小野田紀美 (自由民主党)内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略・知的財産戦略・科学技術政策・宇宙政策・人工知能戦略・経済安全保障)

2026年5月27日・第221回国会 参議院 本会議 第16号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 6 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 42 発言)

杉尾委員から、まず、経済安全保障環境についての認識と今回の法改正の目的についてお尋ねがありました。

二〇二二年五月に経済安全保障推進法が成立してから四年が経過し、この間、ウクライナ侵略や中東、イラン情勢を始めとする地政学リスクの高まり、経済的措置を通じた脅威の増大、グローバルサウス諸国のプレゼンスの拡大等、国際情勢は大きく変化をしております。また、AI、量子等の先端技術の技術開発競争が一層激化するなど、経済安全保障をめぐる課題が一段と複雑化する中で、官民連携を強化する必要が高まっていると認識をしております。

こうした現状認識を踏まえ、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、人材力を含む総合的な国力を強化しながら最大限活用し、我が国の平和と安全、繁栄を経済面から確保するための更なる措置を講ずるため、今回、本法案を提出するものであります。

次に、サプライチェーン強靱化制度に関するイラン情勢への効果についてお尋ねがありました。

サプライチェーン強靱化に関しては、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の安定供給確保の制度の下、これまで内閣府及び関係省庁が連携し、重要な物資の安定供給に関する様々なリスクを点検し、その点検結果も踏まえて、国内外からの代替供給確保の可能性等を鑑みた外部への依存性や、他制度による措置の実施状況を踏まえた施策の必要性などの要件を満たす場合には特定重要物資として指定し、必要な措置を講ずることで安定供給確保に取り組んでまいりました。

今般の中東情勢に関係する経済安全保障推進法に基づく取組の効果としては、例えばヘリウムを挙げることができます。ヘリウムは、全量を海外に依存し、そのうち約四割を中東地域に依存していますが、特定重要物資である半導体の原料として備蓄等の支援を進めてまいりました。このような支援も含め、結果として国内需要の約二か月分の在庫を国内供給メーカーのみで維持することができており、経済安全保障推進法に基づく支援が一定の効果を発揮していると考えております。

今般の中東情勢に限らず、国際情勢が急速に厳しさを増す中で、先を見越した物資の安定供給を確保していくことも重要であることから、引き続き、関係各省と連携し、重要な物資の安定供給確保に取り組んでまいります。

次に、特定重要物資の指定の在り方の見直しや調達多角化のインセンティブ付与についてお尋ねがありました。

先ほども申し上げたように、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の安定供給確保に関する制度においては、内閣府及び関係省庁が連携し、重要な物資の安定供給に関する様々なリスク点検も踏まえた上で、外部への依存性、施策の必要性などの要件を満たす場合に特定重要物資として指定し、その安定供給確保の取組を支援してきたところです。

国際経済の深化にも伴い、物資のサプライチェーンは複雑化しております。重要な物資の安定供給確保は経済安全保障推進法のみで実現されるものではなく、ほかの法律に基づく制度や一般的な予算措置、今般の中東情勢への対応で行われているような各省庁と事業者との丁寧な意思疎通など、様々な政策手段を組み合わせて対応していくべきものと認識しております。

引き続き、関係各省と連携し、重要な物資の安定供給確保に取り組んでまいります。

議員御指摘の調達多角化のためのインセンティブに関しては、本改正法案において、安定供給確保に係る関係者に対して、特定重要物資等の安定供給確保のための相互の連携及び協力を努力義務として規定するとともに、これに基づき、その関係者が特定重要物資等の安定供給確保に資する行動を取りやすくなるよう、国として必要な措置を講ずるよう努める旨を規定しております。

こうした国による措置として、例えば調達先の多角化への支援も考えられますが、詳細については、各業界の実態等を踏まえて、関係省庁と連携して検討、対応してまいります。

次に、衆議院での修正の趣旨を踏まえた対応についてお尋ねがありました。

現下の中東情勢を含む国際情勢、AIの高度化を始めとする技術開発の進展、データセキュリティーの重要性等、我が国の経済安全保障をめぐる状況が刻々と変化しております。このため、経済安全保障政策を推進していく観点から、必要な措置の在り方について速やかに検討を行うとともに、必要に応じて経済安全保障法制に関する有識者会議を開催し、有識者からも御意見を伺いながら進めてまいります。

次に、行政機関を基幹インフラ制度の対象とする必要性についてお尋ねがありました。

政府機関等のサイバーセキュリティーの確保については、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群に定められており、その中で、システム等の調達において悪意ある機能が組み込まれていない機器を用いる等、サプライチェーンリスクに係る対策も求められています。各政府機関等においては、同基準群に基づき、行政サービスを維持するために必要な対策を講ずることとされていると承知しております。

また、国家サイバー統括室においては、サイバーセキュリティ戦略本部の下、サイバーセキュリティ基本法に基づき政府機関等に対する監査を実施しており、議員御指摘の会計検査院の報告における指摘事項についても、当該監査の中で確認を行い、各政府機関等において必要な対応を行っているものと承知しております。

このように、政府機関等においては、基幹インフラ制度ではなく、ただいま申し上げたような取組等により行政サービスの維持が図られるものと考えております。

次に、Kプログラムの航空安全等に資する小型無人機の飛行経路の風況観測技術についてお尋ねがありました。

本プロジェクトは、低高度の空域における風況観測や障害物検知を目的として、ヘリコプターなどに搭載可能な小型、軽量のレーザー光源を利用した観測技術であるドップラーライダーの開発を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOを通じて約五・七億円の予算を支出したものです。

本プロジェクトは、研究開発を推進する過程で度重なる目標未達が見られたこと、提出するよう指摘があった研究データ等の進捗を示すことができなかったことから、NEDOにおいて二〇二五年に中止が妥当と判断されたものと承知しております。

次に、指定基金の対象の拡大についてお尋ねがありました。

経済安全保障は、国際情勢や技術環境の変化等に応じ、特に機動的かつ柔軟な対応が求められる政策分野であり、経済安全保障上重要な技術についても、経済社会の状況変化に伴い、既に設置されている基金を活用して研究開発等を実施する必要性が新たに生じる場合も想定されます。こうした場合に、改めて法改正を行わずとも、機動的かつ柔軟に協議会を活用した研究開発等に移行できるようにする必要があると考えております。

このことから、今般の改正法案においては、個別の基金に限定して規定するのではなく、一定のガバナンスが確保されている法人が設置する基金であることを前提に、指定基金協議会を設置できる基金の対象範囲を拡大することとしております。

次に、経済安全保障上重要な海外事業の促進に関する制度における情報開示についてお尋ねがありました。

本制度においては、投資の適切性、透明性を確保すべく、経済安全保障推進法第八十五条の三第四項において特定海外事業を認定する際の基準を明記しているほか、同法第八十五条の二において、基本指針を策定する際には、認定に関する基本的な事項を更に具体化して定め、公表することとしております。政府としては、これらの基準及び基本指針に基づき、個々の事業計画について必要な審査を行った上で認定、支援を行うこととしており、恣意的な判断や法令等によらない形で認定を行うことはありません。

また、認定後の実施状況につきましては、第八十五条の六第一項及び第二項の規定に基づき、認定特定海外事業者からの定期的又は必要に応じた報告を受けるとともに、JBICを通じた適時適切なモニタリングも実施し、確認を行うこととしております。その上で、必要に応じて有識者等の御意見もいただきながらフォローアップを行い、企業の機微情報等に鑑みて、差し支えない範囲で、事業の実施状況やフォローアップ内容について広く一般に公表してまいります。

次に、重要技術戦略研究所とは別に、総合的な経済安全保障シンクタンクを設立する必要性についてお尋ねがありました。

令和四年の経済安全保障推進法成立以降、経済安全保障をめぐる課題が複雑化しており、技術のみならず、様々な課題に対し、幅広い専門知識を総合的に結集して対応することが重要となっています。

こうした状況を踏まえ、総合的な経済安全保障シンクタンクは、独立行政法人内に設置される公的機関として、政府の要請への即応も含め、外交、情報、防衛、経済、技術の専門性を要する調査研究を実施し、政策提言を行うために設立するものです。

一方、いわゆる重要技術戦略研究所は、一般財団法人として設立される民間機関であり、技術に特化し、アカデミアも巻き込む形で、産学官連携による科学技術戦略の推進等に加え、大学と連携した人材育成を行うことが期待されています。

このように、二つのシンクタンクは役割や組織体制、求められる人材が異なることから、まずは、各シンクタンクがそれぞれの役割に基づき、しっかりと活動を進めていくことを目指してまいります。

最後に、官民協議会に参画する事業者の負担についてお尋ねがありました。

官民協議会は、経済安全保障上の幅広い課題について、その時々の情勢等を踏まえつつ、官民で情報共有や対策の協議を行うテーマを設定し、当該テーマに応じて、内閣総理大臣が必要と認める事業者等をもって構成することとしております。

官民協議会の構成員には、必要に応じて資料の提供等の協力や情報の適正管理等を求めることとなっておりますが、事業者が望まないにもかかわらず構成員となることがないよう、官民協議会の構成員となることについて、あらかじめ同意を得た者に限ることとしております。

また、官民協議会は具体的にどのように運営するかについては、サイバー対処能力強化法に基づく協議会とも緊密に連携し、参画する事業者の負担にも留意しながら、今後、専門家や事業者等の意見を伺いつつ丁寧に検討し、懸念の払拭に努めてまいります。(拍手)

〔国務大臣赤澤亮正君登壇、拍手〕

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