証拠の中で電磁的記録ということに限定してお話をさせていただきたいと思いますけれども、電磁的記録提供命令を使った場合を含めて、捜査機関が電磁的記録を収集する場合というのはいろいろバリエーションはあり得るだろうと思います。任意捜査、任意に提出を受ける場合も含めると、捜査機関は現在でも多くの電磁的記録を取得しているのではないかと思います。
先ほど御紹介させていただいた事例では、警察がその電磁的記録を取得して警察署内のパソコンに保管していたにもかかわらず、それが証拠として取り扱われていなかった。その結果として、検察官も恐らくその証拠のその電磁的記録の存在を知らなかった。したがって、不存在と回答し、弁護人に開示されなかった。しかし、それは無罪を決定付けるような、目撃証人の信用性を否定する根拠となるような重要な電磁的記録であったということです。
このようなことが現在でも明らかにならないまま、そういった事態が起こっている可能性というのは否定することはできません。御紹介した事件では、たまたま、証人尋問の結果、電磁的記録を警察に提供しているということが明らかになって、それが開示されて、判決の中で用いられたということになるからです。こういったものが明らかにならないまま有罪判決が言い渡されてしまっている事例というのが実は多数存在するというおそれもございます。
そういったことがないようにするためには、警察、検察、捜査機関が電磁的記録を収集したときには、これを常に証拠として取り扱って、それを管理していく必要があるだろうと思います。弁護人から証拠開示があり、それが証拠開示の要件を満たすときには適正に開示されることが必要です。
そして、この電磁的記録の消去に関しては、捜査機関が恣意的に消去するのではなくて、まさに裁判所がその収集が違法であるとして処分を取り消した場合、これを義務的に取り消すようにするべきです。
少なくともこのような手続を定める必要があるのではないかと考えておりますが、そういった手続の履践を十分に担保するためには第三者による監督も必要なのではないかと思われますので、独立した監督機関の設置も検討が必要なのではないかと考えているところでございます。
62
川合孝典(国民)
ありがとうございます。
今、準抗告の話が出ましたので、そのことについても確認をさせていただきたいんですけれども、秘密保持命令に対するいわゆる不服申立て規定については、これ電磁的記録提供者が事業者なんかである場合には、その事業者に対して不服申立て権を認めるといった内容になっていると理解しております。
そうすると、情報提供の名宛て人ではないですよね。要は、情報のいわゆる持ち主ではない、いわゆる事業者にこの不服の申立て権があるということになりますから、本来の情報主体には不服申立て権が実質的にないということになりますので、そもそも何を証拠として差し押さえられ…
この発言のページ
63成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
電磁的記録提供命令がそのデータを管理している事業者を名宛て人として発令された場合、事業者はまず被処分者になりますので、不服申立てが可能でございます。さらに、その事業者が管理しているデータが例えば顧客のデータであり、その情報主体が観念できるものである場合には、情報主体も当該処分に利害を有する者として不服申立ては可能でございます。まず、不服申立てはできます。
その上で、委員御指摘のとおり、その不服申立てをするためには当該電磁的記録提供命令が発令されたことを情報主体が知る必要があるわけでございますけれども、まず、秘密保持命令が発令されていない場合には、そのデ…
この発言のページ
64
川合孝典(国民)
適切なタイミングで秘密保持命令が解除されるまでは不服申立てはできないということ、単純にそういう理解でよろしいわけですね。はい、分かりました。
では、その次ですが、河津参考人に素朴な質問をさせていただきたいんですけれど、証拠の保管に関して、ありのままにどうやって保管するのかということの重要性についてお話を頂戴しましたけれども、そのお話をされた折に、保管している情報の中から本来開示するべき情報が開示されなかったことで裁判所の判断が変わってしまっていたような事例があるということを事例として挙げていらっしゃいましたけど、そういう事態を生じさせないようにするため…
この発言のページ
- (上の発言)
65河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
証拠の中で電磁的記録ということに限定してお話をさせていただきたいと思いますけれども、電磁的記録提供命令を使った場合を含めて、捜査機関が電磁的記録を収集する場合というのはいろいろバリエーションはあり得るだろうと思います。任意捜査、任意に提出を受ける場合も含めると、捜査機関は現在でも多くの電磁的記録を取得しているのではないかと思います。
先ほど御紹介させていただいた事例では、警察がその電磁的記録を取得して警察署内のパソコンに保管していたにもかかわらず、それが証拠として取り扱われていなかった。その結果として、検察官も恐らくその証拠のその電磁的記録の存在を知らなかった。したがって、不存在と回答し、弁護人に開示されなかった。しかし、それは無罪を決定付けるような、目撃証人の信用性を否定する根拠となるような重要な電磁的記録であったということです。
このようなことが現在でも明らかにならないまま、そういった事態が起こっている可能性というのは否定することはできません。御紹介した事件では、たまたま、証人尋問の結果、電磁的記録を警察に提供しているということが明らかになって、それが開示されて、判決の中で用いられたということになるからです。こういったものが明らかにならないまま有罪判決が言い渡されてしまっている事例というのが実は多数存在するというおそれもございます。
そういったことがないようにするためには、警察、検察、捜査機関が電磁的記録を収集したときには、これを常に証拠として取り扱って、それを管理していく必要があるだろうと思います。弁護人から証拠開示があり、それが証拠開示の要件を満たすときには適正に開示されることが必要です。
そして、この電磁的記録の消去に関しては、捜査機関が恣意的に消去するのではなくて、まさに裁判所がその収集が違法であるとして処分を取り消した場合、これを義務的に取り消すようにするべきです。
少なくともこのような手続を定める必要があるのではないかと考えておりますが、そういった手続の履践を十分に担保するためには第三者による監督も必要なのではないかと思われますので、独立した監督機関の設置も検討が必要なのではないかと考えているところでございます。
66
川合孝典(国民)
ありがとうございます。
同様の質問を成瀬参考人にもさせていただきたいと思うんですけれども、このありのままに証拠を保管するということと同時に、いわゆる必要な証拠の開示をきちんと行える環境をどう整えるのかという意味でいくと、私は、むしろ、今の警察の捜査に当たっての証拠の収集したものなんかが何のルールもなくいわゆる捜査担当者のパソコンの中にごちゃごちゃに入ってしまっていると、そういった状況で今物事が進んでいるということを考えたときに、むしろこういったルール化をされることで電磁的記録が要は体系立って保管をされるようになるという意味では、むしろ進むのかというふう…
この発言のページ
67成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
まず、現行刑事訴訟法の基本的な考え方としましては、警察が捜査の過程で取得した証拠というものは全てまとめて検察官に送致し、起訴後、必要な証拠開示制度の下で弁護側に開示するという仕組みであるというふうに考えております。委員御懸念のその警察における証拠の管理が適正であるのかという点につきましては、詳細についてまでは存じ上げませんが、警察も内部規則等を種々設けて証拠の適正な管理に努めているというふうに私自身は認識しております。
今回、今までもデータを管理するということはあったわけですけれども、電磁的記録提供命令に応じて警察が管理すべきデータというものが増えてま…
この発言のページ
68
川合孝典(国民)
今内規できちんと情報管理をしていくということがありましたけれども、いわゆる第三者、これだけ個人情報の問題ですとか様々な問題点が指摘されている、その状況の中で、現行刑事訴訟法の枠組みの中でこのデジタル化をどう進めていくのかということを今一生懸命知恵を絞って皆さんで考えていらっしゃるわけで、そうしたことを考えたときに、その内規で本当にいいのかということは、実は私、これをいろいろ検証する中で感じておりまして、例えばその保管の方法ですとか期間の問題ですとか、きっちりやっている、皆さんきっちりやっていらっしゃると思うんです。きっちりやっていてもどこにあるのか分から…
この発言のページ