お答え申し上げます。
まず、再審請求者に新証拠を準備してもらわないといけないと、それが非常に大きな負担であるということは私自身も認識しております。ただ、再審制度というのは、通常審で三審制の下、国選弁護を受ける権利等、様々な手続保障をされて、一度は有罪で確定した事件について再度審理をやり直すかということを考える手続ですので、何の事情変更もないのに再審請求ができるということになりますと、それは裁判が一度確定したという意味が完全になくなってしまいます。裁判制度というのは、どれだけ当事者が争いたいと思っても争えなくなる、確定することによって、それを前提に社会を回していくシステムですので、確定した事件についてはやはり何らかの事情変更を伴う形で再審請求をしていただく必要があると。それが刑訴法が要求している新証拠なんだろうと思います。
その観点から、刑訴法は既に再審請求人には弁護人を選任する権利を与えておりまして、高平参考人がおっしゃるように、弁護人が非常に大きな役割を果たすことも間違いないと思います。
その上で、何らかの新証拠を用意していただければ、その後は、今、仁比先生が御指摘くださったように、スクリーニング規定を乗り越えた後、請求に基づいて証拠提出命令を活用したりだとか、あるいは請求に基づいて事実取調べをやってもらうということが可能になるわけです。最初のハードルは確かに少し高いんですけれども、とはいっても、それを用意していただかないとやはり確定審との関係で整合性が付かない。ただ、最初のハードルさえ乗り越えれば、あとは、先ほども申し上げましたけれども、職権主義の下でも再審請求者及び弁護人の手続保障というのは極めて重要ですので、それに対応する形で今回の法案というのはでき上がっているというふうに認識しております。
90
仁比聡平(共産)
そうした観点から、田岡参考人にも政府の答弁についてお尋ねしたいと思うんですけど、二十三日のこの委員会の刑事局長の答弁で、川合先生の御質問に対する答弁なんですけどね、つまり、どのような証拠があり得るかはある程度想定することは可能だと大臣が繰り返している答弁に関連して、刑事局長こう述べたんですね。犯人でないのに有罪判決を受けた者であれば、確定判決がどの鑑定を読み間違っているのか、どの共犯者あるいは参考人の供述の信用性の評価を誤っているのか、それは想定できる、把握できるのが通常だと、これを前提に、通常どのような証拠が収集されるかを念頭に置いて提出命令を裁判所に…
この発言のページ
91田田岡直博香川県弁護士会弁護士
佐藤局長は弁護士、弁護人をやったことがないのでしょうから、多分そうお考えになるんだと思います。
普通に考えると、犯人でない人はその場にいないわけですので、どこが間違っているのか、なぜうそをついているのか分からない方が普通だと思います。むしろ、真犯人の方が現場にいたわけですから、現場にどんな証拠があるのか、誰がどんな話をしているのかということを理解した上で、ここをうまくごまかせば無罪になるんじゃないかということを考え付くと思うのですが、現場にいなかった人はなぜ間違われたのか分からないわけですので、現場にどんな証拠があってどうすれば無罪になるのかということ…
この発言のページ
92
仁比聡平(共産)
成瀬参考人に、そもそものお話で、高平参考人のおっしゃった、請求人の主体的、能動的な責務を果たすということが再審請求の仕組みを機能させる鍵だという御意見が冒頭ありました。再審請求理由を新証拠を発見して構築するということ自体が再審請求人の責務であり、そうでなければ物事が始まらないと。かつ、今回の政府案でも、再審請求審における例えば事実の取調べの請求権だったり、あるいは証拠提出命令の請求権や即時抗告権だったりということを認めるわけですよね。そういう意味では、職権主義の下で請求人、弁護人が果たす役割、あるいは権限、権能というのは、これは明確なんじゃないかと思うん…
この発言のページ
- (上の発言)
93成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
お答え申し上げます。
まず、再審請求者に新証拠を準備してもらわないといけないと、それが非常に大きな負担であるということは私自身も認識しております。ただ、再審制度というのは、通常審で三審制の下、国選弁護を受ける権利等、様々な手続保障をされて、一度は有罪で確定した事件について再度審理をやり直すかということを考える手続ですので、何の事情変更もないのに再審請求ができるということになりますと、それは裁判が一度確定したという意味が完全になくなってしまいます。裁判制度というのは、どれだけ当事者が争いたいと思っても争えなくなる、確定することによって、それを前提に社会を回していくシステムですので、確定した事件についてはやはり何らかの事情変更を伴う形で再審請求をしていただく必要があると。それが刑訴法が要求している新証拠なんだろうと思います。
その観点から、刑訴法は既に再審請求人には弁護人を選任する権利を与えておりまして、高平参考人がおっしゃるように、弁護人が非常に大きな役割を果たすことも間違いないと思います。
その上で、何らかの新証拠を用意していただければ、その後は、今、仁比先生が御指摘くださったように、スクリーニング規定を乗り越えた後、請求に基づいて証拠提出命令を活用したりだとか、あるいは請求に基づいて事実取調べをやってもらうということが可能になるわけです。最初のハードルは確かに少し高いんですけれども、とはいっても、それを用意していただかないとやはり確定審との関係で整合性が付かない。ただ、最初のハードルさえ乗り越えれば、あとは、先ほども申し上げましたけれども、職権主義の下でも再審請求者及び弁護人の手続保障というのは極めて重要ですので、それに対応する形で今回の法案というのはでき上がっているというふうに認識しております。
94
仁比聡平(共産)
成瀬さんにもう一つお尋ねしたいと思うんですけど、今おっしゃった確定判決の重み、安定性との関係なんですけれども、職権主義と再審制度が言われるのは、確定判決を覆してでも無辜の不処罰を貫かなきゃいけないと。それは、最高裁まで争って、有罪判決が確定しているんですよね。けれど、これが誤りであるということになれば、この誤判からの救済というのは絶対にやり遂げなきゃいけないわけだから、そのために、当事者任せではなく裁判官が乗り出すという、そういう意味なんではありませんか。
この発言のページ
95成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
今先生が御指摘のとおり、再審請求審がなぜ職権主義構造を取っているのかと、その一つの理由としては、今先生がおっしゃったとおり、再審請求者任せにせず裁判官自ら、ある種確定有罪判決を出した裁判所の責任において、本当に無辜があるんであればそれを究明、救済しないといけないという観点から再審請求審が職権主義であるということはあるんだろうと思います。
ただ、繰り返しになりますけれども、最初に、確定判決を覆す手続に入る以上はやはり何らかの事情変更は必要なのであって、その新証拠を、大変だと思いますけれども、御準備いただいて、その後は裁判所が責任を持って審理を行っていくと…
この発言のページ
96
仁比聡平(共産)
せんだって刑事局長も、ダイナミックなプロセスなんだと、再審請求審というのは、そのことをお認めにはなったんですけれども、ちょっとその関わりで、時間との関係で、田岡さん、高平さんの順でお尋ねしたいと思うんですけど。
その刑事局長の二十三日の答弁で、これは横山先生の質問の中でなんですけれども、こんなくだりがあるんですよ。裁判所が主体的に判断していく、証拠を収集して判断していくという仕組みである以上は、弁護人による取捨選択を待つことなくして全ての証拠を見る、弁護側もその裁判所が見た証拠を全て見て、その証拠の中身について主張すると。
私、この答弁で、裁判所が主…
この発言のページ