吉田忠智 (立憲民主党)

2026年7月8日・第221回国会 参議院 本会議 第26号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 21 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 54 発言)

立憲民主・無所属の吉田忠智です。

私は、会派を代表して、令和六年度決算並びに国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認並びに内閣に対する警告決議案に賛成の立場から討論いたします。

冒頭、高市総理の政治姿勢に対し、一言苦言を申し上げなければなりません。

物価高を始めとする内外の重要課題への対応や、自らの中傷動画疑惑に対して、説明責任を果たすことなく、あろうことか、陳述書の提出をもって答弁に代えたいなど、国会軽視も甚だしい前代未聞の提案を行い、党首討論や予算委員会から逃げ続け、国会を空転させた責任は、極めて重いと言わざるを得ません。

総理は数の力におごっておられるのかもしれませんが、衆議院での圧倒的多数与党が民意の反映であるとするならば、参議院での少数与党も民意の反映であります。その事実から目を背けることなく、今般、与野党で開催を合意した党首討論と予算委員会における集中審議の確実な実施を始めとして、謙虚な姿勢で国会に臨まれることを改めて強く求めるものであります。

また、議場におられる自由民主党、日本維新の会の与党の皆さんも、良識の府たる参議院の一員として矜持をお持ちであると思います。この間の高市総理の政治姿勢は、我々野党だけではなく、与党の皆さんも含めた参議院に対する冒涜にほかなりません。熟議の府参議院として、充実した国会審議を実現するため、引き続き誠実に御対応いただくことを強くお願い申し上げたいと思います。

さて、令和六年度決算につきまして、主として以下の三つの理由から反対をするものであります。

第一に、我が国の財政は依然として厳しい状況にあるにもかかわらず、財政規律が大きく緩み、歳出の肥大化に歯止めが掛かっていないことです。日本の債務残高対GDP比は極めて高い水準にあり、近年は、我が国の財政に対する市場の信認が揺らぎ、金利の上昇と円安の進行、そして物価の高騰という形で、国民生活への悪影響も生じています。

こうした状況に鑑みれば、歳出の適正化、効率化を図らなければならないことは言うまでもありません。しかしながら、例えば、令和五年度からの五年間で総額四十三兆円を確保することとされた防衛費については、令和六年度において不用額が一千百六十四億円に上り、翌年度への繰越額と合わせると一兆円を超えるなど、とても適正とは言い難い支出がなされています。我々が当初から主張していたとおり、合理的な根拠もなく、数字ありきで予算を確保したがためにこのような事態を招いていることは明らかであります。

しかしながら、政府・与党は、こうした状況を顧みることなく、安保三文書の前倒し改定を進め、NATOが目標として掲げる対GDP比三・五%などを念頭に、更なる防衛費の増額を図ろうとしています。仮に対GDP比三・五%の防衛費を目指す場合、直近のGDP水準を踏まえると、額にして約二十三兆円となり、現在の二倍以上の予算規模となります。安全保障環境の変化を踏まえ、防衛力を整備する必要性があることは一定理解をいたしますが、物価高で生活が厳しさを増す中、この巨額防衛費の財源を確保するために、既に国民は防衛増税という負担を強いられています。にもかかわらず、何の反省もなく、またまた数字ありきで予算を増やすようなことは、断じて許されるものではありません。政府には、今回の決算審議で指摘をされた点も含め、防衛費全体の抑制と適正化を図ることを改めて強く求めるものであります。

防衛費以外にも、今後、高市総理が悲願とまで言われた食料品消費税ゼロ、官民で総額三百七十兆円規模とされる戦略十七分野への投資など、巨額の財政支出が控えていますが、これらはいずれも具体的な財源が示されておらず、このままでは責任ある積極財政ではなく、無責任な放漫財政であるとのそしりは免れません。市場ではこの財政リスクが懸念され、長期金利は三十年ぶりの水準となり、ドル円相場も三十九年半ぶりに百六十二円台を記録するなど、既に大きな影響が出ています。言葉で責任を標榜しても、実態が伴わなければ何の意味もありません。更なる物価高から国民生活を守るためにも、高市内閣には、財政に対する市場の懸念を払拭すべく、実効的な策を講じることを強く求めるものであります。

第二の反対理由は、依然として予備費の正常化がなされていないことです。コロナ禍で予備費が肥大化して以降、巨額の予備費を設けることが常態化していますが、徐々に規模が縮小しつつあるとはいえ、令和六年度においても予算として二兆円が計上されており、いまだ正常化されたとは言い難い規模となっています。

予備費は、国会の事前議決の例外であり、内閣の裁量のみで支出できるため、財政民主主義の観点から抑制的に用いられるべきものであることは言うまでもありません。にもかかわらず、先般成立した令和八年度補正予算は、総額三兆円の予備費を追加計上するという異例、異常な内容となっています。コロナ禍以降、不十分ではありながらも正常化に向けて歩みを進めつつあった予備費が再び異常な状態に逆戻りしたことは、この間の決算審議の蓄積をじゅうりんするがごとき事態であり、誠に遺憾であります。

第三の反対理由は、基金が濫用され、積み過ぎが多額に上っていることです。基金の残高は令和六年度末時点で十七兆六千四百八十四億円にも上っており、令和元年度末時点と比較すると、実に七倍以上の規模に膨れ上がっています。政府は、令和五年の行政改革推進会議において、基金への新たな予算措置は向こう三年分とする、いわゆる三年ルールを設けましたが、我々は、これを既存の基金にも適用した場合、全体で約九兆円もの当面使用する見込みのない基金、言わば積み過ぎ基金があると試算をしております。

基金の原資は基本的に国債発行により賄われているものと考えられますから、直近の予算の積算金利を踏まえると、当面使用する見込みのない九兆円のために約二千七百億円もの利払い費を浪費していることになります。我々が度々主張してきたように、これらの積み過ぎ基金は、一度国庫に返納し、物価高対策など今必要とされる施策の財源に充てるべきです。

高市内閣における無責任な放漫財政路線の下、今後、財政規律の喪失と、ますますの歳出の肥大化が懸念されます。こうした状況下において、決算の参議院が果たすべき役割は今まで以上に大きくなるものと認識しております。その責務を重く受け止め、引き続き予算の適正化、正常化に向けて全力を尽くしていくことをお誓い申し上げまして、私の討論といたします。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

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