田中均株式会社日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問

2026年3月4日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 63 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 75 発言)

何か今の御質問を聞いていると、日本が持っている一番大きな矛盾というんですか、日本の核の歴史とか、それから日本のアイデンティティーとの関係ではこれはおかしいということが、現実の世界になるとそれを認めざるを得ないと。米軍の活動の話もそうですし、核の話もそうですよね。

国会でよく、まだベトナム戦争のとき、沖縄の基地から米軍が出ていく、それはベトナムで戦争をするためじゃないかという質問を受けて、政府の答弁は、いや、そんなことはありません。要するに、もし戦争に行くんであれば、安保条約六条の事前協議の対象になるんですよ。事前協議ありましたかと聞くと、ありませんと。なぜですかと。いや、日本の領海を出ていくときには任務を受けていない、公海に出た途端に任務を受けるから事前協議の対象じゃないですということだった。

だから、仮にイランの空爆に対して沖縄から出ていくときに、ちょっと出ていくのやめてくれと日本が言うことはできない。それは、現実に安保条約をもってアメリカの安全保障に依存している日本の立場と、いや、イラン戦争は日本は反対だから、だから出ていくのやめてくれという立場というのは全く矛盾するんですよ。だから、それはできないんですね。

それから、核の話もそうなんだけど、日本は非核国じゃないですか。非核国で、かつ日本が非核国であるということがNPT体制を維持する一つの大きな力だということは間違いないんですよ。もし日本が非核三原則をいじればどういうことになるかというと、必ず周りの国は反発をしてくる、中国だけじゃなくて韓国もそうだと思いますけどね。そうすると、やっぱりNPT体制を守るという日本の力というものが弱くなるということだと思うんですよね。

だから、僕は、何で今更持ち込ませぬというところを変えなきゃ矛盾するという、もう矛盾だらけなんですよ、日本のそういうことって。それを運用でね、運用でうまく、何というの、日本はサバイブしてきた。それは、アメリカの核に依存せざるを得ない。もはやアメリカは本土から一メートルのところを核で撃てるということが抑止力になっている、だからわざわざ核の持込みを云々云々という話にはならない。やっぱり、だから、冒頭申し上げたように、日本がどういう国でありたいか、日本のアイデンティティーをどこに持っていくかということだと思うんですね。だから、僕は日本はNPT体制を守るべきだと思うし、それは核保有国がどんどん拡散していきますよ。

それから最後に、私のメモの中に、リベラルの体制は戻らないということを申し上げたけど、それはどういうことかというと、リベラルな体制を維持していたのはアメリカなんですよ。アメリカがアジェンダセットをし、アメリカが諸外国を率いてきたんですよ。だから、そのまさに率いてきた人、主導国がいなくなる、間違いなくいなくなると思うんですね。特に、一体どうするのかというのが今世界が抱えている問題なんですよ。

だから、ヨーロッパはEUという一つの共同体があるから、EUの中で自由貿易とか環境とかエネルギーとか、そういうことは協議をして、なおかつリベラルなオーダーを担保できる。ただ、日本はそうじゃないんですね。

だから、日本がそのリベラルなオーダーをアメリカ抜きでやっていくためには、やっぱり国際社会の中で徒党を組んでいく必要がある。ヨーロッパと徒党は組めるだろう。だけど、私は思うに、再びリージョナルな世界に戻るよと、アジア太平洋という世界で日本がリベラルなオーダーをつくるという努力、旗頭を上げて初めてリベラルオーダーに戻っていくだろうと。だけど、グローバルなリベラルオーダーが戻ってくるかといえば、アメリカが翻意しない限り戻ってこれない。アメリカは翻意しないだろうと。要するに、自分たち持ち出しし過ぎたと言っているわけだから、後の大統領が再び持ち出しをするということにならないですからね。

ですから、そういう意味で、日本はリージョナルにそういう秩序をつくるための努力をしていくべきだというのが私の主張なんですけどね。

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