家田仁政策研究大学院大学シニア・フェロー

2026年7月14日・第221回国会 参議院 国土交通委員会 第13号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 2 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 194 発言)

おはようございます。

それでは、お話しさせていただきます。

もう法案の内容については十分レクチャー受けているところだと思いますので、その背景あるいは大局的な流れのところを私からお話ししたいと思います。

お手元に参考資料ということでスライドのコピーが入っていると思いますが、それを見ながら御説明させていただきます。

早速ですが、二枚目、一枚めくっていただきますと、道路の老朽化対策の本格的実施に関する提言というのが出ていると思うんですけれども、これが二〇一二年、あっ、一四年の、笹子トンネル事故の直後に出された社会資本整備審議会における答申でして、ここに書きましたように、最後の警告と、本格的なメンテナンスにかじを切れと。それまでいろんなものを造るということは一生懸命やってきたけど、それを上手にマネジメントするというところにどうも力が及んでいないねということからこんなような答申を出した次第です。

その後、これは道路の事故なものですから、道路の設備の点検の周期をきっちり決めるとか、あるいはいろんなインフラを束になって関わっていくという、群マネというんですけれども、地域インフラ群マネジメント戦略とかいろんなことをやってきたところではあるんですけれども、なかなか思ったとおり進んでいるとも言えないと。問題は着実に進行しているというところでございます。

一枚戻っていただきますと、昨今のいろいろな事態を列記してございます。

今申し上げた笹子トンネル天井板落下事故というのは一番下にあります二〇一二年のものでございますが、その後も、赤く塗ったような、主として災害系のもの、あるいは青く塗ったような、主としてインフラのメンテナンスに直接関わるものというふうに挙げましたが、決してその災害の方とインフラのメンテナンスが全く別物ではなくて、どっちも人災的な要素と、それから外力の力、強さというようなことが相まって起こっている時代でございます。

一番最近のところでは、二〇二五年の八潮の下水道事故があるというのは皆さんのもう御存じのとおりですし、途中、和歌山市の水管橋の落橋事故とか、あるいはずっと遡りますと、JR北海道の線路点検データの改ざん事件というようなものもあります。これが全部、インフラに対する国民の信頼を揺るがすような事態であるというふうなことでございます。

二枚めくっていただきますと、国土交通省に対して出しました、下水道に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた云々の第三次提言というのがございます。これについて御説明したいと思います。

今お話ししましたように、八潮の事故が起こって、それから鋭意検討されてきたわけですけれども、特に十一月、十二月、この段階で第三次提言というのが提言されております。これは、私から見るところ、これまでのインフラのマネジメントに関するかなり抜本的な方針の変更と改善、改革を目指している、そういうものなんですが、その一部の内容が今回の下水道法等の改正に反映されているということでございます。

太く書いてあるところだけ説明しますが、まず一つ目の黒ポツのところに、新設プラスメンテナンス、矢印マネジメントへの転換と書きました。これは最も根本的なところでありまして、戦後、一生懸命社会資本の整備を進めてきたわけで、例えば高速道路もゼロというところから一万二千何百キロまで来ましたわけですし、下水道にしましてもほとんどゼロというところから処理率が九十何%というところまで来たんですから、整備の効果はもちろん上がってきたと思われます。

しかしながら、どうしてもそれを上手にメンテナンスするというのは先ほど申し上げたとおり十分ではなかったと思うし、これからは、この新設とメンテナンスを両方でということではなくて、更にそれを大きく捉えてマネジメントというふうに捉えるのがいいのではないか。特に人口減少の中では、今まで造ってきたものを全部そのまま維持するということではなくて、物によっては除却も必要ですし、あるいは使用の用途を変えることも必要であるし、あるいは物によってはもっと改良していいものにする。例えば、首都高速を地下化して日本橋の上をすっきりするなんというのはこれ改良ですね。というような、広い意味でのマネジメントに突入する、それが必要じゃないかと思っております。

今回の法律改正に直結しているようなことが下の五つの道筋というものでありまして、一番、これが見える化です。二つの見える化と書きましたが、一つ目の見える化というのは、今、例えば下水道の管路が十分見るべきものを見えているのかと、見ているのかという意味での見える化です。きっちり見て初めてそれを評価して作業ができるわけですが、これはやらなきゃいけない。

もう一つの見える化というのは、専門家が見ていればそれでいいというものじゃなくて、国民や市民が、下水道なり橋なりなんなりの現状、どこが悪くてどこが困っているのか、財源的にはどこが大変なのか、それをつぶさに知ることがスタートであるべきであって、その上で理解をしていただいて前に進める、これがもう決定的に重要だと思っています。

ある調査によりますと、市町村千七百四十団体くらいありますけれども、そこにやられたアンケートがありまして、見える化というのは進んでいますか、あるいは必要と考えますかという質問に対して、約半分の自治体は必要ないと考えているというような答えが出されております。こんなのが実情ですから、この見える化というものを相当力強く推進しないといけないというのは、先生方十分お分かりのところじゃないかと思います。

二番目にありますのはめり張りでございます。今まで造ったものを全部そのまま一律に管理して一律に維持するなんてことはもうこの人口減少の中で適切ではないし、また、先生方の御家庭の中でも、いろいろ買い込んで全てそのまま置いているんだったら、それはもうごみ屋敷になっちゃうわけでありまして、要らないものは除却すると、もっといいものにするものはいいものにするというめり張りが必要です。

重点化と軽量化、その両方を両輪のようにして進めるめり張りをこの第三次提言では特に強調しております。下水道法の中でも、機能を高度化するというようなところはこの重点化という方向になりますし、管理の仕方なんかも、場所に応じてもう少し軽便化するなんというのはこの軽量化の方に該当するわけであります。

三番、もっと光を、それから四番、統合マネジメント。この辺はざっとにしますが、四番の特に統合マネジメントというのは、今回の下水道でも、道路の管理と、それから道路から占用許可をもらって種々のものを管理している占用者の管理というのがちっとも一体化していなくて、下水道がどうなっているかというのを道路管理者も知らないし、逆もまたしかりということでございます。そこのところをより統合的に進めるというのは極めて重要なことでありまして、今回の改正にも一つの柱になっているわけであります。

しばらく前になりますけれども、二〇二一年に熱海の土石流というのがありまして、あれは砂防の行政、あるいは開発許可の行政、森林行政、都市計画の行政、これがてんでんばらばらであるというふうなところに一因がありますけれども、そういう面でも統合的マネジメントということが重要ではないかということでございます。

一枚めくっていただきます。最後のページでございます。

これは、もちろん、政策、技術というようなもの、あるいは民間企業の経営力、あるいは市民に協力してもらうといったような地道な努力によって改善は進められなきゃいけないんですが、何といっても重要なのは、こういうインフラのマネジメントの問題というのはどうしても先送りにされがちな、あるいは見て見ぬふりをされがちな面があります。そういうものを推し進めるには非常に強い政治的なモメンタムが必要で、そういう意味では、今日おいでの先生方を始めとして政治家の方々には是非頑張っていただきたいというエールを勝手に送りますけれども、これで私のスピーチにさせていただきます。

どうも御清聴ありがとうございました。

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