高橋光男 (公明党)

2026年6月17日・第221回国会 参議院 本会議 第22号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 11 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 43 発言)

公明党の高橋光男です。

私は、会派を代表して、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。

政治の使命は、国民の命と暮らしを守り抜くことです。命と暮らしに欠かせない食料を日々支えてくださっているのが、全国の農林水産業に従事される皆様です。冒頭、現場で汗を流すお一人お一人に心から敬意と感謝を申し上げます。

しかし、その現場は限界に近づいています。基幹的農業従事者は、二〇〇〇年の約二百四十万人から二〇二五年には約百万人にまで減少。平均年齢はほぼ七十歳。荒廃農地も全国で約二十五万ヘクタールにも及びます。現場では、もうからない、子に継がせられないとの声を多く伺います。とりわけ米は長く低価格が続き、消費者には安くて当たり前という感覚が定着し、その間、生産者の負担に目が注がれることはまれでした。

この状況を一変させたのが令和の米騒動です。政府自身も、需要の見通しと実績に大きなずれが生じ、高温等で精米歩留りが悪化したことを認めています。令和五年産では四十四万トン、令和六年産でも三十二万トン、需要に対して供給が不足しました。米不足は、日々の食卓や給食、介護施設や子供食堂、中食、外食など、国民全員に影響を与える問題。ゆえに二度と繰り返してはなりません。

公明党は、その反省から、食糧法改正を食料安全保障への真の改革の契機とする決意に立ち、質問いたします。

第一に、国の危機認識を伺います。

食料は、国防やエネルギーと同じく、国の安全保障です。中東情勢を背景に、ナフサ由来の農業用資材や包材、肥料、燃油の先行きに不安があります。中道、立憲、公明三党は先月、ナフサ由来農業用資材の安定供給などを政府に申し入れ、さきの補正予算にも、肥料や飼料、資材の価格高騰対策等を修正提案しました。

政府は、なぜそうした支援を補正予算に盛り込まなかったのか。なぜ、他の安全保障に比して極めて低水準の予算のままなのでしょうか。当初予算も含め、食料安全保障に抜本的な予算を確保、手当てする意思はあるのか、鈴木農林水産大臣並びに片山財務大臣の見解を伺います。

以下、食糧法改正に関して、全て農水大臣に伺います。

まず、法改正の意義についてお尋ねします。

政府案は、米の加工、中食、外食事業者も届出対象に追加し、在庫量や販売量などの定期報告を求め、備蓄の目的を需要増による不足にも広げ、民間備蓄制度を創設するものです。ただ、現場からは、米がどこにどれだけあるかを正確に把握できなければ役に立たないとの声、備蓄米も不足時だけでなく過剰時にも機能させるべきとの声をいただいています。

今回の改正で、国民の食卓と現場の不安をどう解消していくのか、認識を伺います。

備蓄米については、昨年、我々公明党の提案に従い、国民生活を守るために提供され、その判断は必要でした。政府備蓄は、通常百万トン程度を前提に、毎年二十万トン程度を買い入れる仕組みです。ところが、放出により水準は大きく低下し、今は三十二万トン、うち十五万トンは令和二年産米です。食用として問題ないのでしょうか。令和八年産の買入れは二十一万トンの予定ですが、それだけで足りるのでしょうか。

価格急落と有事の双方に備えるため、民間備蓄も活用し、国の責任で早期に百万トン水準へ戻すべきと考えますが、見解を伺います。

需給の安定に必要な情報基盤についてお聞きします。

価格安定の前提は需給安定です。需要量に加え、供給量、すなわち生産量の実態の把握が不可欠です。農水省は、水稲収穫量調査の精度向上に向け、人工衛星データやAIを活用した実証に取り組んでいるものと承知します。今回の改正で報告義務だけを増やせば、現場の負担になります。衛星、AIなどの官民の技術を駆使し、農家に過度な負担を掛けず、作付面積や収量を正確につかむ仕組みを早急に実装すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

コスト指標と価格形成に関してお尋ねします。

市場原理だけでは農作物の需給均衡は図れません。農家は、肥料や燃油が上がっても、すぐには価格に転嫁できません。だからこそ、再生産可能な価格の物差しが必要です。米穀機構は四月、米のコスト指標を公表しました。

食料・農業・農村基本法が定める合理的な価格形成を進めるためには、フードGメンが現場に入り込み、集荷、卸、小売、外食まで食料システム全体で適正な取引につなげ、消費者理解も進むようにすべきではないでしょうか。答弁を求めます。

小規模農家と中山間地域支援について伺います。

持続可能な農業には、条件不利地の経営実態を直視しなければなりません。地元市川町の棚田農家から、次のようなお話を伺いました。この十年間で、資材や機械代など経費約八百万円に対し、米販売収入は約三百六十万円、実に四百万円超の赤字、一体何をやってきたんだと。御自身への吐露の言葉でしたが、私は政治への憤りの声として重く受け止めました。

実際、小さな面積ほど米の生産費は高く、五ヘクタール未満では収益確保が難しいのが現実です。集約やスマート農業も、平場のようには進みません。それでも、農地は水をため、土砂災害を防ぎ、地域の暮らしを支えています。

棚田や離島などの国土保全の観点からも、中山間地域等直接支払や多面的機能支払は現行水準を超える拡充を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

制度からこぼれる方々への支援も忘れてはなりません。中山間直払いは対象になり得ても、事務負担などで未申請の地域が多くあります。収入保険は青色申告が前提です。ナラシ対策も認定農業者などが中心で、対象外の農家が多いのが実態です。

主食用米には、コスト急騰や価格急落への補填措置がほとんど存在しません。一定の在庫水準や価格下落、コスト上昇を条件に発動する新たな経営安定制度を導入すべきと考えますが、見解を求めます。

食糧法改正と切り離せない課題として、来年度からの新たな水田政策について伺います。

水田活用直接支払交付金につき、政府は、面積払い中心から作物ごとの生産性向上、収量に応じた支援へ転換する方針を示していますが、単価や収量要件などは未定です。これでは、現場は来年産の作付けや契約を判断できません。

条件不利地や中山間地域が取り残されない設計とし、少なくとも、現行水準以上の予算を確保して新制度の具体を早く示すべきです。また、地域計画も作って終わりにせず、推進組織やコーディネーターの配置、農地中間管理機構の手続の簡素化、迅速化により、受け手が未定の農地でも担い手や新規就農者へとつなげる体制を強化すべきと考えますが、併せて答弁を求めます。

ここで、担い手確保に関して防衛大臣に伺います。

体力と規律を有し、車両や機械操作の経験を持つ退職自衛官は、地方農業の新たな担い手として有望です。地元にも、梨農家などに転身し、活躍している方がいます。大変有り難いことです。職業選択の自由を前提としつつも、防衛省として、農水省や自治体、JA等と連携し、退職自衛官の就農支援を進めるべきではないでしょうか。御所見を伺います。

農地を守る最後の要は人です。大規模化、スマート農業、若手農家の挑戦は進み始めています。一方、家族経営、兼業農家、集落営農、農業ボランティア、外国人材も地域を支える担い手です。若者が希望を持ち、地域が支え合い、皆が力を合わせて働ける仕組みをどうつくるのか。食料安全保障の根幹である担い手の育成、確保、協働体制をどう強化するのか、最後に農水大臣の決意を伺います。

公明党は、どこまでも現場第一で、額に汗かく皆様のお声を国に届け、食料の安定供給と食料安全保障の確立へ全力で邁進することをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣鈴木憲和君登壇、拍手〕

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