稲田朋美 (自由民主党)

2026年5月27日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第14号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 20 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 289 発言)

それでは、具体的な当てはめについて、立法事実である福井事件における検察官抗告についてお伺いをいたします。

女子中学生が殺害された福井事件では、事件から一年後に逮捕、起訴された冤罪被害者の前川さんは、自白もない、物証もない、犯行目撃証人もいないのに、犯行当日、血のついたトレーナーを着た前川さんを見たという複数の証言が証拠となり、高裁で有罪が確定していました。しかし、その血のついたトレーナーすら発見されていない。前川さんをかくまったという重要証人の証言に基づいて三回も血染めのトレーナーの大々的な捜索をしたのに発見されませんでした。

福井事件の第一審、福井地裁は、前川さんは無罪です。検察官が控訴し、高裁で有罪が確定して、刑期を終えた前川さんは、二〇〇四年、第一次再審請求をし、二〇一一年に再審開始決定、つまり裁判のやり直しが決まりましたが、検察官が抗告して、再審開始決定は取り消されました。その後、第二次再審請求が認められ、昨年、再審無罪が確定しましたが、第一次再審開始決定から再審公判まで十二年もかかっています。

問題なのは、確定審第一審の途中から、検察官が無実の証拠、つまり、犯行当日に血のついたトレーナーを着た前川さんを見たという最重要証言を根本から覆す証拠、犯行日に見たというテレビ番組が実は一週間後だったという捜査報告書を新たに取得したにもかかわらず、従前のうその証拠で立証活動をし、うその証拠で弁護側の立証活動を邪魔し、正しい証拠に基づく裁判所の判断をできなくし、それでもなお下された無罪判決に対して、証拠を隠したまま控訴をし、控訴審でも無罪の証拠を隠し、いわば有罪判決をだまし取ったんです。さらに、前川さんが刑期を終えてからの第一次再審開始決定に対しても、無罪の証拠を隠して抗告をしていたということなのです。

このような検察官の訴訟活動については、再審開始決定においても、無罪判決においても、手続保障に反する、公益の代表者としてあるまじき不正の所為、刑事司法の信頼を揺らがせかねない深刻な事態などと厳しく批判されています。

ところが、五月七日に法務省が法務部会に提出した、令和八年四月、法務省刑事局の「いわゆる福井女子中学生殺人事件における検察当局の対応について」と題する法務省の検証では、第一次再審開始決定に対する異議申立ては当時の判断として相応の理由があったとしています。無罪の証拠を隠しながら抗告することは相応ではなかったということを私は認めるべきだと思いますよ。

公益の代表者とは何かということなのです。特に、再審請求審において、検察は、当事者ではなく、公益の代表者としてのみ振る舞うことを求められております。だとすれば、一般論として、無罪の証拠を持ったまま抗告することは、公益の代表者として許されますか。

前後のやりとり

16の発言を見る

24の発言を見る