森本真治 (立憲民主党)

2026年4月7日・第221回国会 参議院 本会議 第8号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 7 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 24 発言)

立憲民主・無所属の森本真治です。

私は、会派を代表して、政府提出の令和八年度予算三案に反対の立場から討論いたします。

本予算については、その内容に先立ち、予算審議をめぐる政府の姿勢そのものが問われなければなりません。こうした点も含め、予算の妥当性を検証する観点から、以下三点について申し上げます。

第一に、予算審議の在り方についてです。

本予算は、一般会計歳出総額が過去最大の百二十二兆円に達する内容となったこと等を踏まえ、例年以上に丁寧かつ十分な審議が求められるものでありました。しかしながら、衆議院では、与党による強権的な委員会運営の下、審議時間の大幅な削減や分科会の未開催など、審議の充実という観点からは看過し難い暴挙が繰り返されました。

このような異例の事態は、さきの通常国会冒頭における衆議院解散に端を発しますが、そもそも、一月の衆議院解散によって年度内の審議日程が極めて逼迫した状況となり、本予算の年度内成立など到底不可能であったことは誰の目から見ても明らかでありました。それにもかかわらず、本予算の年度内成立に固執する高市総理がこのようないびつな状況をつくり出したことは明白であり、国会軽視の姿勢は極めて遺憾であります。

総理は、本予算の年度内成立が実現しなかったことを受けて、自民党役員会で国民の安心と強い経済構築のためという思いを野党と共有できなかったと発言したと報じられました。まるで野党のわがままのせいで年度内に予算が成立できず、国民の安心と強い経済にマイナスをもたらしたとでも言いたいのかと受け止めてしまいます。

しかし、暫定予算成立により国民生活への支障は生じないというのが多くの関係者の見解であり、責任転嫁、問題のすり替えではないでしょうか。

二〇〇〇年以降を振り返り、暫定予算の事例を調べてみると三例あります。二〇一二年野田内閣、二〇一三年安倍内閣、二〇一五年安倍内閣。このうち二〇一三年、二〇一五年はいずれも前年十二月に衆議院選挙が行われ、選挙が予算成立に大きく影響しました。ましてや、今年は二月に選挙が実施されたことを考えると、そもそも無理なことで、野党の協力があるかないかの問題ではありません。野党の協力を得て、充実した審議を行い、かつ国民生活に支障を生じさせないために、暫定予算を成立させた。これが正しいメッセージです。

我々は、国会における熟議の重要性を軽視する政府・与党に対して猛省を求めるとともに、財政民主主義を守り抜く立場から、審議のプロセスに問題を抱える本予算を認めるわけにはいきません。

第二に、エネルギー価格高騰への対応であります。

本予算は昨年十二月末に閣議決定されたものであり、その後の中東情勢の急激な変化、とりわけ原油供給をめぐる不確実性の高まりを反映した内容とはなっておりません。足下では既に原油等の価格高騰が進み、エネルギーコストの上昇を通じて、家計及び企業活動に悪影響が及んでおります。政府は石油備蓄の放出や既存基金を活用した補助の再開などの措置を講じておりますが、これらは当面の対応にとどまり、影響の長期化を見据えた対策とはなっておりません。

また、今後のエネルギー価格高騰対策として、政府は予備費を活用する方針を示しております。しかしながら、中東情勢以外の不測の事態への対応余地を十分残しておく観点も踏まえ、本院での修正によって当初予算において必要経費を適切に計上することこそが、国民生活を守る上で、我々国会議員が現時点で講ずべき最善の方策であったに違いありません。

こうした認識の下、我々が委員会審議の際に提出した修正案は、ガソリン、軽油、灯油、重油、航空燃料の価格引下げとして一兆八千億円を計上し、事態の長期化に備え、当面必要となる財源を措置することで暮らしの安心を確保するほか、電気・ガス料金の引下げとして一兆五千億円を計上し、現行の三月分までの電気・ガス料金負担軽減支援事業について、補助額を一・五倍に拡充するとともに、半年間の延長を行うものでありました。さらに、物価高騰の影響を大きく受ける低所得世帯向けの給付金五千億円や、ナフサの供給減、価格高騰を受けた医療機関に対する支援経費五百億円等も計上しておりました。しかしながら、この修正案が否決されるに至ったことは甚だ遺憾であります。

エネルギー価格上昇の影響が経済全体に波及する現状を踏まえれば、我々が修正案で示した包括的対応は不可欠であり、具体的な対策を欠く政府案は全くもって不十分と言わざるを得ないため、反対するものであります。

第三に、高額療養費制度の見直しについてであります。

高額療養費制度は、医療費が高額となる場合に家計負担を抑制し、所得に左右されない国民の医療アクセスを支える基盤でありますが、委員会審議で明らかとなったように、今回の政府案にはなお重大な懸念が残されております。

まず、制度見直しの検討過程についてであります。政府は、医療保険部会の専門委員会において、患者団体の意見を踏まえ九回にわたり協議を行ったと説明しておりますが、最も重要な月額上限の引上げ額は最終回において提示され、当該水準について患者団体の意見が十分に反映されたとは言い難い状況にあります。制度の影響を直接受ける当事者の声を軽視する政府の対応は、極めて不誠実との指摘を免れません。

また、制度設計の前提となる実態把握にも課題があります。医療現場では、治療の長期化に伴う収入減等により、生活費を切り詰めながら療養を続ける方々も多く、こうした実態を踏まえた制度設計となっているのか、大きな疑問が残ります。政府に対し、早急な実態調査の実施を強く求めるものであります。

さらに、制度見直しの効果として、受診抑制が盛り込まれている点は看過できません。患者が治療を控えることで財政改善を見込む考え方は、命を守るべき社会保障制度の在り方として決して許されるものではありません。

加えて、政府が配慮措置とする年間上限についても償還払いが前提とされており、手元資金がなければ治療継続が困難となるおそれがあります。早急な制度・システム改善及びその間の救済策の実施を強く求めます。

以上を踏まえれば、患者に更なる負担を求める今回の措置は到底容認できず、高額療養費制度の見直しが含まれる政府案に対して、強く反対するものであります。

この点、我々の修正案には患者負担増の凍結が盛り込まれており、こうした懸念に対する現実的かつ適切な対応となっておりました。それにもかかわらず、この修正案が否決されるに至ったことは落胆を禁じ得ません。

以上申し上げたとおり、予算審議の在り方、中東情勢への対応、高額療養費制度の見直しなど、いずれの観点から見ても看過し得ない課題を抱えていることから、政府案に反対するものであります。

熟議の府、再考の府である参議院予算委員会での採決は、可否同数でありました。この結果を高市内閣は重く重く受け止めるべきであります。

我々立憲民主党は、今後も政府の姿勢をただし、国民の声を反映した政策の実現に全力で取り組んでまいることをお誓い申し上げ、私の討論を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

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