自由民主党の自見はなこです。
会派を代表して、医療法改正案について質問いたします。
デフレ下で長らく経験のなかった物価高の中、病院は約六割、診療所も約四割が赤字で、大学病院も経常利益が五百八億の赤字、介護倒産も過去最悪、昨年度より今年度で急激に悪化しています。診療以外にも学校医、警察医、産業医、各種行政の健診業務等を担う地域の開業医は高齢化と赤字により、地域の医療や保健提供体制は存続の危機です。大学病院以外の市中病院の約半額の給料である大学病院の若手医師でも、生活のために勤務継続が困難と判断する医師が多くいます。医療、介護、福祉分野で働く九百万人強の賃上げも物価高に追い付かず、介護分野の給与は全産業平均の八割、直近二年では賃上げ率も下回っています。
この背景には、国の予算編成において、社会保障費は高齢化の伸びの範囲に抑えられてきたこと、特に、診療報酬は二年に一度、介護等は三年に一度の改定が原則の公定価格で多くが決まっていることがあります。
社会保険制度を議論する際に、給付と負担の負担面だけを見るのは適切ではなく、国民生活を支えている給付である提供されるサービスとセットで見なければ社会の全体像を見ていることにはなりません。
私ども、医療・介護・福祉の現場を守る参議院議員有志では、本年度の政府の骨太の方針に我々の声を反映させるべく、緊急集会における決議の採択と総理への緊急提言等を行いました。その結果、次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう的確な対応を行う。具体的には、高齢化による増加分に相当する伸びに、こうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する旨が明記されました。
このことは、診療報酬、介護報酬、障害者福祉サービス報酬等への物価・賃金スライド制度の導入や期中改定の実施、とりわけ税収や保険料収入増の下、物価、賃金の上昇を毎年反映させる仕組みをつくり、あわせて、初診・再診料の引上げを念頭に置いた報酬改定の実現に向けた強い意志の表れと受け止めておりますが、上野厚労大臣の御所見をお伺いいたします。
医師の地域間の偏在が深刻化する中、総合的な診療能力の高い医師養成が必要です。医療体制の地域差によって守れる命が守れないということがないような取組が求められています。
そこで、私が事務局長を拝命する医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟では、共用試験に合格した医学生がスチューデントドクターとして医業を行うことができる旨を法的に明確化し、卒後の臨床研修において、地域医療に必要な外科、小児科、産婦人科、精神科等を再必修化するなどの改革を実現してまいりました。
さらに、令和八年度からは、医学部生の五年、六年と前期研修医の一年、二年をシームレスに捉え、研修二年目の医師多数県にある基幹型研修病院の研修医が、医師少数県などにある臨床研修病院で一定期間研修する広域連携型プログラムが実施されますが、対象人数は医師多数県の募集定員の五%以上、対象期間は半年程度となっています。
また、現状、スチューデントドクターの法制後にもかかわらず、残念ながら、医学部六年生は予備校等による国家試験対策に多くの時間を費やし、十分に病棟に足を運ぶことができていません。病棟実習に専念できる国家試験改革が求められています。
十分な指導体制を確保し、広域連携型プログラムについては、五%ではなく、全医師が研修期間の間に、医師養成の過程を通じて例えば一年程度、地域医療を経験できる取組が必要だと思いますが、厚労大臣の所見をお聞かせください。
少子高齢化や人口減少が進み、医療資源やサービスの提供人材が限られた地域においても、デジタルを活用し、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができることが大切です。
私が地方創生を担当する内閣府特命担当大臣を拝命していた当時、郵便局を活用したオンライン診療や、移動診療車である医療MaaSの導入によるへき地医療の補完に力を入れて取り組みました。
地元の医院が閉院し、十年近く医療機関がなかった地域で、昨年、郵便局のスペースを活用して、対面とオンラインを組み合わせた診療が始まりました。対面診療と郵便局の組合せで、地元の皆様には、信頼感が高く、親しみやすいと評判でした。
看護師が同席するオンライン診療、DtoPwithNの展開も、安心の地方創生の実現に有効です。
そこで、厚労大臣が前に出て、デジタル化やオンライン、医療MaaSや地域拠点としての郵便局、さらに、大学病院によるオンライン診療のセンター化や、地方自治や地方創生、地域未来戦略など、関連する府省と連携し、地域に面としての医療提供体制を整えていくべきだと考えますが、その所見をお伺いいたします。
私は、医療、療育、教育、福祉を一元的に結ぶ理念法として成育基本法、さらに、その具体的なプラットフォームとして産後ケア法の成立に力を尽くしてまいりました。これまでに、分娩施設が減少する地域の声を受けて、妊婦健診や出産に係る交通費、宿泊費支援制度を創設するなど、様々な取組を進めてまいりました。
しかし、我が国は、産後うつや妊産婦の自殺が非常に多く、産後のメンタル不調により、育児に対する不安に襲われ、心身への負担に苦しむ割合は産後の母親の一〇%ほどと言われています。
妊婦健診は母子保健の領域、出産は医療、出産後の産後ケアや産婦健診や乳幼児健診は母子保健と担当部局は異なりますが、妊娠中から産後まで、気軽に頼れる切れ目のないサポートが大切です。
政府は、自治体と医療機関等をつなぐ情報連携システム、PMHを活用し、電子化された妊婦健診や乳幼児健診、産後ケアの利用状況の情報連携に取り組んでいますが、多くの市町村で妊婦健診や乳幼児健診のデータが電子化されている一方、令和四年で産後ケアの利用状況の電子化は四割強、さらに、人口規模の小さい一万人未満の市町村では二割台にすぎません。
里帰り出産が半数程度以上である中、出産後、戻った先でスムーズに産後ケアの支援を受けられない懸念があり、PMHを活用した情報連携が継続支援の基盤としてしっかりと機能するよう、市町村における電子化等の支援に力を入れるべきです。
また、産科関連病棟のうち混合病棟は八割で、混合病棟の四割以上が産科区域を特定しておらず、うち約二割は男性患者を受け入れています。助産師は高い専門性があるにもかかわらず、勤務時間帯に集中してお産に携わることが困難な状況が常態化しています。
母子の心身の安定、安全の確保のためには、助産師や看護職が妊産婦と新生児に集中して、妊娠、出産、子育てを切れ目なく継続した専門性の高いケアを提供できる母子包括ケア病棟の設置、あるいは産科区域の特定が不可欠で、院内助産や助産師外来の整備も必要です。この点について、厚労大臣の所見をお伺いします。
昨年度は全国八十一の大学病院のうち七割が赤字になるなど、経営危機が深刻化しています。教育や研究、地域への医師の派遣など、我が国の医療の中核を担う大学病院の経営危機を高等教育問題だと割り切って見過ごすことはできません。医療技術や創薬力の向上、さらには健康医療安全保障分野での経済成長にも大きな支障となります。
そこで、厚労大臣は、緊急的に大学病院の経営を支える措置、さらには我が国の将来の医学研究や医療の水準を大きく引き上げることが可能となる大規模な投資を、高市総理の肝煎りの危機管理投資と認識した上で、関係大臣と連携しながら、その実現を図るべきだと考えますが、この点をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕
1
関口昌一議長
これより会議を開きます。
日程第一 医療法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。上野賢一郎厚生労働大臣。
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕
この発言のページ
2
上野賢一郎(自民)厚生労働大臣
ただいま議題となりました医療法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
地域における医療提供体制については、二〇四〇年頃を見据え、医療、介護の複合ニーズを抱える八十五歳以上人口の増大や現役世代の減少等の課題に的確に対応できるようにするため、質が高く効率的で持続可能な体制を構築することが求められています。
こうした状況を踏まえ、地域における医療機関の機能分化、連携の推進、医師偏在の是正及び適正な医療の提供のための環境整備並びに担い手が不足する医療現場における業務効率化の促進により、良質かつ適切な医療提供体制を構築することを目的…
この発言のページ
3
関口昌一議長
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。自見はなこ君。
〔自見はなこ君登壇、拍手〕
この発言のページ
- (上の発言)
4
自見はなこ(自民)
自由民主党の自見はなこです。
会派を代表して、医療法改正案について質問いたします。
デフレ下で長らく経験のなかった物価高の中、病院は約六割、診療所も約四割が赤字で、大学病院も経常利益が五百八億の赤字、介護倒産も過去最悪、昨年度より今年度で急激に悪化しています。診療以外にも学校医、警察医、産業医、各種行政の健診業務等を担う地域の開業医は高齢化と赤字により、地域の医療や保健提供体制は存続の危機です。大学病院以外の市中病院の約半額の給料である大学病院の若手医師でも、生活のために勤務継続が困難と判断する医師が多くいます。医療、介護、福祉分野で働く九百万人強の賃上げも物価高に追い付かず、介護分野の給与は全産業平均の八割、直近二年では賃上げ率も下回っています。
この背景には、国の予算編成において、社会保障費は高齢化の伸びの範囲に抑えられてきたこと、特に、診療報酬は二年に一度、介護等は三年に一度の改定が原則の公定価格で多くが決まっていることがあります。
社会保険制度を議論する際に、給付と負担の負担面だけを見るのは適切ではなく、国民生活を支えている給付である提供されるサービスとセットで見なければ社会の全体像を見ていることにはなりません。
私ども、医療・介護・福祉の現場を守る参議院議員有志では、本年度の政府の骨太の方針に我々の声を反映させるべく、緊急集会における決議の採択と総理への緊急提言等を行いました。その結果、次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう的確な対応を行う。具体的には、高齢化による増加分に相当する伸びに、こうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する旨が明記されました。
このことは、診療報酬、介護報酬、障害者福祉サービス報酬等への物価・賃金スライド制度の導入や期中改定の実施、とりわけ税収や保険料収入増の下、物価、賃金の上昇を毎年反映させる仕組みをつくり、あわせて、初診・再診料の引上げを念頭に置いた報酬改定の実現に向けた強い意志の表れと受け止めておりますが、上野厚労大臣の御所見をお伺いいたします。
医師の地域間の偏在が深刻化する中、総合的な診療能力の高い医師養成が必要です。医療体制の地域差によって守れる命が守れないということがないような取組が求められています。
そこで、私が事務局長を拝命する医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟では、共用試験に合格した医学生がスチューデントドクターとして医業を行うことができる旨を法的に明確化し、卒後の臨床研修において、地域医療に必要な外科、小児科、産婦人科、精神科等を再必修化するなどの改革を実現してまいりました。
さらに、令和八年度からは、医学部生の五年、六年と前期研修医の一年、二年をシームレスに捉え、研修二年目の医師多数県にある基幹型研修病院の研修医が、医師少数県などにある臨床研修病院で一定期間研修する広域連携型プログラムが実施されますが、対象人数は医師多数県の募集定員の五%以上、対象期間は半年程度となっています。
また、現状、スチューデントドクターの法制後にもかかわらず、残念ながら、医学部六年生は予備校等による国家試験対策に多くの時間を費やし、十分に病棟に足を運ぶことができていません。病棟実習に専念できる国家試験改革が求められています。
十分な指導体制を確保し、広域連携型プログラムについては、五%ではなく、全医師が研修期間の間に、医師養成の過程を通じて例えば一年程度、地域医療を経験できる取組が必要だと思いますが、厚労大臣の所見をお聞かせください。
少子高齢化や人口減少が進み、医療資源やサービスの提供人材が限られた地域においても、デジタルを活用し、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができることが大切です。
私が地方創生を担当する内閣府特命担当大臣を拝命していた当時、郵便局を活用したオンライン診療や、移動診療車である医療MaaSの導入によるへき地医療の補完に力を入れて取り組みました。
地元の医院が閉院し、十年近く医療機関がなかった地域で、昨年、郵便局のスペースを活用して、対面とオンラインを組み合わせた診療が始まりました。対面診療と郵便局の組合せで、地元の皆様には、信頼感が高く、親しみやすいと評判でした。
看護師が同席するオンライン診療、DtoPwithNの展開も、安心の地方創生の実現に有効です。
そこで、厚労大臣が前に出て、デジタル化やオンライン、医療MaaSや地域拠点としての郵便局、さらに、大学病院によるオンライン診療のセンター化や、地方自治や地方創生、地域未来戦略など、関連する府省と連携し、地域に面としての医療提供体制を整えていくべきだと考えますが、その所見をお伺いいたします。
私は、医療、療育、教育、福祉を一元的に結ぶ理念法として成育基本法、さらに、その具体的なプラットフォームとして産後ケア法の成立に力を尽くしてまいりました。これまでに、分娩施設が減少する地域の声を受けて、妊婦健診や出産に係る交通費、宿泊費支援制度を創設するなど、様々な取組を進めてまいりました。
しかし、我が国は、産後うつや妊産婦の自殺が非常に多く、産後のメンタル不調により、育児に対する不安に襲われ、心身への負担に苦しむ割合は産後の母親の一〇%ほどと言われています。
妊婦健診は母子保健の領域、出産は医療、出産後の産後ケアや産婦健診や乳幼児健診は母子保健と担当部局は異なりますが、妊娠中から産後まで、気軽に頼れる切れ目のないサポートが大切です。
政府は、自治体と医療機関等をつなぐ情報連携システム、PMHを活用し、電子化された妊婦健診や乳幼児健診、産後ケアの利用状況の情報連携に取り組んでいますが、多くの市町村で妊婦健診や乳幼児健診のデータが電子化されている一方、令和四年で産後ケアの利用状況の電子化は四割強、さらに、人口規模の小さい一万人未満の市町村では二割台にすぎません。
里帰り出産が半数程度以上である中、出産後、戻った先でスムーズに産後ケアの支援を受けられない懸念があり、PMHを活用した情報連携が継続支援の基盤としてしっかりと機能するよう、市町村における電子化等の支援に力を入れるべきです。
また、産科関連病棟のうち混合病棟は八割で、混合病棟の四割以上が産科区域を特定しておらず、うち約二割は男性患者を受け入れています。助産師は高い専門性があるにもかかわらず、勤務時間帯に集中してお産に携わることが困難な状況が常態化しています。
母子の心身の安定、安全の確保のためには、助産師や看護職が妊産婦と新生児に集中して、妊娠、出産、子育てを切れ目なく継続した専門性の高いケアを提供できる母子包括ケア病棟の設置、あるいは産科区域の特定が不可欠で、院内助産や助産師外来の整備も必要です。この点について、厚労大臣の所見をお伺いします。
昨年度は全国八十一の大学病院のうち七割が赤字になるなど、経営危機が深刻化しています。教育や研究、地域への医師の派遣など、我が国の医療の中核を担う大学病院の経営危機を高等教育問題だと割り切って見過ごすことはできません。医療技術や創薬力の向上、さらには健康医療安全保障分野での経済成長にも大きな支障となります。
そこで、厚労大臣は、緊急的に大学病院の経営を支える措置、さらには我が国の将来の医学研究や医療の水準を大きく引き上げることが可能となる大規模な投資を、高市総理の肝煎りの危機管理投資と認識した上で、関係大臣と連携しながら、その実現を図るべきだと考えますが、この点をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕
5
上野賢一郎(自民)厚生労働大臣
自見はなこ議員の御質問にお答えをいたします。
診療報酬、介護報酬、社会福祉サービス等報酬の在り方の見直しについてのお尋ねがありました。
診療報酬は、新たな治療方法、検査方法の開発などに伴い、これらを迅速に診療報酬へ収載する必要性と、現場への負担の考慮や改定による影響の検証を行う必要性とのバランスを取るため、原則として二年に一度改定を行っています。介護報酬改定は、同様に現場への負担等を考慮するとともに、三年を一期とする介護保険料の設定などを踏まえ、また障害福祉サービス等報酬改定は、同様に現場への負担等を考慮するとともに、介護報酬改定との並びを踏まえ、原…
この発言のページ
6
関口昌一議長
小西洋之君。
〔小西洋之君登壇、拍手〕
この発言のページ
7
小西洋之(立憲)
立憲民主・社民・無所属の小西洋之でございます。
医療法等の一部を改正する法律案に対し、会派を代表して質問をいたします。
まず、現下の医療機関の経営難の問題について質問いたします。
医療機関の経営は、昨今の物価や賃金の上昇を受け、大変深刻な状況にあります。一般の病院、診療所、大学病院、公立病院などを問わず、調査によっては七割もの赤字が報告されるなど、現場からはこのままでは立ち行かないと悲鳴にも似た声が上がっています。
それに加え、医療・福祉従事者の賃上げの停滞も深刻です。産業全体の本年の平均賃金改定率は四・四%ですが、医療、福祉の改定率は二・三%、…
この発言のページ