田中均株式会社日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問

2026年3月4日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 28 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 75 発言)

私自身は、余りその法の支配とか自由で開かれたという言葉が好きじゃないわけで、アメリカのような国を前にして、いや、あなた方、法の支配なんてないんじゃないかと、トランプ自身が国際法は自分の基準じゃないということを公言しているときに、余りそれを強調しない方がいいと僕は思うんですね。

ですから、日本の戦略的利益は、それは北朝鮮との関係でも対話はしなきゃいけない、ロシアもそうですよ。それが、いや、かくかくこういうことをしたから駄目だといって門戸を閉ざすことの愚かさみたいなものがあるんですよね。

だから、その法の支配といって大上段に振りかぶってやったら物事は動いていかない。それは、東南アジアの諸国に十分な法の支配があるか、そんなのないですよ、それは住んでみられると分かるけどね。だけど、それを捨てるのは良くないと思う。

なおかつ、誤解しないでほしいんだけど、私はアメリカとの関係を切れと申し上げているわけではない。アメリカとの関係は切れない。アメリカのその核の傘に依存せざるを得ない、アメリカのマーケットに依存しなければいけない、だけど、アメリカとの関係を維持していて、かつ日本が影響力を持つためにはどういうてこをつくるか。それは、アジアとの関係を強化する。アジアとの関係の肝のところは、だって、ASEANの国とか、それは韓国とかいろんな国に行って意見交換されると分かるけど、彼らは困っているんですよ、アメリカのような国に依存してきたけど、それは駄目だな、だって黙っていりゃ中国に圧倒的に巻き込まれちゃうと。だから日本何とかしてくれよというところで日本は勝負をすべきだ、日本にはまだその力があるというふうに思うんですね。

だから、具体的に申し上げれば、一つは先ほど岩間さんが言った信頼醸成。このために、だって、敵国同士の間でも信頼醸成は成り立つんですよ。ソ連とアメリカの間で信頼醸成の枠組みというのをつくっていたわけで、当然、戦争をしたくないのに偶発的な衝突をするなんてことはあり得ないんですよ。だから、ホットラインとかその訓練計画とかもろもろのことをきちんと透明にするような枠組みをつくっておかなきゃいけない。

それから、さっき申し上げた貿易。貿易を二国間でやるのはなかなかしんどいな、中国のような国とね。だから、マルチで、CPTPP、CPTPPというのは我々は中国を入れてやる方だから、中国に対していろんな注文を付けられるんですよ。だから、それを活用すべきだ。それ以外にも、アメリカが嫌いな気候変動とかエネルギーとかもろもろのことについて対話の場を従来はつくっていたんですよ。

ところが、インド太平洋、とにかく戦略だ、とにかく自由で開かれた云々云々ということで、政治の力って強いんですよ、やっぱり。それで、要するに中国に対抗していくんだということになった途端に、中国を入れて何かをやるということに対する非常に強い拒否感が出てきた。その拒否感を破るのは政治しかないんですよ。官僚が、いや、中国とやろうなんて言えないですよ。だから、いろんなメニューはありますよ、だからそのメニューをやっぱり進めていくということが政治の役割なんじゃないかと思います。

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