小島美里特定非営利活動法人暮らしネット・えん代表理事

2026年5月20日・第221回国会 衆議院 厚生労働委員会 第10号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 10 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 100 発言)

御紹介いただきました、暮らしネット・えん、NPO法人の代表であり、ケア社会をつくる会という任意団体の世話人を務めております小島と申します。

最初に申し上げた暮らしネット・えんは、今から三十六年前の全身性障害者のボランティア活動に始まって、三十年前に介護保険前の委託による訪問介護を始め、その後ずっと、三十年にわたって活動を続けてきております。介護保険の転変とともに歩んできた、あるいは、悪い言い方をしますと振り回されてきた三十年だったというふうに申し上げていいかなと思っています。

そして、ケア社会をつくる会は、新しい会ですが、二〇二〇年に樋口恵子先生、ウィメンズネットワークの上野千鶴子さんなどからのお声かけで始まった、介護保険に対する懸念を何とかいい方に変えようという思いで始まった会であります。御存じのとおり、樋口恵子さんたちは、介護保険制度が始まる前、非常に御活躍をされた方々で、現状を大変憂えていらして、そのことから始まった活動であるということを御了解いただきたいと思います。

それでは、私は、今回、介護保険のみでお話をしたいと思います。

まず、介護保険の第二条を掲げました。改めて読みませんけれども、私は、今回の改正がこの条文に違反しているのではないか、外れているのではないかという疑念を持っております。その視点からお話をさせていただきたいと思います。

幾つかの参考になる図表をつけさせていただきました。

まず一番目が、倒産件数の推移です。御覧になってお分かりになるように、二四年からぐっと上がっております。しかも、訪問介護が非常に多い。これは、訪問介護報酬、基本報酬の減額が最終的なとどめを刺したというふうに言われております。

そして次に、賃金の格差の図表を置きました。全産業と介護職員で比べますと、八・二万円の差があります。処遇改善加算をずっとつけ続けてくださっていますが、一般の職種が上がっていきますから、平行線が変わらない。よほどのことをしない限り、この八万円の差は変わりません。これを変えない限り、介護保険は持続しないと私は思っております。そして、この差があるままに、収益率が高いからといって基本報酬を下げるような、そういうことをする、それがどのような影響をもたらしているか、よくお考えいただきたいと思ってこの表を作りました。

人手不足の表です。これも御覧いただきたいと思います。なぜこんなに不人気なのか。言うまでもありません。仕事の重責、そして人手不足の中で、これだけの差があって誰が就きたいでしょうかというふうに申し上げたいです。

そして、最後の図表としましては、赤旗さんが出しました、まあスクープと言っていいでしょうか、訪問介護ゼロから一の自治体が全国の四分の一に上っているというとんでもない、私もこれを拝見して本当に驚きました。

この図表から直接、これから先、五番、五つにわたる問題を掲げさせていただきますが、最初の、特定地域サービスの創設についてお話をしたいと思います。

要介護者の権利であるサービス給付が市区町村の事業になる、これは、介護保険の給付の原則を外す、権利を外す改正です。既に要支援一、二では訪問そして通所については行われていますが、この改正は、要支援から要介護五まで全ての方々に、そして多くの事業にわたるものです。

こういう大きな改正をするときに、何か、しらっと変わってしまうんだなということを私は非常に疑問に思っています。社会保険の原則を破壊すると言っていいんじゃないでしょうか。暮らしている地域によって、いかに地域差が出てくるとはいっても、受けるサービスが違ってくるというのは、全国標準の保険としてはあり得ない、あってはならないというふうに思います。

人員配置基準の緩和がされております。これは、一時的なカンフルにはなるかもしれません。人手不足の事業所にとって、今は歓迎されるかもしれない。だけれども、その後、どうなるでしょうか。労働環境が悪化します。今でも、三対一基準の施設などで三対一で配置をすると、きちんと休みが取れない、労基法どおりの運営ができないということで、プラスで加配しています。それを三以下にしていくということになったら何が起きるでしょうか。休みも取れない、そういう状況がこれはもう起きることが明白です。しかも、訪問介護事業所は常勤で二・五基準ですけれども、それが下げられたときに、本当に行き切れるのでしょうか、広い地域になります。という非常に大きな問題を抱えていると思います。

そしてまた、いわゆるマルメ、定額の報酬を選ぶこともできるのですが、この報酬は、いいような悪いような。

私ども、小規模も持っていますのでよく分かっているんですけれども、多くの小規模多機能事業所が低額であるがために、要介護一なら、訪問介護、訪問サービスは週に一回、二回というふうな独自の基準を持ってやっている。結果的に、選んだ事業所によって受けるサービスが違ってくる。これは、事業所側からすれば、経営から考えれば当たり前なんです。低い報酬の中で、そんな十分過ぎるサービスが、しかも定められた職員配置でやれるはずがない。これが全国にわたっていくということは、何が起きるかということをどうぞお考えになっていただきたいと思います。

人口減少地域というふうに言っていますが、よく読んでいると、どうも今後どんどんこの地域が拡大していくのではないか。これから人口減少に向かっていく日本で、多くの自治体が同じ人口減少になっていく。私たちは中山間地であろうと考えていましたけれども、そこだけではなく、一般市の中にも当然人口減少の地域がある、そこに適用されていくというふうなことが起こっていけば、介護保険が保険ではなくなっていくというふうに考えていいかと思います。

時間が余りなくなってまいりました。

二番、介護施設の登録施設の創設があります。これも大きな問題です。ケアプランの有料化の入口になります。

そして、登録施設というカテゴリーをなぜつくらなければならなかったのか、非常に疑問に思っています。なぜ、今の特定施設にしないのか。これは、今行われているサービスつき高齢者住宅などが非常に収益率が高いから、そこから出ることを避けたのではないかと私は邪推しております。これが邪推であることを願っております。

そして、これは地域に開かれるどころか、ケアマネから敬遠されます。だって、二本立てになるんです。有料のところと、有料ではない、今までどおりの人の二通りになっていきます。

そして、三番目、ケアマネジメントの問題になります。

更新が廃止になりました。しかし、義務になります。義務になったとき、何が起きるか。これにペナルティーがつくんです。ほかの、医療や看護、医師については義務ではありません。なぜケアマネだけ。こういう措置をしておけば、拡大するどころか、戻ってくるどころか、今までどおりになるというふうに考えていいかと思います。

四番目、被保険者証の提示という簡単な言葉でありますが、マイナンバーにひもづけられます。

今回、身寄りのない高齢者の話を前のお三方がしてくださいましたけれども、身寄りのない方、今回制度がつくられるとしても、ここにきちんと対応するまでには時間が必要です。今、ケアマネや訪問サービスのアンペイドワークで、マイナンバー制度、そして健康保険証のひもづけ時の混乱を乗り切ってきました。それをまた、介護保険をひもづけるとなれば、同じことが起こります。簡単に考えないでいただきたいと思います。

五番目、最後になりました。認知症基本法が作られました、最初の改定になります。これに即した改正がされるかと思っていましたが、残念ながらどこにもありません。増え続ける認知症に対して、この二十六年間放置してきたと言っていいと思いますが、今回も、登録施設においても認知症の方たちが放置されて、放置というか、対応のしようがなくて、気づいてみると、要介護一で三十万円の支払いが発生するようなことが起きているんです。今回の登録は、それに全く手をつけないままの改正になるというふうに見ております。

今、介護保険利用のトップは認知症です。認知症に即した介護保険にしなければならない。その声が、今回の改正の中、どこを見ても見ることができない。私は大変残念に思っております。何とかここを改善していかなければ、打ち捨てられる身寄りのない認知症の方たちがそのままになって、ネグレクトされていく、社会的にネグレクトされていくということが起きるでしょう。

そして、最後になります。最後の図表の中に、私どもの法人の写真を載せました。三十年を超える活動の中で、地域で共にを掲げてやってまいりました。しかし、それが、介護保険がどんどんと崩れていくとともに、全くできなくなりつつある。

地域包括ケアシステムというものが今度の改正でよくなる方向とお考えなのでしょうか。ここについても、慎重な審議を心からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。(拍手)

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