インテリジェンス施策強化の次の段階では第三者機関の創設等についても検討が必要と考えていらっしゃるようですが、ならば、なぜ今回の法案に規定されなかったのか、納得いく答弁はありませんでした。
また、民主的統制について、内閣情報会議が総理を議長として閣僚が構成員となる国家情報会議に格上げされることで、政治家による民主的統制が働くようになるといった的外れな楽観的過ぎる答弁もなされていますが、この答弁は、現在の内閣情報会議には政治家による民主的統制が働いていないことを吐露したにすぎず、私たちが求めている民主的統制とは大きく質が異なることを改めて指摘をしておきたいと思います。
そして最後は、この法案が、より不安と懸念が大きい、次なるインテリジェンス機能強化施策への道を開くものであるという点であります。
この点、委員会において、いわゆるスパイ防止法や対外情報庁の設置等について問われた際、検討に向けた課題の整理等を行っている旨の答弁に加え、それら次なるインテリジェンス強化施策の検討に当たっては、国民の権利義務に関わる課題が含まれ得ることを答弁なさっています。この答弁が、個人情報やプライバシーの侵害にとどまらず、内心の自由や通信の秘密など憲法に定められた様々な権利や自由を制限をする、あるいは侵害することをも含んでいるとすれば、大きな問題であることは言うまでもありません。
これからの検討であるのなら、個人の権利、自由を侵害しないもの、抵触しないものとなるように検討いただきたいと考えていますし、どうしても抵触、侵害のおそれを回避できないとしたら、法制化そのものを諦めていただくしかありません。その確約がないまま、憲法に保障された権利、自由が脅かされるかもしれない未来への扉を開く本法案を認めるわけにはいきません。
以上述べたとおり、今回の政府案は、情報活動の対象が不明確、不明瞭なまま、個人情報やプライバシーを無用に侵害する懸念を残した上に、国会の関与の民主的統制という歯止めもなく、国家情報会議及び国家情報局に対しインテリジェンス機関としての権限を強化するものであり、このような重大な欠陥を持つ法案には反対であることを重ねて申し述べ、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
29
関口昌一議長
日程第二 国家情報会議設置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長北村経夫君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔北村経夫君登壇、拍手〕
この発言のページ
30
北村経夫(自民)
ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、重要情報活動及び外国情報活動への対処に関する重要事項を調査審議するため、内閣に国家情報会議を設置し、その所掌事務等を定めようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取し、法務委員会及び外交防衛委員会との連合審査会を行ったほか、内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行いました。
その後、立憲民主・無所属を代表して杉尾理事より、重要情報活動等における基本的人権の不当な侵害防止及び職員の政治的中立性の確保に係る調査審議を所掌…
この発言のページ
31
関口昌一議長
本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。鬼木誠君。
〔鬼木誠君登壇、拍手〕
この発言のページ
- (上の発言)
32
鬼木誠(立憲)
立憲民主・無所属の鬼木誠です。
会派を代表して、国家情報会議設置法案について、反対の立場から討論を行います。
私は、我が国のインテリジェンス能力の強化の必要性を否定しているわけではありません。今日、認知戦や影響工作、サイバー攻撃等の手法を組み合わせたハイブリッドな脅威は増大しており、それらに対抗するためには、インテリジェンス能力を強化することは必要と考えています。
しかし、国家のインテリジェンス機能は、軍事力や警察力と同様に、強力な権力機能の一つであり、仮にインテリジェンス機関を制御することができず、暴走を許すことになれば、国民の人権を著しく不当に侵害しかねない危険性を持つものです。したがって、無批判にただ力を与えればよいというものではないと考えていますし、インテリジェンス機能の強化のために憲法に保障された権利や自由を差し出すことはできません。
この強い問題意識、本法案への危機感は、我が党に寄せられた地方議会の議員を始め、多くの国民の皆さんの声に共通するものであり、政府としてもこれらの声に真摯に向き合わなければならなかったはずです。しかし、政府はそれらの懸念や心配の声を杞憂と断じるがごとき答弁に終始をし、質疑を通じて政府の責任で国民の不安や不信を解消するという姿勢が示されることはありませんでした。
ここで改めて法案の持つ主な問題点を指摘をし、法案反対の討論とさせていただきます。
問題の一つ目は、情報活動の対象が不明確、不明瞭という点です。
例えば、どのようなデモや集会への参加が対象となるのかなど法案では定かでない点について、具体的な例示等を行いつつ、情報活動の対象を絞り込むための質疑を重ねましたが、政府答弁は対象とならないものの明確化をあえて避け、対象の範囲を広く残そうとする意図が強く感じられるものでしかありませんでした。また、法案に示されている外国情報活動への対処に在日外国人の皆さんや支援する皆さんの活動が含まれるかという問いに対しても、一概に言えない旨の答弁が繰り返され、ここでも明確な考え方は示されませんでした。
多文化共生というあるべき価値の実現に向け、国籍を問わず多くの方の活動が行われていますが、他方で、排外主義的な言論や行動が時に激化する状況も生じており、このような中、ただでさえ不安を感じている在日外国人の方が、政府からも不当な監視が強化されるのかと、より大きな不安を抱かせる答弁となっており、全く納得できません。
これらにとどまらず、我が国の重要な国政の運営に資する情報の収集調査に係る活動という重要情報活動の定義の曖昧さ、幅広さへの懸念は、質疑により払拭されるどころか、一層深まったと言わざるを得ません。情報活動の対象になり得るか否かが不明のままでは、政府の政策に反対する意思表明を行うことをためらってしまいます。そうなると、民主主義の根幹を揺るがす事態を生み出すおそれがある、そのことを強く指摘しておきたいと思います。
二点目は、個人情報、プライバシーの保護が制度化されていないという点です。
本法案には、大川原化工機事件や大垣署による市民監視事件を始めとしたインテリジェンス機関が起こしてきた過去の違法な活動への反省を全く感じることができません。多くの委員がこれらの事件について触れ、その教訓を制度に生かすべきことを求めても、一顧だにされることはありませんでした。
裁判において違法なインテリジェンス活動を行ったと判断された機関に判決をどう捉えているのかを問うても、重く受け止めているという答弁はあるものの、謝罪の言葉はついぞなく、かたくななその姿勢は、捜査や監視に多少の行き過ぎがあってもやむを得ないと言わんばかりであり、冤罪等が繰り返されるということだけではなく、いつ自分がその当事者になってもおかしくないという不安や不信の解消は全く図られませんでした。
また、個人情報やプライバシー保護について明文化を求めた質問に対し木原官房長官は、本法案は一般的な組織法であり、他に規定されていないような規定を本法案のみに書き込めば、法体系全体のバランスを考えたときに特別な意味合いを付与するということになりかねず、現場における情報活動の萎縮や不作為を招きかねないという趣旨の答弁を繰り返されていましたが、この個人情報やプライバシー保護を優先することで情報活動に萎縮があってはならないという答弁は、法文に明記しなかったのだから、恐れず、遠慮せず、どんどんやれ、現場へのメッセージにしか聞こえません。インテリジェンス能力の強化の名の下に、個人情報やプライバシーが侵害され、国民を監視するような仕組みが構築されるのではないかという懸念は、最後まで払拭できませんでした。
第三は、民主的統制、国会の関与や第三者機関によるチェック機能が具備されていないという点です。
米国や英国を始めとした欧米主要国のインテリジェンス法制には、民主的統制の仕組みが備わっています。また、インテリジェンス機関の活動を定期的に国会に報告するなどの仕組みも構築されており、情報活動特有の秘匿性のバランスを図りながら、可能な限り透明化を図る努力が行われています。
しかし、法案では、このような仕組みが全くありません。国会への報告については否定をされていませんが、定期的な報告の義務化に応じることはなく、第三者機関の設置の必要性も認めていません。インテリジェンス活動に失敗はあるはずで、その際、どこに問題があったのかということを独立した第三者機関、第三者的な立場で検証し、問題点を指摘をして改善につなげることこそ、さきに触れた過去に犯した過ちの教訓だと考えますが、政府がそのような観点に立たれていないことは極めて残念でなりません。
政府は、インテリジェンス施策強化の次の段階では第三者機関の創設等についても検討が必要と考えていらっしゃるようですが、ならば、なぜ今回の法案に規定されなかったのか、納得いく答弁はありませんでした。
また、民主的統制について、内閣情報会議が総理を議長として閣僚が構成員となる国家情報会議に格上げされることで、政治家による民主的統制が働くようになるといった的外れな楽観的過ぎる答弁もなされていますが、この答弁は、現在の内閣情報会議には政治家による民主的統制が働いていないことを吐露したにすぎず、私たちが求めている民主的統制とは大きく質が異なることを改めて指摘をしておきたいと思います。
そして最後は、この法案が、より不安と懸念が大きい、次なるインテリジェンス機能強化施策への道を開くものであるという点であります。
この点、委員会において、いわゆるスパイ防止法や対外情報庁の設置等について問われた際、検討に向けた課題の整理等を行っている旨の答弁に加え、それら次なるインテリジェンス強化施策の検討に当たっては、国民の権利義務に関わる課題が含まれ得ることを答弁なさっています。この答弁が、個人情報やプライバシーの侵害にとどまらず、内心の自由や通信の秘密など憲法に定められた様々な権利や自由を制限をする、あるいは侵害することをも含んでいるとすれば、大きな問題であることは言うまでもありません。
これからの検討であるのなら、個人の権利、自由を侵害しないもの、抵触しないものとなるように検討いただきたいと考えていますし、どうしても抵触、侵害のおそれを回避できないとしたら、法制化そのものを諦めていただくしかありません。その確約がないまま、憲法に保障された権利、自由が脅かされるかもしれない未来への扉を開く本法案を認めるわけにはいきません。
以上述べたとおり、今回の政府案は、情報活動の対象が不明確、不明瞭なまま、個人情報やプライバシーを無用に侵害する懸念を残した上に、国会の関与の民主的統制という歯止めもなく、国家情報会議及び国家情報局に対しインテリジェンス機関としての権限を強化するものであり、このような重大な欠陥を持つ法案には反対であることを重ねて申し述べ、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
33
関口昌一議長
牛田茉友君。
〔牛田茉友君登壇、拍手〕
この発言のページ
34
牛田茉友(国民)
国民民主党・新緑風会の牛田茉友です。
私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました国家情報会議設置法案に対し、賛成の立場から討論を行います。
本法案により国家情報会議を設置することは、複雑化する国際情勢において、我が国のインテリジェンス機能を抜本的に向上させていくための極めて重要な一歩であると考え、賛成いたします。
その上で、本法案を真に国民の信頼に足る実効性あるものへと発展させていくための今後の課題として、以下申し述べます。
現在、我が国を取り巻く安全保障環境は、かつてないほど多層的かつ複雑なものとなっています。ロシアによるウクライナ…
この発言のページ
35
関口昌一議長
大津力君。
〔大津力君登壇、拍手〕
この発言のページ