村岡敏英 (国民民主党)

2026年5月12日・第221回国会 衆議院 本会議 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 13 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 17 発言)

国民民主党・無所属クラブの村岡敏英です。

ただいま議題になりました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案について、農林水産大臣に質問いたします。(拍手)

食糧法は、単に米や麦の流通を定める法律ではありません。国民の命と暮らしを支える主食を、必要なときに必要な量、安定して届けるための、国家の根幹に関わる法律です。また、食卓の安心だけでなく、農家の営み、地域の仕事、農地や集落の維持など、地域の暮らしと農業の土台を支える法律です。

一昨年からのいわゆる令和の米騒動では、店頭から米が消え、価格が急騰し、国民生活と国民経済に大きな不安を与えました。消費者は高くて買えない一方、生産者は、一時的に米価が上がったとはいえ、長く続いた米価低迷に加え、肥料、生産資材、農機などの高騰により、安心して再生産できる状況にありません。ここに今の米政策の根本的な課題があります。

主食が不足すれば価格は高騰し、家計だけでなく、学校給食、食品産業、地域経済にも深刻な影響を及ぼします。だからこそ、主食政策は、生産基盤を強化し、一定の余力を持たせ需要の変化に柔軟に対応できるよう設計されるべきです。見込み違いで市場が大混乱するようでは、国家としての備えが十分であるとは言えません。不足させない仕組みを築くことこそ政治の責任です。

我が国の食料自給率は、カロリーベースで三八%と、G7の中でも最低水準です。現場からは、農家の減少が加速度的に進み、将来、本当の米不足が起こりかねないとの切実な声が上がっています。

今必要なのは、農地を守り、担い手を支え、生産基盤を維持し、国民に主食である米を安定して届ける政策です。食糧法の見直しを、単なる制度改正に終わらせてはなりません。主食を守ることは国民の命を守ること、農業を守ることは地域を守ること、そして、地域を守ることは日本の未来を守ることであります。

大臣に伺います。政府は令和の米騒動を、一時的な市場の混乱ではなく、主食の安定供給に対する国家責任の問題としてどこまで重く受け止めているのか。政府の基本認識を明確にお示しください。

令和の米騒動は、突然起きたというより、前段の兆候を読み取れなかった結果ではないかと考えます。二〇二三年に農林水産省が秋田県へ米の生産抑制を求めた電話をした件は、これまでの米政策の象徴的な出来事と言わざるを得ません。

秋田県は、需給を見据え、主食用米の増産の必要性を考えていました。しかし、国からは生産の目安の見直しを強く求められました。増産に動いた場合の交付金の減額にも言及があったと報道されています。

もし事実ならば、二〇一八年に減反廃止と言いながら、実際の運用にはなお減反的な発想が残っていたのではないかという疑問が生じます。異常高温などの天候不順で需給が逼迫する予想の中、当時の判断の妥当性は丁寧に検証されるべきです。ここを曖昧にしたままでは現場の不信感は残ります。

政府として、誰がどのような権限と認識で何を求めたのか、交付金の減額を示唆した事実はあるのか、秋田県への対応を含め、令和の米騒動について第三者の視点を入れた検証を行うべきと考えますが、見解を求めます。

令和の米騒動を受け、石破前政権は米の増産にかじを切りました。しかし、法案に明記された需要に応じた生産とは、米政策は再び減反政策なのかと捉えられかねません。縮む市場には新たな投資や人は集まりません。この半世紀を振り返って、需要を十分に拡大できないまま生産量を減らし続けた結果、地方では離農が進み、担い手が不足し、競争力も生まれず、悪循環を招いてきたのではありませんか。

今回の改正案には、生産者は主体的に需要に応じた生産を行うよう努めるものとすると書き込まれていますが、生産者の経営判断に委ねるというのであれば、なぜ、あえて法律に努力義務として書き込むのか。需要に応じた生産という表現ではなく、むしろ、我が国が自給できる唯一の穀物、米の生産力強化のメッセージを出すことの方が重要ではないでしょうか。

政府は需要に応じた生産と言いますが、それは結局、形を変えた減反政策ではないか。政府が責任を持って米の需要拡大に向けた環境整備を行えるのか。それとも、生産者や産地にだけ主体的な努力を求めるだけなのか。今回の改正は、これまでの反省を踏まえて、主食の安定供給とその価格の安定化に資する実効性のある改正なのか。見解を求めます。

また、令和の米騒動により政府備蓄米が大量に放出されたこと、米の高値長期化による消費者の米離れで、今年三月末の民間在庫は二百七十七万トン。前年同月より九十七万トン多い。在庫率は約四〇%で、過去最高となっています。生産者は、今年の新米は価格が下落するのではないかと心配しています。

政府は米の価格の安定化にどのように対処するのか、お答えください。

今回の改正案は、流通実態を十分につかめていなかったこと、政府備蓄米の売渡し手続に時間がかかり、機動性を欠いていたことも課題としています。しかし、制度の手直しだけで本当に再発防止につながるのか。届出対象を広げても、報告の粒度、頻度、公表の仕方が実効的でなければ十分に機能しません。

そもそも、流通は様々な条件で刻一刻と変動するもので、全てを正確に把握することは難しいと考えます。業界の負担を増やして、需給の安定が図られるのでしょうか。備蓄放出についても、いつ、どの程度の不足をもって判断するのか、その基準が明確でなければ再び判断が遅れるおそれがあります。

さらに、今回の改正案では、新たな施策として、民間事業者による備蓄制度が盛り込まれています。流通実態の把握強化のため、届出事業者として、出荷、販売事業者に加え、加工、中食、外食の事業者も追加、定期報告の義務化、罰則の措置もあります。これによる民間の調査コストや事務負担等は誰が負担するのでしょうか。

そして、民間に備蓄を義務づけるのであれば、保有により生ずる事業者の経営上の損失に対して財政上の措置を講ずることが必要であると考えますが、政府の認識はいかがですか。

また、令和の米騒動では価格高騰対策として備蓄米の放出を決めたが、今後はどのような基準で放出するのか、明確にお答えください。

国内では、米価の高止まりを背景に、国家貿易枠内、SBSの上限十万トンが全量落札された上に、一キログラム当たり三百四十一円の枠外関税を払ってでも主食用米を輸入する動きが広がっています。民間輸入はこれまで年六百トンから八百トンで推移していましたが、二〇二五年度には十万五千七百七十八トン、実に百二十五倍から百六十倍へ輸入量が激増しました。

日本米の品質は高い一方、価格面では外国産米と開きが大きく、簡単に輸出を増やせる状況ではありません。国内では輸入米が増えているのに、一方で輸出を増やすと言われても、現場には疑問が残ります。

そのような内外価格差がある中で、どのようにして米の輸出拡大を実現しようとしているのか、伺います。政府は、業務用米の輸入が増えている現状をどのように受け止めているのか。

また、国産の業務用米について、実需者が必要とする価格、数量、品質に応えられるよう、産地と外食、中食、給食事業者との播種前契約や複数年契約をどのように広げ、生産者が再生産できる価格を確保しながら、国産米の安定供給体制をどのように構築していくのか、具体的にお示しください。

私は、価格を高く保つために生産を抑えるのではなく、政策として直接生産者を支える方向へ転換すべきだと考えます。国民の理解と納得の得られる価格で安定すれば消費者には恩恵があり、需要の回復や自給率向上への土台にもなります。その一方で、農家が赤字にならないよう、所得を下支えする政策は不十分です。再生産できる見通しが立たなければ、担い手は育ちません。

国民民主党は、米等の直接支払い、いわゆる食料安保基礎支払いで生産者を支える提案をしております。そうすることで、生産者には再生産可能な所得を確保し、消費者には手頃な値段で主食を届ける政策です。

政府は、減産で価格を守る発想から転換し、消費者は手頃な値段で、生産者は直接支払いによって再生産できる所得を実現する方向へかじを切る必要があると考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

担い手をどう確保するかということですが、農業の持続可能性を考えるとき、最も深刻なのは担い手の減少です。

この十年間で基幹的農業従事者は七十二万人減少し、現在は百四万人となっています。しかも、そのうち五十歳未満の基幹的農業従事者は僅か約十三万人にとどまっています。また、十七の都道府県では、十年後に耕作者が決まっていない農地の割合が五割を超え、全国で見ても、耕作者未定の農地は全体の三二%に上っています。この現実を直視すれば、今問われているのは、この国の農地を誰が守り、主食を誰が作るかということです。

また、地域計画についても、担い手や受け手が伴わず、絵に描いた餅になっていないかが問われています。

政府は、日本の食料自給率を向上させるために、今後、どの程度の生産者を確保しようとしているのか。また、若い世代の新規就農、親元就農、第三者継承をどう増やし、耕作者未定の農地の拡大をどう食い止めるのか。さらに、政策の方向が短期間で変わることによる生産者の不安や、地域計画が絵に描いた餅になっているのではないかという懸念にどう対応するのか。明確にお答えください。

中東情勢の影響を受け、肥料の値上げ、生産資材の受注停止、供給制限、納期の遅延などが発生しています。政府には、動向を注視し、農業生産に影響がないよう対処することを求めますが、どのような対策を講じているのか、お答えください。

今回の食糧法改正、そして農業構造転換集中対策期間を、単なる制度改正や一時的な予算措置で終わらせてはなりません。

明治維新以来、我が国は東京を中心に世界に冠たる経済大国を築いてきました。しかし、その一方で、地方から都市へ人が流れ、農村では人口減少、若者の流出、担い手不足が進み、農業も地域経済も疲弊してきました。今こそ、この流れを変えなければなりません。

スマート農業の推進、食品産業との連携、食料品輸出の拡大、アグリツーリズムなど、農業を、守る産業から成長を生み出す産業へと転換し、農業を、守るべき産業にとどめず、国を成長させる産業として位置づけるべきです。その先に、人の流れを地方へ、農村へと向かわせ、田園からの新たな産業革命を起こし、地方再生、そして日本再生への道を切り開くことができると確信しています。

食料安全保障と地方再生をどう考えているのか、大臣にお聞きいたします。

最後に、かつてフランスのドゴール大統領は、食料を自給できない国は真の独立国家ではない。まさに至言です。食料と農業は、国家の独立と安全保障の根幹であります。

これまでの米政策は、生産調整という発想の中で、生産者の意欲をそぎ、制度を複雑にし、将来展望を見えにくくしてきた面がありました。その結果、現場は疲弊し、地域は衰退し、主食の安定供給まで不安定になりました。この悪循環をここで断ち切らなければなりません。

地元で農家の方々から話を伺いました。米や果樹農家は年に一回しか収入がありません、価格の変動や天候不順、災害での不作など収入が定まらない農業を親は子に継がせようとは思いませんよと言われました。このままいくと、生産者が減り、日本の食料安全保障は守れません。

今こそ国民に主要食糧を安定供給できる仕組みをつくることが、我々国会議員に託された役目であることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

〔国務大臣鈴木憲和君登壇〕

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