佐藤淳法務省刑事局長

2026年6月3日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 153 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 163 発言)

お答えいたします。

抗告裁判所としては、抗告に理由があるか否かを判断するところでございまして、仮に検察官が十分な根拠がないにもかかわらず再審開始決定に対して不服申立てをした場合には、抗告裁判所において、通常、当該不服申立てに理由がないと判断されて、不服申立てが棄却されることとなると考えているところでございます。

その上で、質問の趣旨は、この判断事項がどこかということでありますけれども、再審開始決定に対する不服申立てに十分な根拠がない場合は、先ほど申し上げたとおり、通常、棄却されることになるわけでありますので、不服申立ての理由の有無に加えて十分な根拠の有無それ自体を裁判所の判断事項としなくても実質的な問題は生じないというふうに考えているところでございます。

また、抗告裁判所は、現行制度の下におきまして、抗告審における事実の取調べの結果等も踏まえまして、審理を終えた時点で検察官の不服申立てに理由があるか否かを判断しているところでありますけれども、十分な根拠の有無を裁判所の判断事項とした場合には、これを検察官が不服申立てをすると判断した時点に遡って十分な根拠があったかと言えるかという仮定的な判断をしなければならなくなるわけでありまして、例えば、そのための事実の調べをしなければならないといったことも生じ得て、かえって争点の拡散や手続の遅延を招くおそれがあるのではないかというふうに考えているところでございます。

さらに、法文上も、再審開始決定に対する不服申立てに関する規定と同一の条に、再審開始決定があったときに、不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとする規定を設けているところでありまして、これは、検察官が不服申立てをした場合の十分な根拠に対する国民のチェックを受けるという趣旨でありまして、このような措置は、逆に言うと、十分な根拠の有無そのものは抗告裁判所の判断対象となっていないことを前提として法文ができているところであります。

ただ、繰り返しになりますけれども、不服申立てに十分な根拠がない場合は、抗告裁判所において不服申立てに理由がないと判断されて棄却されるので、実質的な問題はございませんというのが通常であるということを言えると思っております。

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