古賀之士 (立憲民主党)

2026年5月20日・第221回国会 参議院 本会議 第14号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 7 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 35 発言)

立憲民主・無所属の古賀之士です。

尊敬する王貞治さんの誕生日に登壇する機会をいただき、ありがとうございます。

私は、会派を代表し、ただいま議題となりました経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について、国民の皆様の深い理解が得られるよう、国民の視点を中心に質問いたします。

本法案は、異なる三本の法律と四つの要素がまとめられたものです。一つ目の要素は国内投資の誘引、二つ目はトランプ関税に端を発する対米投資の履行、三つ目の要素は産業用地の確保、四つ目は地方のエッセンシャルサービスの維持です。

一つ目の投資の誘引と三つ目の産業用地の関係は分かります。四つ目もぎりぎりつながっているかもしれません。しかし、明らかに二つ目の対米投資と最初の国内投資促進税制は体系も立法事実も異なります。これも成長投資の一環ということなのでしょうか。ならば、一つに束ねた法案にしなければならない理由を、本法案の体系、成長投資との関連の観点から、国民の皆様に分かりやすく、赤澤亮正経産大臣に御説明願います。

次に、それぞれの要素についてお尋ねします。

まず、国内投資について、昨今の技術革新の速さに鑑み、ある程度公平性や透明性といったものが規模や速度に劣後することは一定理解できます。しかし、ROI、投資利益率一五%以上という条件は、余りにも一部の企業に限られてしまうのではないでしょうか。また、即時償却や税額控除は黒字の企業にしかメリットがなく、採算ラインで社会に必要な物品を供給しているような地場の中小企業にはメリットは小さいと思われます。

こうした中小企業の維持と強化に向けても、中小企業経営力強化法があったとしても、設備投資に対する融資の利子補給や補助金などを検討するお考えがおありになったりするのでしょうか。赤澤経産大臣にお尋ねします。

また、やりっ放しで、事後の検証なしは問題です。ROI、投資利益率一五%以上はどうやって追跡していくのでしょうか。網羅的な検証が困難となってしまえば、当然、その後の政策に生かすことができません。これらの減税によって、どのような業種がどれだけの投資を実行し、その結果として日本経済にどのような影響が生じるのか。それらを検証し、個々の認定の妥当性、ひいては本法案の妥当性をしっかり検証し、産業政策をブラッシュアップしていくことについて、制度的な担保と赤澤経産大臣の御所見を伺います。

日米戦略的投資イニシアチブについてお伺いいたします。

合計五千五百億ドル、日本円にして締結当時は八十兆円、今では円安が進行して八十七兆円の巨大な投資です。予算要求を読むと、内訳は、JBIC一に対して民間金融機関が二というようにも読めますが、赤澤大臣は昨年九月、JBICによる出資と融資は外為特会と政府保証付きのドル建ての債券等で賄うと発言されており、確かにJBICの仕組みからしても、その部分については円売りドル買いのオペレーションは起きないと認識しています。

しかし、六十兆円近くは民間金融機関による融資になります。外資系の銀行ともコミュニケーションを取っているとしていますが、このうち、三分の一でも円売りによってドルを調達するのであれば二十兆円、先日の為替介入でちまたうわさされている十兆円の二倍もの円安圧力となります。

当然、これらの期間は数年にわたってということになりますが、そこで提案含めてですが、これらの影響を打ち消すために、同額同時に外為特会のドルを売るようなオペレーションなど、円安対策に備えて検討されるか、確認のため、林芳正財務大臣臨時代理にお伺いいたします。

NEXIによる保証についてのリスクについて確認いたします。

今回の日米戦略的投資イニシアチブにおいて、NEXIは区分経理を採用し、今回の件で何らかの影響が起きた際に、NEXIのほかの事業に影響を及ばないようにしています。一方、保険は多数の案件を引き受け、試行回数が多ければ多いほど平均値に近づく大数の法則により成立しています。区分整理を採用することはリスクを高めることになると、国民に説明しておく必要はありませんか。三兆円の交付国債という措置を今回見込んでいますが、万が一、巨大な保険金支払が発生することはないのでしょうか。国民の皆様から十分な理解がまだ進んでいないので、あえてお聞きいたします。

NEXIにおいて資金調達が困難になった場合、貿易保険法二十八条における政府が必要な財政上の措置を講じる追加的な公金、つまり税金を支出することになるのかどうか、赤澤経産大臣に御説明願います。

産業用地についてお伺いします。

今回は立法事実として、令和五年、二〇二三年に行われた各都道府県と各政令市向けアンケートや分譲可能な産業用地の面積の減少が挙げられています。しかし、その中身を精査すると、少し違った見方もできるように思えます。

例えば、アンケートにおいて産業用地を確保できていないとした四十二の府県の分譲可能な産業用地の面積は三千ヘクタールを切る一方で、全国では一万ヘクタール弱の分譲可能な産業用地があります。北海道では四千ヘクタール以上分譲可能です。

立地条件が良く、使い勝手の良い用地が更に人気になっている。つまり、問題は産業用地の不足ではなく偏在だと思いますが、赤澤経産大臣の認識をお伺いいたします。

また、近年の産業用地の確保のための施策についてもお尋ねをいたします。

さきのアンケートを基に、令和六年度から産業用地整備促進伴走支援事業が始まりました。また、昨年には産業用地マッチング事業も始まりました。特に、伴走支援事業については既に二年経過しておりますので、その実績等の結果と検証、そしてそれらが本法案にどの程度生かされているのか、赤澤経産大臣にお伺いいたします。

また、既存の事業と本法案における措置がどのように一体的に行われていくのか、そして周知されていくのか、赤澤経産大臣、お答えください。

また、本法案の規制緩和そのものについてお尋ねします。

工場立地法においては、その目的として、第一条に、工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行えるようにするためとあり、国民経済の健全な発展と国民の福祉の向上に寄与することを目的として、例えば緑地面積を二〇%以上にすると定めてあります。しかし、成立以降、老朽化した工場の建て替えに困難を来すことや、地域の実情に即していない等の理由により、累次の改正、規制緩和が行われた結果、既に市町村による条例で緑地面積を一%とすることが可能になっています。

これ以上の規制緩和は工場立地法の目的自体を空文化してしまうおそれもあると考えられますが、赤澤経産大臣から、今回更なる規制緩和を図る意図を教えてください。

これは提案となりますが、例えば、地域との調和を図る観点から、工場の立地するエリアと同一エリアにある森林に対して、工場を保有する企業がその保全活動を行ったり、地域雇用の割合が高く、かつ、賃上げや職場環境の改善に対して一定以上の取組を図ったりといったことに対して、インセンティブとして緑地面積の割合を下げていくといった制度設計を検討できないでしょうか。赤澤経産大臣の御所見を伺います。

四つ目の要素となるエッセンシャルサービスの維持についてお伺いいたします。

まず、赤澤経産大臣、本法案がエッセンシャルサービスの維持と地域における人材の定着に寄与する見込みを教えてください。

もちろん、地域の日常生活を支えるエッセンシャルサービスの維持は喫緊の課題です。特に、その土地で生活する人々にとっては、具体的な見込みがなければ過疎化は進み、移住してくる方や訪問者の可能性が薄まり、人口減少にも歯止めが掛からないことを一番よく御存じだからです。

そこでお尋ねしたいのが、エッセンシャルサービスを維持する方法についてです。

本法案では、金融支援と手続面での規制緩和が目立ちますが、そのメニューは十分に効果が期待できるのか、具体的な見通しを伺います。

エッセンシャルサービスという、原則、人がいないと成立しない業態については、人口減少、少子化、高齢化が進む日本において相当な逆風です。融資の条件を良くしたとしても、また効率化したとしても、サービスを提供する事業への資金回収の見込みが立たないおそれがあります。その中で、明るい未来が見えてくるための投資回収の予見性について、赤澤経産大臣はどのような御所見をお持ちなのか、伺います。

例えば、エッセンシャルサービスで大切なガソリンスタンドについてお伺いをいたします。

ガソリンスタンドにおいては地下にガソリンを貯蔵するタンクがあり、老朽化しても、老朽化して更新するにしても、移転するにしても、事業者に対して大きな負担となっています。そこで、大胆な事業転換を超えた構造転換を行えないでしょうか。例えば、ガソリンスタンドを太陽光発電所に転換し、そこにグリーンエネルギー充電ステーションを併設するような大胆な事業転換に補助金制度を設ける。また、地域における電気自動車の購入にも補助金を出す。今回の法案のように、エッセンシャルサービスの維持は非常に重要ではありますが、既存のやり方では限界があるからです。

より中長期的に考えて提案をさせていただければ、例えば、人手不足のドライバーさんと人型ロボットが共存できる交通特区をあえて地方に設けたり、ガソリンスタンドが仮になくなっても、自動運転車が文字どおり自動で充電するシステムに予算を掛けたり、農家を手伝うロボット特区を構築したりと、たとえ人口減少や少子高齢化が進んだとしても地方の交通や産業が維持できるような根本的な対策をお示しいただけないでしょうか。

赤澤亮正経産大臣、そして、現在、地方活性化をつかさどる総務大臣であり、財務大臣臨時代理も務めていらっしゃる林芳正大臣から、政策の裏付けとなる財政について答弁をお願いいたします。

今回の法案については、国民の理解が深まることが第一と考えます。期待とともに、これまで述べたような不安や課題が起きることも確かです。日本の産業をより前に進めていくため、提案を含め、お聞きしたことに対して、前向き、建設的、具体的な御答弁を期待して、質問を結びます。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣赤澤亮正君登壇、拍手〕

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