赤嶺政賢 (日本共産党)

2025年3月13日・第217回国会 衆議院 憲法審査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 25 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 77 発言)

日本共産党の赤嶺政賢です。

私は、これまで、憲法について、国会がやるべきは、改憲の議論ではなく、憲法の原則と乖離した現実の政治を正す議論だと主張してきました。その中で、憲法審査会でも、憲法の上に日米安保条約地位協定があり、その下で沖縄県民の人権がじゅうりんされている問題を繰り返し取り上げてきました。他の委員からも、同性婚や選択的夫婦別姓や、貧困と格差、冤罪と再審法の問題などについて意見が出されてきました。国会は、こうした憲法と乖離した現実を正す議論こそやるべきであり、改憲につながる議論はやるべきではないと改めて申し上げておきます。

その上で、いわゆる選挙困難事態について意見を述べます。

まず指摘しておきたいのは、この議論は自民党が主張する緊急事態条項と一体のものだということです。

二〇一二年の自民党の改憲草案は、憲法に緊急事態の条文を設け、内閣による緊急政令や緊急財政処分、地方自治体への指示権を明記し、その上で国会議員の任期延長を規定しています。

二〇一八年にまとめた四項目の改憲案でも、緊急事態対応として、内閣の緊急政令権と任期延長を挙げています。

さらに、自民党の憲法改正実現本部が昨年九月にまとめた論点整理でも、九条改憲に並んで緊急政令が重要なテーマだと述べています。

自民党の緊急事態条項の目的が、緊急政令や緊急財政処分など、国会の権能を奪い、内閣に権限を集中させることにあることは明らかです。選挙困難事態や国会議員の任期延長の議論は、こうした内閣の独裁体制を支えるために、時の政権が恣意的に国会の多数を維持するためのものにほかなりません。

二〇二三年五月十八日の憲法審査会で参考人として意見陳述した長谷部恭男早稲田大学教授は、国会議員の任期延長について、任期の延長された衆議院と、それに支えられた従前の政権とが長期にわたって居座り続ける、緊急事態の恒久化を招くことになりかねないと批判しています。

任期延長の議論は、自民党が狙う緊急事態条項の議論と地続きであり、権力の濫用と恣意的な延命に用いられる危険性は極めて重大です。

そもそも、任期とは、ある一定の者がその地位にとどまり権力が集中することを防ぐためのものです。国民主権に基づく議会制民主主義の下では、国会議員の任期満了が来たら選挙を行い、国民の意思を議会に反映させることによって、権力を民主的にコントロールしようというものです。これは、国民主権と民主主義に基づく近代立憲主義の大原則です。

日本国憲法は、主権が国民に存することを宣言し、国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するとしています。その下で、衆議院の任期を四年、参議院を六年と定め三年ごとの半数改選とすることで、定期的な民意の反映と権力の民主的な統制を求めています。そのためにも、いかなる場合であっても選挙権は絶対に保障されなければなりません。

ましてや、国民の選挙権行使の機会を奪う場合をあらかじめ定めておくなどということが許されるはずがありません。選挙困難事態といいますが、これは、国政選挙ができなかったという事態は一度もこれまで起きていません。仮定の上に仮定を重ねて議論することの問題は、これまで、憲法審査会に出席した災害や憲法の専門家が繰り返し述べてきたことです。

二〇一七年三月二十三日の審査会で、永井幸寿弁護士は、想定外の事態のために制度を設けると、更に想定外が広がり、際限なく広がっていくと警告しています。

二〇二二年二月二十四日の審査会でも、高橋和之東大名誉教授は、極端な事例を出せば出すほど、権限をどこかに大幅に移譲する以外に解決の方法がなくなっていく、極端な事例を持ち出して議論をすると間違う危険が強いと述べています。

この専門家の指摘を正面から受け止めるべきだと申し上げて、発言を終わります。

前後のやりとり

21の発言を見る

29の発言を見る

顔写真の出典(Wikimedia Commons、4件)