浜野喜史 (国民民主党)

2026年4月7日・第221回国会 参議院 本会議 第8号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 11 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 24 発言)

国民民主党の浜野喜史です。

会派を代表し、令和八年度予算案に対し、反対の立場から討論いたします。

一つ目の反対理由は、予算案は、責任あるという考え方に引っ張られたのか、積極財政の名に値しない緊縮的財政の予算となってしまっていることです。

日本経済の状況について、高市総理は、足下では賃上げ率が二年連続で五%を上回るなど、長く続いたコストカット型経済から、その先にある新たな成長型経済へと移行する段階まで来ていると思っておりますと説明されました。三十年余りの経済停滞を脱出できていないと認めておられるわけです。

経済停滞の中での予算であるにもかかわらず、令和八年度一般会計予算は、令和七年度に比して、税収五・九兆円の増の一方で、歳出は四・一兆円の増にとどまっております。令和八年度予算は、前年度より一・八兆円多く国民の側からお金を吸い上げることとなってしまっております。

この指摘に対して、片山財務大臣は、国債残高増加に伴い、前年度から国債の利払い費等は二・五兆円増えており、利払いとして国民の側にお金は出ているので、差引き〇・七兆円多く国民の側にお金は流入していると強弁されました。

銀行に支払われる国債の利払い費は銀行の日銀当座預金に入りますが、これは社会に流通しているお金である、日銀が統計しているマネーストックを直ちに増やすわけではありません。したがって、国債の利払い費を除いて比較するのが適切と考えます。百歩譲って政府の説明を認めたとしても、経済停滞の中、〇・七兆円の増が果たして積極財政と言えるのでしょうか。直近の令和六年度決算を見ても、予算に対して五・六兆円もの税収上振れがあったことなど、税収を過少に見込んできている傾向を踏まえると、令和八年度予算が緊縮的な予算であることは明らかです。

経済停滞の中、前年度より多くのお金を国民の側から吸い上げることとなる予算は、明らかに誤った予算であります。

二つ目の反対理由は、中東情勢の先行き不透明な中で、それを踏まえたエネルギー価格高騰対策が盛り込まれていないことです。

国民民主党は、国民生活に必要不可欠なガソリン、軽油に加え、電気・ガス代への補助を盛り込んだ二兆円の一般会計予算の増額修正を求めましたが、否決され、政府案には反映されませんでした。

中東情勢の先行きが不透明な中で、経済停滞を脱していくには、国民の消費マインドを維持改善していくことが重要です。予算を通じてエネルギー価格高騰対策について強いメッセージを発出し、国民の将来不安を払拭していかなければなりません。その意思を全く欠いた予算は誤ったものと言わざるを得ません。

三つ目の反対理由は、衆議院において余りにも乱暴な国会運営が行われたことです。

衆議院において予算委員会が開かれたのは十二日間です。その間に計十六回、野党との合意なく、予算委員長の職権で日程が立てられました。

総理は保守主義を標榜されていると存じます。保守主義とは、先人が積み上げてきたものを尊重し、それを変える際には慎重かつ漸進的に行う考え方と承知をしております。実質的に総理がリードしたと考えられる衆議院の審議は、保守主義を標榜する総理らしくない進め方だったと言わざるを得ません。

なお、参議院における審議については、先人の積み重ねに照らして、審議時間及び集中審議の回数と時間に不足感が否めないことを申し上げておきます。

以上、反対理由を申し述べた上で、今後の経済財政運営について問題提起をいたします。

城内経済財政担当大臣は、経済演説で次のとおり述べられました。

責任ある積極財政とは、将来世代がこの国で働き、挑戦し、誇りを持って生きていくための基礎を、今の世代が責任を持って築く財政であります。投資を怠ることこそが、最も無責任となる時代に私たちは生きております。主要先進国の経済政策の潮流も、市場原理に過度に依存する新自由主義的発想、すなわち市場の働きに委ね過ぎる考え方から転換しています。例えるなら、天動説から地動説へと世界観が変わるようなパラダイムシフトであります。我が国も、こうした時代の要請に応える経済財政運営を力強く進めていかなければなりません。

的確かつ力強い演説であり、敬意を表します。

その上で、私が疑問を感じるのは、この経済財政運営の基本姿勢から、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくとの方針がなぜ生まれてくるのかということです。

政府債務残高の対GDP比を引き下げることがなぜ必要なのか、政府は明快に説明できないと思います。片山財務大臣も明言されたとおり、日本国債の債務不履行は通常考えにくいことから、そもそも政府債務残高の対GDP比の引下げに意味があるとは考えられないのではないでしょうか。また、追加的国債発行や財政支出の増が金利上昇をもたらすものでもなく、仮に望ましくない金利上昇があれば、日銀が適時適切にコントロールできます。財政支出増によるインフレ懸念についても、過少な企業投資、弱い消費マインドという現状を考えれば、需要が供給力を大きく上回ることによる過度なインフレを恐れる必要は全くありません。

仮に債務残高対GDP比引下げを目標とした場合を考えてみましょう。経済不況期には、GDPが伸び悩み、債務残高対GDP比が上がる傾向があると考えられます。不況の中、財政支出拡大が必要であるにもかかわらず、対GDP比を下げる目標が経済回復の足を引っ張ることになるのではないでしょうか。

一方、経済好況期には、GDPが増えて、債務残高対GDP比が下がる傾向があると考えられます。好況の中、財政支出を抑制すべき局面であったとしても、対GDP比を下げる目標の達成状況が過度の財政支出を促し、経済過熱を生むおそれがあるのではないでしょうか。

政府債務残高対GDP比の引下げを目標とすることは、責任ある積極財政を無責任な緊縮財政及び放漫財政としてしまうのではないでしょうか。

そもそも二〇〇〇年代初頭から財政健全化目標を掲げてきたことこそが、三十年余りの経済停滞を生み出した主たる原因なのではないでしょうか。求めるべきは、政府財政の健全化ではなく、経済、国民生活の健全化です。

城内大臣は、経済演説でこのようなことも述べられました。

経済財政運営の目的は、国民一人一人の暮らしを豊かにすることにほかなりません。経済財政運営の手段と目的を取り違えることなく、これまでの発想をちゅうちょなく見直し、経済成長の果実を広く国民に届けてまいりますとのことであります。

真っ当な考え方であると敬意を表します。

最後になりますが、高市総理に、六月の骨太方針の策定に向け、賢明なる検討をしていただくことを求めて、反対討論を終わります。(拍手)

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