平口洋 (自由民主党)法務大臣

2026年5月26日・第221回国会 衆議院 本会議 第20号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 47 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 67 発言)

谷川とむ議員にお答え申し上げます。

まず、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止する趣旨についてお尋ねがありました。

近時、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、機械的、形式的に行われており、再審手続の長期化の原因となっているといった指摘がされています。

もっとも、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止することは、三審制の下で確定した有罪判決について、一回限りの判断で常にやり直すこととなり、裁判の紛争解決機能が損なわれる、あるいは、裁判所による慎重、適正な判断の制度的担保が失われるなどの課題があり、相当でないと考えています。

これらのことを踏まえ、本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保するため、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止し、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限って不服申立てができることとしています。

次に、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止する規定の実効性についてお尋ねがありました。

本法律案においては、再審開始決定があったときは、不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとしております。

これにより、検察官が不服申立てをした場合には、その都度、十分な根拠の有無について国民のチェックを受けることとなります。

また、本法律案においては、施行後五年ごとの検討条項を設けることとしております。

検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされることとなるところ、その結果も踏まえて不服申立てが適正に運用されているかが定期的に評価され、仮に問題があれば、制度の在り方が改めて検討され得ることとなります。

以上のことから、本法律案の規定は、検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保する上で、十分な実効性を有すると考えていますが、改正法として成立した場合には、検察当局に対し、これらの規定の趣旨等を適切に周知してまいります。

次に、再審請求審における証拠の提出命令制度の趣旨についてお尋ねがありました。

再審請求審においては、裁判所が再審請求理由について判断するに当たり、検察官に対して、その保管している裁判所不提出記録等の提出を求めることがあります。

もっとも、そのような裁判所による提出の求めについては、現行法に明文の規定がないところ、近時、再審無罪事件も契機として、再審請求者等に請求権がなく、要件、効果も定まっていないことから、手続保障が必ずしも十分でない、あるいは、提出をめぐる争いが生じて手続が遅延しているなどの指摘がされています。

そこで、本法律案においては、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求手続の円滑化、迅速化を図る観点から、再審請求審における証拠の提出命令制度を創設することとしています。

次に、証拠の提出命令制度の対象となる証拠についてお尋ねがありました。

再審請求審は、裁判所が再審請求者の主張する再審請求理由について審理、判断する手続です。

したがって、証拠の提出命令の対象となる証拠は、その審理、判断に資する証拠、すなわち、再審請求理由に関連すると認められるものとすることが合理的です。

また、裁判所において、再審請求理由と関係のない証拠について提出命令の要否を判断することは困難であると考えられます。

そこで、本法律案においては、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠を証拠の提出命令制度の対象とすることとしています。

次に、証拠の提出命令制度に対する懸念への対応についてお尋ねがありました。

再審請求理由に関連する証拠の範囲は相当のつながりを持つものであり、これを提出命令の対象とすれば、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。

また、証拠の提出命令制度は、裁判所による証拠の提出、開示の勧告や検察官による任意の証拠の提出、開示という従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものです。

さらに、本法律案においては、再審請求理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない旨の規定を設けることとしています。

したがって、本法律案により、これまでの実務運用よりも提出される証拠の範囲が狭まるようなことはないと考えています。

改正法として成立した場合には、これらの趣旨等を関係機関に適切に周知してまいります。

最後に、証拠の目的外使用の禁止による支障についてお尋ねがありました。

本法律案では、再審請求審について証拠の目的外使用の禁止に関する規定を設けることとしていますが、謄写した証拠の複製等を再審の手続やその準備等に使用することはもとより許される上、証拠の概要を口頭で伝達するなどの行為は禁止されません。

また、弁護人による目的外使用が罰則の対象となるのは、対価として利益を得る目的であった場合に限られます。

さらに、目的外使用の禁止に違反した場合の措置については、複製等の内容、行為の目的、態様等の個別の事情を考慮することとしています。

したがって、証拠の目的外使用の禁止により不当な事態が生ずることはないと考えています。(拍手)

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