小西洋之 (立憲民主党)

2026年4月15日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 6 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 86 発言)

会派を代表して、憲法に対する考え方を述べます。

立憲民主党は、さきの総選挙で立憲主義の論戦に尽くしてきた多くの衆議院の同志を失いました。しかし、立憲民主党は、党綱領の下、党の憲法見解を堅持し、全国の自治体議員、党員、協力党員、パートナーズ、そして市民の皆様とともに、より重要となった党の使命、責任を果たすため、これまで以上に、立憲主義に基づく論憲の力で憲法を守り生かすための取組を進めることを党の憲法調査会長として申し上げさせていただきます。

さて、四月十二日の自民党党大会で高市総理は、改憲の時は来た、一年以内に改憲発議のめどをなどと演説し、九日の衆議院の憲法審査会でも、日本維新の会などが、国会議員の任期延長改憲について、論点は出尽くした、条文起草委員会の設置をなどと主張しています。しかし、このような主張は、衆参の憲法審査会の実態と懸け離れた、改憲ありきの国民を欺くものと言わざるを得ません。

まず、任期延長改憲は、その根拠とする参議院の緊急集会が平時の制度であり、七十日間限定などの主張が緊急集会創設の立法事実に反するなど、およそ法制に関する適切な立法とは言い難い暴論であり、このことは、この三年余りの衆参憲法審での立憲会派の論戦によって、改憲会派の衆参での分裂、さらには改憲会派同士の見解の分裂に至るなど明々白々となっています。

すなわち、任期延長改憲は、時は来たのではなく、その時は完全に失われているのであり、論点は出尽くしたどころか、その論理破綻ぶりが出尽くしているという誠に遺憾な状態にあります。条文起草委員会の設置など断じて許されません。

なお、中西筆頭を始めとする参議院自民党の奮闘によって、二〇二四年に、今は衆議院の憲法審査会長を務められる古屋本部長の下で、衆議院の改憲会派の見解とは異なる緊急集会の正しい見解、自民党見解がまとめられたことは極めて重要であり、深く敬意を表します。

また、高市総理は、どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法ですと訴えていますが、これは、憲法とは国家権力を制限するものという近代立憲主義とは相反する見解であり、これこそが九条や自衛隊明記の改憲論に決定的に欠けているものであります。

すなわち、九条及びその法的母体である前文の平和主義が有する立憲主義に基づく権力制限の規範力の意義が全く顧みられていないのであります。九条とは何か、それは、政府の行為による再びの戦争の惨禍を許さない国民の決意などの前文の平和主義が示すように、国民による国会や内閣への武力行使に関する民主的統制の規範です。その規範力の根幹は、九条の文言は一見すると、我が国は国際関係において一切の武力行使が禁じられているように見えるという歴代政府の一貫した文理解釈にあります。武力行使の組織である自衛隊を憲法に明記すれば、この九条の文理解釈に致命的な矛盾が生じ、国民による権力者たる国会、内閣への民主的統制が根本的に毀損するおそれがあります。

立憲民主党は、ホルムズ海峡への艦船派遣の制約にもなった、こうした九条の立憲主義の規範力と、日本国民を侵略から守り抜く、その専守防衛の力を正当に評価し、九条改憲及び自衛隊明記改憲とその条文起草委員会の設置に明確に反対いたします。そして、現下のイラン紛争の日本による主体的な和平仲介など、平和憲法を生かす現実の外交防衛政策を訴えてまいります。

さきの総選挙で、令和三年附則四条に基づく国民投票法の抜本改正の必要性がより一層明白となりました。異例の再生回数と指摘される自民党の高市総理の広報動画、再生回数ビジネスの横行など、国民の憲法改正の判断が資金力の多寡やビジネス目当て、フェイクや誹謗中傷などの不正目当てで左右される環境を放置することは断じて許されません。

その他、さきの臨時会での吉田筆頭の会派意見で申し述べた、緊急集会の機能強化、国会法百二条の六に基づく安倍政権以降の深刻な憲法違反問題の調査審議のほか、同性婚禁止、選択的夫婦別姓の実現、高額療養費と二十五条の生存権の適合性、臨時国会の召集義務違反、解散権の濫用など、国民の人権や民主主義の在り方に直結する重要な憲法問題の調査も必要であることを強く訴え、私の意見とさせていただきます。

前後のやりとり

2の発言を見る

10の発言を見る

顔写真の出典(Wikimedia Commons、4件)