宮出千慧 (参政党)

2026年5月29日・第221回国会 参議院 本会議 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 37 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

参政党の宮出千慧です。

私は、会派を代表して、健康保険法等改正案について、賛成の立場から討論いたします。

我が国の医療保険制度は、誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険を柱としております。これは、もちろん一朝一夕に完成したものではなく、戦後の混乱期から高度経済成長期を経て今日に至るまで、先人たちの不断の努力と改革の積み重ねによって築き上げられてきた世界に誇るべき制度であります。

一方で、急速な少子高齢化の進行により、社会保障制度の支え手不足と現役世代の負担の増加、医療分野の人手不足、医療の高度化と相まった医療費の増大といった構造的な課題に直面していることもまた厳然たる事実であります。

今回の改正案は、こうした課題に向き合い、必要な保険給付、必要な医療を効率的に提供することを通じて、世代内、世代間の公平性を確保し、制度の持続可能性を高めつつ、将来世代に制度を引き継ぐためのものであると評価をいたします。そのため法案には賛成いたしますが、一方で、今後に向けた課題も多く存在し、党として運用を注視してまいりたいと思います。

第一に、出産に係る標準的な費用に関する給付体系の見直し、妊産婦の経済的負担の軽減とサービスを選択できる環境づくりについて申し上げます。

言うまでもなく、経済的な不安なく妊娠、出産できる国を誰もが望んでおります。しかし、現行の出産育児一時金は、どこで出産しても一律五十万円の現金給付となっております。また、出産は価格設定が自由な自由診療であるため、お祝い膳や写真撮影などのサービスがパッケージとなった費用総額のみが示されることが多く、妊婦の経済的負担の軽減に本当につながっているのか大きな疑問があります。

そこで、今回の法案により、分娩に関する標準的な費用を設定し現物給付化を図ること、体制や役割に応じた加算を設定すること、定期的に価格改定を行うこと、サービス費用の見える化を進めること、これらは妊婦の経済的、心理的負担の軽減、そして周産期医療提供体制を維持確保していくための重要な一歩になると考えます。

ただし、審議を通じて、今後対応していくべき課題が明らかになりました。これまで自由診療で運営してきた産科医療現場の皆様からは、新たな給付の水準がどうなるのか分からない、経営を続けていけるのかといった多くの不安の声を伺いました。また、一言で出産と言っても、自然分娩や無痛分娩、帝王切開など、出産の形は実に多様です。安全に出産することができる環境づくりと併せて、きめ細やかな給付の体系をつくり、費用負担の軽減を進めていくことが求められます。

こうしたニーズを背景に、都市部、地方を問わず周産期の医療提供体制を維持確保していくには、十分な給付水準を確保するとともに、早い段階で費用水準を示すことが必要ではないでしょうか。また、安心して出産していただくためには、妊婦の皆様に対し、出産に係る費用はもとより、ハイリスク出産への対応など、安全性に関する情報の見える化も進めていく必要があります。

これらの点は、附帯決議においても盛り込まれており、早期かつ着実に対応することを政府に求めたいと思います。

また、東京一極集中が進む中、地方で出産できる環境を守ることは、地方を守ることにもつながります。地方の周産期医療、小児科医療をしっかりと守るための取組を引き続き政府に求めてまいります。

第二に、高額療養費の見直しに関し、参考人質疑でも、破滅的医療支出に陥っている方の割合が約一〇%にも達するなど、日本の医療費支出は先進国の中でも決して低くないという指摘がございました。新たに年間上限を創設するなど、医療費に上限を設けたことは評価いたしますが、一方で、年間上限に達しなくても、負担が大幅に増える方が多くいるはずです。

そもそも、重い疾病やけがで苦しむ方の多くは収入も減ることが指摘されており、すなわち、収入減と支出増のダブルパンチによって、国民が医療を受けられないという状況や生活苦に追い詰められることがあってはなりません。だからこそ、高額療養費の制度の充実が求められるわけですが、この制度を持続可能なものとするためには保険料負担が増す局面があることも事実です。一方で、この制度の充実は病気になった現役世代の救済につながることも忘れてはなりません。

附帯決議においても多くの項目が盛り込まれましたが、家計に与える実質的な影響を含めた制度見直し後の検証や、低所得者層を中心とする負担軽減に積極的に取り組むべきであります。我が党としても適切な運用を注意深く見守ってまいります。

第三に、給付と負担の見直しについて申し上げます。

いわゆるOTC類似薬については、一部保険外療養制度の創設により、一部を患者に負担いただく仕組みが導入されますが、保険給付から丸々外すものではなく、必要な医療はこれまでどおり保険給付として維持されるものであり、医療保険制度を守っていくためには必要な見直しだと考えます。また、子供、入院患者、がん患者や難病患者などからは別途の負担をいただかないことで、過度な患者負担を求めない配慮もなされていると考えます。

ただし、課題も残ります。附帯決議でも求めておりますが、新たな制度の導入によりどのような影響があるのか、実態を把握し検証する必要があります。また、配慮措置に関して、医師が長期間の治療が必要と判断する場合も対象にするとの説明がありましたが、あまたある成分や医薬品と疾病のうち、どこまでが配慮対象なのか、その判断を医療現場に丸投げしてしまっては、現場の混乱は必至です。加えて、実際に調剤する薬局でも薬剤師の説明負担が増加することは明らかであり、政府の責任において、分かりやすい運用基準を十分な時間的余裕を持って示すべきと考えます。

最後に、本法案では、後期高齢者医療において、上場株式の配当等の金融所得を保険料の算定や窓口負担割合の判定に反映させる仕組みが盛り込まれています。

後期高齢者医療は、所得に応じて窓口負担が一割から三割まで設定されており、保険料負担も異なります。現行制度では、金融所得が多い方でも年金収入が少なければ窓口負担が一割にとどまるなど、世代内でも不公平が生じており、こうした不公平を是正する今回の措置は必要不可欠と考えます。

後期高齢者医療には現役世代からの支援金も多く充てられており、世代間の支えは大切です。しかし、そのためにも、負担能力のある方にきちんと御負担いただく応能負担を徹底し、現役世代の負担軽減につなげていくことが重要です。こうした応能負担の徹底による現役世代の負担軽減が一日も早く実現されるよう、政府に対し速やかな対応を求めてまいります。

なお、この仕組みを現役世代に拡大していくことには、現役世代の負担増につながりかねず、慎重であるべきと考えております。

今回の法案の審議を通じて、日本の医療保険制度を守っていくためには、日頃の予防、健康づくりを進めることが欠かせないと改めて認識をいたしました。がん検診を始めとする各種取組については、単に推進するだけでなく、エビデンスに基づいた実効性ある施策を展開していくことが重要です。また、超高額な薬剤が次々と登場している昨今、費用対効果の評価を徹底し、限られた保険財源をより有効に活用していくべきであると考えます。

委員会では、十九に及ぶ附帯決議を採択いたしました。充実した質疑や参考人の皆様からの真摯な御意見を反映したものと理解しております。今後も政府に対し、決議を尊重し、適切な制度運用と更なる制度改革に努めることを強く求めてまいります。

その上で、本法律案に対し賛成することを申し述べまして、私の討論とさせていただきます。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

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